今でもたまに撃てないかなと真剣に考える
「そういえば先輩ってか〇はめ波撃てたりしますか?」
「撃てるわけないでしょう現実的に考えて」
「ええ……」
メルディア王国の食堂にて。
春の竜祭りも終わり食堂でカレーピラフ食ってる最中に、ふと思いついて言ってみたことを、存在が現実的じゃない人に否定されて戸惑うカオルさん。
でも拳圧で人吹っ飛ばすくらいならできそう。
ちなみにか〇はめ波は海外でも大体そのまま「Ka〇ehameha」と翻訳されていますが、スペインでは「Onda Vital(生命波?)」と訳されているそうです。
なんでや。
「でも団長とか斬撃飛ばしたりしてるじゃないですか。あれ頑張ったら先輩もできるんじゃないんですか」
「ああ。アレは魔力的なものを使ってやってるそうだから、魔力のない私ではどう足掻いても無理ね」
「え? 魔力がないのになんでそんな体に?」
「あんたもしかして私が異世界の不思議パワーで巨大化したとでも思ってる?」
残念ながら異世界に来る前とサイズは変わってないオネエ。
カオルさんが知ってる高校時代にはまだ普通サイズだったらしいからね。仕方ないね。
「じゃあ魔力があったらか〇はめ波撃てるんですか?」
「まあもどきは撃てるでしょうけど。何なら宮廷魔術師に聞いてみる? 本職の魔術師なら見ただけで魔力あるかどうか分かるらしいわよ」
「是非!」
そうしてウキウキでオネエに連れられて宮廷魔術師に会いに行ったカオルさんでしたが、残念ながら魔力はありませんでした。
今日も異世界は平和です。
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一方高天原。
「そういえば最近出た幕末が舞台のゲームで、福沢諭吉が斬撃飛ばしたり、ペリー提督がサーベルで戦ったりしてるんだけど、ここまでぶっ飛んでると面白いよね」
「まあ福沢諭吉なら斬撃飛ばしてもおかしくないですからね」
「……」
「カレンダーを確認しなくてもエイプリルフールは一週間前です」
いきなりツクヨミ様が真顔でジョークを言い出したので、ああそういえば今四月だっけと日付を確認するアマテラス様と、一日はとっくに過ぎてるとつっこむツクヨミ様。
なお今年の某SNSはプロフィールを変更するのに制限がかかっていたので、変な名前にしたらエイプリルフール過ぎても戻せなくなった人が大量発生したそうです。
元から変な名前の人には関係ないな!
「まあ流石に斬撃飛ばすのは過剰表現ですが、福沢諭吉は立身新流という居合剣術の達人であり、成人する頃には免許皆伝の腕だったそうですから。実際に戦えばそれなりどころではない強さだったかと」
「福沢諭吉ってマジで強かったの!?」
まさか一万円なあの人がそんな強かったとは思わず驚くアマテラス様。
まあ当時台頭した人間は大体武士なので、知識人として評価されててもそりゃ剣術の心得はあるよね。
「その割には武勇伝とか聞かないけど?」
「まあ暗殺されそうになっても走って逃げたそうですし」
「なんで!? いやある意味最強の護身術だけども!?」
「どうも武道として剣術を修めていただけで、実戦で使うつもりはなかったようですね。当時は同じように、剣術の達人でありながら生涯人は斬らなかったという人間は他にも居ましたし」
有名どころだと勝海舟とか。
幕末と言えば斬り合いしまくってた印象がありますが、同じ思想の人は結構いたそうです。
「じゃあもしかしてペリーも強かったの?」
「特にそういう話は聞きませんね」
「そっかー」
そもそもペリー提督が日本に来た時もう59歳だからね。
そんな元気にサーベル振り回せないよね。
今日も高天原は平和です。