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異世界召喚が多すぎて女神様がぶちギレました【連載版】  作者: 湯立向日/ガタガタ震えて立ち向かう


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猫耳の歴史は紀元前のエジプトにまで遡る

 高校。

 多くの人間にとって青春の代名詞であり、今後の人生にも関わる重要な教育機関ですが、実は高校で行われている教育は高等教育ではなく後期中等教育だったりします。

 では何故高等教育学校かというと、何か国際規格で教育レベルと期間が統一されたときに「面倒だから名前旧体制そのままで行こうぜ☆」となっちゃったらしいです。

 流石日本人。協調性があるようでフリーダムです。


「えー……何でござるかこの状況」


 そしてそんな高校教育に関することで、何故か首相官邸に呼び出されたヤヨイさん。

 隣には安達くんが腰かけ、対面には外務大臣な柳楽くんが座っています。

 前門の狸と後門の狐。今の日本を支える狐と狸による謎の三者面談です。


「いや、すまねえな。ちっとばかし問題が起きてな。本来ならこういった事で嬢ちゃんたちを煩わせたくは無いんだが、今回は本人の意思も重要でな」

「それは別に構わないでござるが。問題?」

「前から色んな国に言われてはいたんだよ……『日本国は異世界人を人道的に扱っているのか』ってな」

「は?」


 柳楽くんの言葉に首を傾げるヤヨイさん。

 実際ヤヨイさんとしては扱いが良すぎて恐縮するレベルなので、本気で何じゃそりゃな問題です。


「拙者特に現状に不満は無いでござるが。というかそういうのは拙者、もしくは故郷のホムラ国と日本の問題であって他国は関係ないのでは?」

「確かにそうなんだが、そうもいかないのが国際社会ってやつでな。要はうちにいちゃもんつけて異世界人を自分の国に連れていきたいんだよ」

「面倒でござるな」


 ぶっちゃけちゃった柳楽くんに呆れたような顔を向けるヤヨイさん。

 心なしか猫耳も萎え気味です。


「それで嬢ちゃんには高校に通ってほしいんだが」

「どうしてそうなったでござる」


 柳楽くんの過程をぶっとばした結論にヤヨイさんからつっこみが入ります。

 世界はいつだってこんなはずじゃなかった事ばかりだから仕方ありません。


「対外的なアピールですね。異世界の方々も他の日本人と同じように生活していますと分かりやすく示すため。実際ヤヨイさんくらいの年齢なら大多数の人が学生ですからね」

「確かに拙者は向こうでも学校に通っていたでござるが」

「何だ? 何か問題でもあんのか?」


 安達くんの説明に理解して見せるヤヨイさん。

 しかし理解はできても納得はできないのか、渋った様子を見せます。


「一部……本当に一部なのでござるが。向こうでは獣人や亜人を差別する輩が居たでござる」

「ほう。まあ残念だが当然だな。人間ってのは異質なものを排除したがるもんだ」

「日本の民たちが良い人なのは拙者にも分かっているでござる。しかしこちらには獣人の類が居ない以上、拙者を忌避したり警戒する人間も居るのではないでござろうか」

「確かに。お互いに良くない結果をもたらすかもしれませんね」


 ヤヨイさんの説明に考え込む安達くん。

 いっそ白紙に戻してしまおうか。そう考える安達くんに柳楽くんの暢気な声がかかります。


「いや、案外大丈夫じゃねえか? これ見てみな」


 そう言って柳楽くんが取り出したのは、薄型のノートPCでした。

 どうやら何処かの掲示板が映っているらしいそれにヤヨイさんと安達くんが目を通しますが、次第にその顔が困惑に染まっていきます。


 ――リアル猫耳娘なヤヨイさんについて語るスレ


『まさか本物の猫耳があれほど萌えるものだとは予想だにしていなかった』

『目も良いよな。猫っぽいのに違和感が無い』

『しかもオッドアイだぜ! もう猫っぽさ全開で俺の萌えゲージがリミットブレイク寸前』

『マカミ氏みたいに獣形態になれるんかな。是非ともモフモフさせて欲しいんだが』

『ここまで誰も尻尾に言及してないのに絶望した。普段服の中に隠れている尻尾が、たまにはみ出してくねくねしてるあの愛おしさよ』

『何故犬耳娘は来てくれないのか』

『↑犬耳派は帰れ』

『↑ここは猫耳の聖地だ』

『↑犬耳派が出たぞ! 囲め!』


「……とまあこんな感じで結構人気だぜ?」

「拙者学校に通うのが別の意味で心配になってきたでござる」


 安定のもう嫌だこの国状態な掲示板を見て遠い目で答えるヤヨイさん。

 今日も日本は平和です。



 寄せ鍋。

 冬の定番である鍋の中でもポピュラーであり、様々な味を楽しめる料理ではありますが、実は具材を入れすぎてはいけないというルールがあったりします。

 これは具材を入れすぎると味が混ざりすぎてカオスになってしまうからであり、具材は五種類前後にするのが最適と言われています。


 でもぶっちゃけそんなの気にせずに好きなもん放り込みます。

 白菜とネギと鳥団子と肉と豆腐だけで五種類突破じゃねえかどうしろと。


「やっぱり鍋と言えばお豆腐だよね。この熱さが喉を通って胃に落ちてくる感じが何とも」


 そしてそんな寄せ鍋に舌鼓をうつ天津神の主神アマテラス様。どうやらお豆腐がお気に入りのようです。

 お豆腐は確かに美味しいですが、油断すると火傷するので気をつけましょう。口の中を火傷して皮がベロンと剥けて大惨事になった人も多いはずです。


 ……え? 無い? 私だけ?


「菜箸で豆腐をとるとは、無駄に器用ですね。……スサノオ。焼肉の時も言いましたが、火が通らないうちに食べるのはやめなさい」

「何だよ。ちゃんと赤みが無くなってるだろ。鍋奉行かよ兄貴」


 そして最早当然のように高天原に乗り込み一緒に鍋をつついているツクヨミ様とスサノオ様。

 スサノオ様は勿論ですが、ツクヨミ様も本来は夜の国を治める神であり高天原に常駐してたりはしません。

 しかし二人とも何だかんだ言ってシスコンだから仕方ありません。


「そういえば何で鍋奉行なんだろ。鍋将軍とかじゃダメなの?」

「奉行というのは比較的身近な権力者ですからね。権力を持ちすぎて迷惑だと言う皮肉も含まれているそうですよ」

「何だ。正に兄貴のことじゃねえか」

「……姉上。この肉は食べごろですよ」

「あ゛ー!? 全部持ってくんじゃねえよ兄貴!」


 肉を姉に献上するツクヨミ様と叫ぶスサノオ様。

 今日も高天原は平和です。


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