コーヒーゼリーに何をかけるか
「カガトさんってリィンベルさんに言われるまで寝る前にすらコーヒー飲んでましたけど、なんでそんな泥みたいなのを水みたいに飲みまくってるんですか」
「いやそんな全てのコーヒー好きを敵に回すような言い方されても」
安達家のリビングにて。
作業の合間にコーヒーを淹れに来たカガトくんと、それを見て疑問を口にするエルテさん。
ちなみに前回慢性カフェイン中毒に気をつけろと書きましたが、慢性カフェイン中毒の症状はカフェインが切れた時に出るので、コーヒーを日常的に飲みまくってると逆に自分が慢性カフェイン中毒になっているのに気付けなかったりします。
心当たりがあって気になる人は、半日以上カフェイン断ちをしてみましょう。
案の定慢性カフェイン中毒で治したい場合は、そのまま数日かけてカフェインの量を減らしていく必要があります。
減らさなくてもすっぱりやめればいいじゃんと思われそうですが、その場合は治るまでの数日、酷い場合は二十日近くずっと頭痛がお友達です。
「というかエルテも砂糖とミルク入れたら飲むでしょ」
「入れたらというかないと飲めないんですよ。苦いしなんかほのかに酸っぱいじゃないですか」
「えーそこは慣れというか」
なおコーヒーの酸味の原因は豆そのものから焙煎、ひき方淹れ方など様々な要因が考えられ、適度ならば酸味がコーヒーのおいしさを引き立ててくれます。
単に保存が悪くて酸化してる場合もあるけどな!
「まあ大人の味だとか言われることもあるし、エルテも大人になったら分かるんじゃないかなあ」
「私と二つしか違わないのに何大人ぶってんですか」
「……そんな歳近かったっけ?」
「喧嘩売ってんですかこんにゃろう」
エルテさん長いこと栄養状態悪かったせいで小柄だからね。仕方ないね。
なお下手に発育が良かったらカガト君の女性への苦手意識が発動して面倒くさくなる模様。
今日も日本は平和です。
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一方高天原。
「なんか日本のコーヒーゼリーが外国人に人気だとかいうのを見かけたんだけど、まさかコーヒーゼリーって日本生まれなの?」
「さあ?」
「さあて!?」
久しぶりのツクヨミ様の説明放棄。
ツクヨミ様が解説しなかったらこの作品の本質が八割くらい消失するだろ頑張って。
「いやどちらとも言えないといいますか。まずコーヒーゼリーは日本生まれだとされてはいます。1914年に新聞にレシピが載ったのが最初だとされていますね」
「何その引っかかる言い方」
「しかしそれより以前、1800年代のイギリスやアメリカの料理本にコーヒーゼリーのレシピが載っているんですよ」
「じゃあ普通にそっちが発祥なんじゃないの?」
「紹介はされていてもあまり根付かなかったんですよ。地域によっては『コーヒーゼラチン』などの名で店にあったりしますが、人気はないそうです。世界的にはマイナーだから『日本のコーヒーゼリー』が珍しがられているのもあるのでしょうし」
「あー」
日本で英国式カレーが発展したのに、英国のカレーはほぼ滅んでた的な。
ちなみにあまり関係はありませんが、中国の書なども焚書の影響で失われることが多いため、記録大好き日本にだけ残ってるというものも多いそうです。
「海外でも日本食レストランなどでは出していることが多いので、余計に日本独自のものだと思われているのではないでしょうか。いや実際日本以外だと珍しいわけですが」
「逆になんで日本ではそんなコーヒーゼリーが普及したの」
「何故でしょうねえ。アメリカでもコーヒーゼリーの素が販売されたことはあるのですが、あまりに売れないために販売中止になったそうですし。日本人の好みにあったのでは? としか」
「じゃあなんで『日本のコーヒーゼリー』は海外でも人気に??」
なんでだろうね。
今日も高天原は平和です。