温度が乱高下するという令和の新たな試練
「天然ものの魚って、別に品種改良されてるわけでもないのに美味しいの実はすごくえらいのでは?」
「いや、いきなりそう言われても」
アルジェント公国のとある町にて。
相変わらずクッソ寒いのに素潜り漁でとってきた魚をウェッターハーン商会の店に納品しにきたカオルさんと、たまたま居合わせたのでついでに勘定をしているミィナさん。
まあ作者は魚介類食えないから魚の美味しさとか分かんねえけどな!
「確かに養殖より天然ものみたいな風潮もありますけど、いきなりどうしたんですか」
「いや、先輩に一人暮らしだから食事偏ってるんじゃないかと言われて、なるべく野菜も食べるようにしてるんだけど、こっちの野菜あんま美味しくないというか」
「あーまあそれは確かに、品種改良されまくった日本のそれと比べればそうでしょうね」
年配の方に聞くと昔より野菜は苦みが少なく甘いらしいからね。
現代日本の野菜に慣れてると舌が合わないのは仕方ないね。
「でもそれならそれで、現地流で美味しく食べる調理法とかあると思いますけど」
「めんどい」
「やる前から諦めんなや」
独身男のあまりにも情けない一言に、敬語をかなぐり捨ててつっこむミィナさん。
カオルさん基本的に豪快に焼くか茹でるかの男料理だからね。しかし居候人魚には好評な模様。
「まあ美味しい野菜が食べたいなら、ケロス共和国産のものなら。日本から持ち込んだ上でなんかよく分からない加護で美味しく育った品種もありますけど」
「おおっ、それこっちでも買える?」
「大陸の反対側なんですから輸送費かかってすっげぇ高いですよ」
「それそもそも鮮度もつの?」
そこはなんかこう、魔法的な何かで。
ファンタジー世界でどう見ても衛生的に怪しい食べ物や料理は、ファンタジーな理由で多分大丈夫なんだよ!
「まあ当然コストかかるからもっと高くなるんですけどね」
「世知辛いなあ」
どんな世界でも対価は必要だからね。仕方ないね。
今日も異世界は平和です。
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一方高天原。
「最近某サイトに多い中世ヨーロッパっぽい世界観のことをナーロッパって呼ぶらしいね」
「それ某どころかど真ん中なんですが、ここで話題にして大丈夫なやつですか」
ふむふむと何やら感心しながら言うアマテラス様と、メタすぎる話題に大丈夫かそれと心配するツクヨミ様。
この作品の世界観がいい加減なのは最初からなので問題ないな!
「でも実際面白くない? たくさんの人の間で共通した世界観が形成されてるってことでしょ。逆に馴染みのない人は置いてけぼりになるかもしれないけど」
「まあ確かに『白パンは貴族のもので庶民は黒パンばかり食べていたのが意識されていない』という発言に『え……むしろ古からのテンプレでは?』という反応が押し寄せてましたね」
「何それ恐い」
テンプレ過ぎると省略されるようになるからね。仕方ないね。
そういう意味では異世界転生するきっかけも省略されたりバリエーションが増えたりで、多くのトラックドライバーの皆さんが救われました。
「創作初心者にもありがたいでしょうね。よく二次創作は一次創作に比べてハードルが低いとされているのは、既に原作である程度の情報が共有されていて必要な描写が少なくなるという点もありますし」
「あー細かい説明すっとばしても読者側が『そういうものだ』と勝手に理解してくれるんだ」
そしてそのテンプレに全力で乗っかった作品がこちらになります。
女神様がぶちギレても納得されるくらい異世界召喚が一般化してないと、この作品意味分からないし生まれてません。
「いや今更だけど私困ってはいたけどぶちギレてはないよね」
「むしろぶちギレてるの母上ですね」
つまりタイトルの女神様はアマテラス様ではなくイザナミ様のことだった……?
今日も高天原は平和です。




