太ももが太くなりすぎてズボンがはけない
「最近富士山にピクニック感覚で入って遭難して迷惑かける登山客が多いらしいんですけど、グライオスさんそういうやらかしはしてないですよね?」
「失敬な。わしがそんな迂闊なことをやるわけないだろう」
「ええ……」
安達家のリビングにて。
なにやらスマホでニュースを見ていたらしく話をふるエルテさんと、某ロボゲーを「十年ぶりの新作だ!」と嬉々として買ってきてプレイしているグライオスさん。
あんた十年前はこの世界に居なかったしゲームの存在すら知らなかっただろ。
「まあ確かに暇があれば様々な山に登ってはいるがな」
「たまにマカミさんとか巻き込んでますよね」
「どの山も竜王山と比べれば楽であったな」
「むしろあんなドラゴンの巣窟に登れるのは人類じゃありませんよ」
ナチュラルに目の前のおっさんを人類から除外するエルテさん。
まあ他にも竜王山に気軽に登ってるのオネエとか団長とか人類か怪しい人たちばっかりだし。
あと話にはあまり関係ありませんが、新しいパソコンのキーボードの細かい位置が微妙に違うので、先ほどから全ての文章の終わりで「。」を打つつもりで「・」を打ってしまい全部直しています。
読むのには問題ないのでもう今日から。の代わりに・使っていいのでは?
「何。エルテもこのままリィンベルに師事していれば、立派に人間卒業できるであろうよ」
「卒業する予定はないんですよ」
もはや自分が人類であることを主張するのは諦めたらしく、エルテさんも人外に引き込もうとするグライオスさんと拒否するエルテさん・
今日も日本は平和です・
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一方高天原。
「ゲリラ豪雨はヒートアイランド現象が顕著な都会で起きやすい……ということは高天原は都会だった?」
「まごうことなき田舎ですよ」
夕暮れ時に突然降り出したバケツをひっくり返したような雨を見ながら言うアマテラス様と、冷静につっこむツクヨミ様。
ちなみに高天原の所在地については諸説ありますが、主に天上に存在する説、日本国内のどこか説、創作だから最初からそんなもん存在しないよ説などがあります。
最後のはもっとこう、手心というか。
「それにしても何でわざわざ山登りたがる人がいるのかなあ。登りきる持久力があれば楽しいもんなの?」
「何が楽しいかは人それぞれだと思いますが、山登りの場合は平地と違って持久力以外にも足の、特に太ももの筋肉も必要ですよ。勾配で自分の体重を支える必要がありますから、足はもちろん尻の筋肉まで総動員することになり、慣れていないと筋肉痛一直線です」
「聞いてるだけでしんどい」
ちなみに陸の自衛隊では定期的にフル装備で銃を背負って山の中を障害物を乗り越えたり匍匐前進したりして突破しながら駆け回る訓練が定期的にありましたが、足の筋肉が発達しているのか平地ではそれほど早くないのに山の中だとブーストのかかる隊員がたまに居ました。
もう二度とやりたくねえ。
「んーマラソン選手とかは細身な人が多いけど、山の中を走るなら筋肉ついてる方が有利ってこと?」
「まあ負荷が大きいほど筋力がある方が有利になるでしょうね」
そもそも一般人は山を歩くならともかく走ることはまずありません。
自衛隊員は一般人じゃないからね。仕方ないね。
「つまりスサノオは山の中のほうが速い?」
「あの筋肉は陸海どこでも速いでしょう」
冷静に実の弟を筋肉呼ばわりするツクヨミ様。
今日も高天原は平和です。