日本語未対応のゲームを辞書片手にプレイ
「自動翻訳が異世界の言葉だけじゃなくて英語にも通じるのなんか凄いズルしてる気分になる」
「私はむしろ勝手に翻訳されるせいで国語の授業と英語の授業の違いに混乱するんですけど」
安達家のリビングにて。
スマホで何やら読んでたと思ったら複雑そうな様子で呟くカガトくんと、むしろそのせいで勉強にワンクッション入ると愚痴るエルテさん。
単語暗記する場合自動翻訳は役に立つのかむしろ邪魔なのかどうか。
「というかカガトさん元々英語は得意だったんですか?」
「いや? 俺理系だしなあ」
理系だから英語苦手と言ってるカガトくんですが、論文は世界では当然英語が主流なので、最先端の知識や技術を読むにしても発表するにしても、英語は理系でも必要になります。
でも苦手なんだから仕方ないだろお!?
「じゃあお得じゃないですか」
「いや日常的な場面ならともかく、テストでいい点とれちゃうとなあ。自動翻訳をオフにする魔術とか作ろうかな」
「ええ……」
わざわざ不便になる研究をするという発想にドン引くエルテさん。
テストは自分の実力を確かめる意味もあるからね。仕方ないね。
「もう一生自動翻訳付いて回るんだから頼ればいいじゃないですか」
「え? むしろ補助輪みたいなものだから、いつ消えてもおかしくないと思ってるけど」
「何それ恐い」
実際どうなのかは実装したアマテラス様すら仕様を理解してないので分かりません。
今日も日本は平和です。
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一方高天原。
「何で日本人って英語話せない人多いんだろうね」
「別に英語話せなくても生きていけるからでは?」
首を傾げながら言うアマテラス様に「別に英語話せなくても命とられないし」と極論をぶっぱなすツクヨミ様。
でも実際割とそう。
「ええ……。もっとこう、日本語と英語が文法からして違いすぎるからとか」
「それでも必要があれば学ぶでしょう。現在英語が公用語になっている国のほとんどは、かつてイギリスの植民地だった国ですし」
「それは極端すぎないかなあ!?」
それはそう。
しかしそれだけかつての大英帝国の影響力が大きかったとも言えます。
「あと日本の場合は文明開化の前後にも、外国の知識を取り入れる際に『日本語への翻訳』が重視されましたからね。以前も『日本は日本語に翻訳された海外の本が多く結果読める本が多い』という話をしましたし、現在もその傾向が強いとも言えますね」
「あー海外の知識に触れるのにも日本語に翻訳されてることが多くて、原文に触れる必要が少ないと」
逆に言えば目当てのものが翻訳されておらず、原文に触れる必要がある人は嫌でも英語を覚えていくことになります。
論文!
「まあ良いことではあるのでしょうが、国内で自己完結しすぎているとも言えますね。ネット上のサービスなどでも、日本人は言葉が通じない上に日本人だけのコミュニティでかたまり不用意に近付くと逃げるので、一部から妖精扱いされてるそうですし」
「あれ? なんか前にものすごく似たような話を聞いた覚えが」
どうあがいても妖精。
今日も高天原は平和です。