もうみんな自衛隊入ろうぜ!(ヤケ
「日本に帰ろうと思うんですよ」
「ついに辞める気になったのね」
「いや違いますけど?」
メルディア王国とガルディア王国の国境にある学校にて。
以前から社畜気味だったのでついに辞める決心をしたのかと納得するオネエと、即座に否定するちみっこ先生ことリョウコさん。
ちなみに作者的にはブラック企業で働いてる皆さんは自衛隊入った方が精神的に楽なのではとか思っていますが、自衛隊は自衛隊で一般常識通じないし体育会系だし部隊によってはまあアレなこともあるので、やっぱお勧めはできないや。
というか二度と行きたくねえ。
「……大丈夫? 別にそのまま失踪してもいいのよ?」
「何でそこまで心配されてんですか。大体最近は他の先生も仕事に慣れてきたから、私がやることも減ってますよ」
「あー余裕が出てきたから、いったん里帰りしようと思ったわけね」
逆に言えばこれまでは里帰りする余裕すらなかったという恐怖。
オネエが失踪推奨するだけはあります。
「まあ最近は日本の方も教師の勤務体制がブラックすぎて、なり手不足だとか言われてるものね。案外こっちの方がマシなのかも」
「え? なにそれ恐い」
新しい先生が見つからなくて、教頭が担任やったり校長自ら授業してる学校とかもあるらしいよ。
ギリギリだね!
今日も異世界は平和です。
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一方高天原。
「え? 学校の先生そんな大変なことになってんの?」
「まあ多忙という意味では、小学校の教師の三割、中学校の教師の五割以上が過労死ラインを越える残業をしているというデータもありますね」
「なにそれ恐い」
あっさりと半分以上が過労死しかねないブラック。
しかも残業代とかでないので、給与がよくなるわけでもありません。
「何でそんな忙しいの」
「原因は多岐に渡りますが、まあ多岐に渡るせいですね」
「説明を諦めないで」
いやマジで多いし。
細かい雑務まで全部書いていったら、それだけで文章量がいつもの倍になりかねません。
「単純にやることが多すぎるんですよ。そもそも授業だけでも負担は大きいですからね。さらにホームルームやら生徒の見守り監視、進路指導やら部活動やらなんやらと、生徒の面倒を見ている間は雑務はできないわけですし」
「……生徒の相手してるだけでも労働時間の大半持ってかれてる?」
「そこからさらに授業の準備や提出物の確認。試験等の作成や採点。学校行事の準備。部活動やクラブ活動の監督や学校の運営にかかわる業務。事務作業。そりゃ残業になりますよ」
「そもそもの労働体制に無理ないそれ」
うん。
というか学校教育の変化により、便利すぎるせいで店員の負担が増えているコンビニ並みにやることが徐々に増えていっています。
「コンビニなら勤務時間が終われば業務を引き継げますが、教師はそういうわけにはいきませんからね。まあ教師が減っているせいで、引き継ぎたくても引き継ぐ人員が居ませんが(笑)」
「笑えねえ!? というか真顔なのに(笑)つけるな!?」
むしろもう笑うしかない学校教育の現場。
こんなネタにしていますが、このままいくとマジで学校教育が崩壊しかねない段階まで来ています。
「え? どうすんのそれ」
「労働環境を整えて教師を増やすしかないでしょうが、間に合うかどうかはさて」
はたして先生はこの先生きのこれるのか。
今日も高天原は平和です。