真面目な作品ではなるべく人名辞典とかで調べるけど他作品と名前がかぶる
「……なんで故事成語が通じるんだろう」
「またカガトさんがなんか言い出した」
「そういうお年頃なんじゃろう」
安達家のリビングにて。
焼き芋を食べていたと思ったら、ハッとしたように何か言い出したカガト君と、緑茶を飲みながら呆れるエルテさんと軽く流すリィンベルさん。
なおエルテさんは緑茶を飲んでみたはいいけど舌に合わなかったので、これ砂糖入れていいかなあと思ってますが、実行したら日本人なカガト君が珍しくマジでキレます。
「いや一部名詞が同じなのは諦めました。でも故事成語が通じるのは変じゃないですか。日本の故事成語って中国由来のものばかりですけど、あっちって中国っぽい国ないじゃないですか」
「それこそ翻訳されてるんじゃないですか?」
「うーん。じゃあ『矛盾』という単語の意味と語源は?」
「日本に来てから習いました」
「あっれぇ?」
故事成語が通じるのはおかしいと主張しようとしたのに、そもそも通じていなかったという不具合。
「いや、それはエルテのこちらへ来る前の知識が偏っておっただけじゃろう。矛盾という意味の言葉はあっちにもあるぞ」
「だって私もともと学校とか行ったことありませんしぃー」
「おお。それなのに召喚術なんぞ覚えられて凄いぞ」
拗ねるエルテさんと雑にほめるリィンベルさん。
エルテさんは召喚術について専門的に学んだわけではなく、門前の小僧が習わぬ経を読んでた状態だったので実際凄い。
なおそのせいで一部基礎が抜け落ちてて危険だった模様。
「え? じゃああっちでも商人が何でも貫く矛と、何でも防ぐ盾を売ってたんですか?」
「いや別にそんな語源があるとは聞いたことないが」
「あっれぇ?」
「やっぱ翻訳されてるんじゃないですかこれ」
「まあわしが生まれるよりも前に中国っぽい国があったのに、忘れられたという可能性も否定できぬが」
「ええ……何千年前ですかそれ」
「さすがに何千年もは生きておらんぞ?」
でも多分千年くらいは生きてる。
今日も日本は平和です。
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一方高天原。
「今度は某エルフなファンタジー作品の世界にハンバーグがあるのはおかしいとか話題になってる」
「暇なんですか?」
異世界サンドイッチ問題に続いてハンバーグが話題になっているのを見て首を傾げるアマテラス様と、そいつら暇なのかと呆れるツクヨミ様。
まあそもそもの発言者が観測できる限り数人なのに、議論に乗っかってる人がめっちゃ多いので多分みんな暇。
「ハンバーグってドイツのハンブルグが語源なんだよね。だからハンブルグのない異世界でハンバーグという名前なのはおかしいってことかなあ」
「それこそ翻訳されているのでは。といいますか、件の作品は登場人物の名前がドイツ語ばかりなので、ドイツ語が語源のハンバーグという名前でもある意味順当だと思いますが」
「あーもともと世界観がドイツ寄りなんだ」
「まあ人名に使われる単語ではないので、当のドイツ人たちが困惑していましたが」
「あるある」
ドイツ語かっこいいからね。仕方ないね。
なおこの作品のデンケンさんとかはドイツ語で「考える」という意味で、相方のインハルト侯はドイツ語で「中見、内容」という意味であり、英語でいうところのコンテンツだったりします。
……コンテンツ侯!
「まあ私たちの名前もたまによく分からない使われ方するしね。海外どころか日本の作品でも」
「それこそ海外でも人気な某忍者漫画の技名の方が世界的には有名なのでは?」
海外で日本神話の話題になると、高確率で忍者漫画の読者が紛れ込んでくる件。
今日も高天原は平和です。