近所に普段から屋台みたいな山盛りかき氷を売ってる店があり大人気だった
「まさか、かき氷が一番売れるとは」
「分かっててわざわざあのでかいかき氷機持ち込んだんじゃなかったのかい?」
フィッツガルド帝国の帝都にある宮殿にて。
何やら驚いているミィナさんと、この子にも予想外なことあるのかと割と失礼なことを思ってるローマンさん。
許可貰ったからにはやりたい放題だぜと即座にミィナさんによって宮殿内に出店されたコンビニでしたが、ミィナさんの予想に反しコンビニなのに祭りの屋台にありそうなてんこ盛りなかき氷が売れに売れまくっています。
夏だからね。仕方ないね。
「エアコンどころか冷凍庫も使えないからアイスは無理で、ならかき氷なら氷は多少溶けても大丈夫だし、その場で作るのも早いし簡単だからと出してみたんですけど、ここまで売れるとは」
「普段は笑みも見せないような強面の役人の一部も嬉しそうにかき氷食べてるね」
暑いからね。仕方ないね。
「しかし軽食の類も意外に少ないね。簡単な総菜くらいは置くのかと思ってたのだけど」
「夏ですから。生産段階で密封されてない食べ物は痛むのが恐いんですよね」
「こちらは日本ほど湿度が高くないから大丈夫ではないかい?」
「それでもしばらくは様子見です。万が一にも食中毒とか出して、許可取ってきてくれたローマンさんの顔に泥を塗るわけにもいきませんし」
「なるほど」
きっぱりと言うミィナさんに、やはり下手な貴族よりは余程信用できるなと改めて思うローマンさん。
日本だと一部がやらかしただけでも管理の基準が厳しくなるからね。日ごろからきっちりやっといた方が結果的には楽だね。
「ところでかき氷のシロップは香りだけじゃなく味もちゃんと違うお高めのやつかい?」
「色とにおいだけが違って味は同じ安物ですね」
「いいね」
いいのか。
今日も異世界は平和です。
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一方高天原。
「例のコンビニ大好きなカナダ人記者が、パリ五輪の取材中に日本のソルティラ〇チを見つけたとはしゃいでる」
「その人以前カナダでもソルティラ〇チ見つけてはしゃいでましたよ」
思わぬところで例の記者を見かけて驚くアマテラス様と、むしろ平常運転だと流すツクヨミ様。
夏は水分と塩分の補給が大事だからね。
自衛隊でも食堂で飯が喉を通らなくても味噌汁は飲めとよく言われました。
「というか『日本のソルティラ〇チ』て。日本のじゃなくて東南アジアあたりじゃなかった?」
「微妙ですね。モデルとなったのはタイのデザートですが、それを基に飲料にしたのは日本企業ですので」
「いつもの」
なおモデルとなったデザートは「ローイゲーオ」という名前で、ひらたく言えばシロップ漬けの果物と塩水と氷を合わせたデザートです。
しかし使う果物によって作り方が異なるので、割と幅が広いデザートだったりします。
「というか選手の一部がまたかめは〇波撃ったり領域を展開したりしてるんだけど」
「東京五輪を経てそういうノリが半ば定着したようですね」
「まさか日本以外の会場でも見ることになるなんて……」
知ってる人が多い上に、パフォーマンスとして分かりやすいからね。
今日も高天原は平和です。