水をたくさん持っていきたいがたくさん入れると重いジレンマ
「なんで日本人って日本に住んでるの?」
「いやいきなり言われても」
安達家のリビングにて。
どうやらクッソ暑い中外出から帰ってきたらしく汗だくなフェリータさんと、夏休みが暇すぎて逆に落ち着かないという社畜の片鱗が出ているカガトくん。
でも実際汗というのはある程度はかきなれていないと、様々なミネラルが含まれた所謂べたつく汗をかくようになるので、普段からちょっと汗をかいておくのって割と大事。
……人類生きるのに向いてないのでは?
「暑いのはまだしも何でちょっと歩いたら階段ばっかりなの。もっと地面ならしなさいよ」
「ここ一応日本一広い平野のはずですけど」
日本は山だらけだからね。仕方ないね。
四国とか山でほぼ完全に四県が分断されているので、隣の県より海を挟んだお向かいの県との方が交流があり仲がいいというジョークすらあるほどです。
高知の海のお向かい?
……オーストラリア?
「フェリータさん人魚なんだから、歩きなれてないのもあるんじゃあ? 他の人たちからそんな苦情きいたことないですし」
「いや私が特殊なわけじゃないから。この家の他のメンバーが大概おかしいから」
それはそう。
特に頻繁に一人で竜王山を登ってた元皇帝とかが階段が多いことを気にするわけがありません。
むしろ山が多いのをいいことに各地の山を登りまくっています。
「そんなに歩くのがしんどいなら車かバイクの免許をとるとか」
「勉強がめんどい」
「ええ……」
ぷいとふてくされたようにふて寝するフェリータさんと呆れるカガトくん。
なおフェリータさんは魔術師としては一流なので、勉強ができないわけではなく本気でめんどいだけです。
今日も日本は平和です。
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一方高天原。
「そんな日本って階段多いかな?」
「外国人の一部はそう思うそうですね。日本に行くときは靴を選べとアドバイスすることもあるそうですし」
他の国の事情が分からず比較できないので首を傾げるアマテラス様と、ぶっちゃけ出身国にもよると答えるツクヨミ様。
デンマークを舞台とした漫画を描いてたら「デンマークに山はないです」とつっこまれた漫画家さんとかもいるからね。
国によって常識って結構違うね。
「そもそも日本は国土の約75%が山地だとされていますからね」
「そんなに。え、もしかして日本って面積の割に人が活動できる範囲狭い?」
「まあ関東平野に全人口の三分の一が暮らしていますからね」
つまり地震などで関東平野が吹っ飛んだら日本人の三分の一も吹っ飛びます。
世界的に見ても類を見ない人口密集具合だからね。仕方ないね。
「外国人の一部からすれば東京ですら歩き回る必要があるという印象だそうですが、地方の観光地に行くとなると、さらに歩き回る上に階段だらけになりますからね」
「あー神社とかお寺って階段多いよね」
日本人でもねをあげることがあるからね。仕方ないね。
作者の親戚も、香川のこんぴらさんに行ったはいいものの、階段がきつすぎて途中で引き返したそうです。
ちなみにそのこんぴらさんには、競走馬として有名なマ〇ノトップガンの子供が神馬として奉納されてたりします。
「まあ金刀比羅宮の石段は、近くの駐屯地の自衛隊が行軍訓練にも使っていたそうですからね」
「観光地の中を自衛隊が行軍していくの?」
自衛隊定期的に40キロくらいその辺歩き回ってるからね。
なお通常行軍訓練は日没から日の出までの夜間に行われることが多く一般人が目撃することはほぼないと思われますが、たまに昼にもやっていますし新隊員教育などでは日中にやっていることが多いので、見かけたら生暖かい目で見守ってあげてください。
「昼はともかく、深夜に自衛隊の集団を偶然見かけたらビビると思うんだけど」
「しかも大体は人気のない山の付近ですからね」
行軍中にすれちがう車に乗っていた人々は、深夜徘徊する迷彩服の集団に何を思っていたのか。
今日も高天原は平和です。