デマや誤情報も流れるので注意
「ただいま戻りましたー」
「おかえり。むかつくくらい爽やかな笑顔だねオイ」
フィッツガルド帝国の帝都にて。
皇帝のいる執務室にもはやなんの遠慮もなく入ってくるローマンさんと、年末年始にごっそり休みとりやがってこの野郎という言葉を飲み込む皇帝陛下。
前も書きましたが、日本以外の国は正月は元旦以外はあまり休みません。
「ふっ。そんなだから父上に思慮が足りないと言われるんですよ」
「直接的には言われてないんだけどなあ。なんだい。実は仕事してきたとでもぬかすつもりかい」
「もちろん。私は将来ホムラ国の武家であるヤヨイさんの家に婿入りするわけですが」
「うん。堂々としたこんな国脱出してやる宣言だね」
「まあ確かにこの国はもう八割くらいどうでもいいですが」
「そこまで!?」
流石にもうちょっと情が残ってると思ってたので「あれもしかして私また見誤ってたか?」とちょっと反省する皇帝陛下。
そこでちょっとしか反省しないからインハルト侯から圧力をかけられるのです。
「しかし私がこの国の人間であることは消せない事実。つまり私が婿入りした後は、ホムラ国においてフィッツガルドのことをよく知る人間として、両国の外交の窓口になることは必定。故に今から根回しと地盤固めをしていたのですよ!」
「な、なるほど!」
納得する皇帝陛下と「やっぱこの人チョロすぎるな」とドヤ顔の裏で呆れるローマンさん(婚約者にバニースーツを着せに行った男
序盤はローマンさんもこれくらいポンコツだったのに、今では立派に爆発を願われるように。
「要は将来の二国の関係性は私にかかっていると言っても過言ではない、多少の我儘は許すべき重要人物なのですよ!」
「た、確かに」
「そろそろつっこんでいいかしら」
さらに皇帝陛下を洗脳しようとするローマンさんと、実は居たヴィルヘルミナさん(ローマンさん特効
今日も異世界は平和です。
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一方高天原。
「自衛隊のホバークラフトが荒波の中浜辺に強硬上陸して、中から電話会社の車両が出撃してる」
「それだけ聞くと意味分かりませんね」
自衛隊の災害派遣の様子を見ているアマテラス様と、実況だけだと本当に意味が分からないなとパソコンの画面をのぞき込むツクヨミ様。
なお電話会社の技術者は、工事などのために秘境みたいな過酷な環境の場所に赴くことは割とあるそうです。
「自衛隊ってホバークラフトもってたんだね。というかなんでホバークラフト?」
「地震で海岸が隆起して通常の艦艇などでは接岸が困難だったからでしょうね。そもそも港がないと車両の上陸や荷下ろしなども難しいですし、そのまま上陸できるホバークラフトが使われたのでしょう」
「おー。世の中何が必要になるか分からないもんだね」
なおこのホバークラフト、昨年のトンガの火山噴火での災害支援の際にも、海自の輸送艦おおすみに積み込まれて派遣されてたりします。
「あとは現場が山岳地帯の多い半島で陸路での侵入ルートが限られる上に、地震で道路が分断されているのもあるでしょうね。そのせいで地上からの大量輸送は渋滞と混乱を招きかねないので、先行して派遣された自衛隊の調査を基に必要な場所に適時投入されているようです」
「あー、狭い出入り口に一気に人が殺到したら詰まって動けなくなる的な」
「そういう意味では他国からの支援を受け入れるのも難しくなっているようですね。陸路での輸送に頼らない、今すぐ運用可能で災害にも対応できる船や機体を日本国内に保持している外国の組織なんて、米軍くらいでしょうし」
「あーやっぱり災害時にも軍って強いんだねえ」
そういう意味ではたまに災害に備えて大規模な災害派遣用の組織を作るべきだという声もありますが、災害がない間その大規模な装備と人員何に使うねんという話になるので、元から災害に対応できる装備と人員の居る自衛隊(他国なら軍)でええやんとなったりします。
「維持費もかかりますからね。そうでなくても軍というのは平時は穀潰しなどと言われることがありますし」
「まあ穀潰しで終わるのが一番いいんだろうけど」
自衛隊も警察も消防も必要とされないことが最良の状態だからね。
今日も高天原は平和です。