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好きな本は物質として手元に欲しい

「やっほー。お疲れみたいですねアズサさん」

「あー……久しぶりミィナちゃん」


 フィッツガルドの帝都にて。

 ちょっとバイトしてみたいと言ったら、何故か国政の浅い部分に関わる羽目になってマジでお疲れの様子のアズサさんと、普段の活動内容と範囲を考えたら疲れてないとおかしいのに元気いっぱいなミィナさん。

 仕事内容がデスクワーク中心でも、体力と筋肉はつけておいた方が日常生活の疲れは軽減されます。


 しんどいのを軽減させるために体力つけるのがしんどい?

 ……うん。


「いつも日本の物届けてくれてありがとね。また何か商品の宣伝?」

「それもありますけど、ちょっとお仕事の斡旋をしようかなと」

「殺す気?」

「今の仕事やめてもう少し気楽なお仕事を紹介しようって意味ですよー」

「あーなるほど」


 これ以上仕事増やされたら死ぬわというアズサさんに、むしろもっと楽な方に転職しませんかと誘うミィナさん。


「そもそも本来なら働く必要ないでしょうアズサさん」

「いや……保護されたまま何もしないのってこう、すわりが悪いというか」


 根が真面目な日本人だからね。仕方ないね。


「で、仕事ってどんな? 私そんな専門的なスキルとかないよ」

「漫画の翻訳をお願いしようかなと。何せ数が多いんで、ノルマはなくて自分のペースでやってもらっても大丈夫です」

「あーそれならできそうかも」


 今やらされてるのが主に日本語の書類の翻訳なので、確かにできそうだと納得するアズサさん。

 なお実際には特有の文化や言い回し、ジョーク等を翻訳先に合わせるために、幅広い知識と言語センスが必要とされるので、そんなほいほいできるものではありません


 やっぱり自動翻訳チートだな?

 というか異世界で漫画を販売する契約をあっさり取れているミィナさんの方がチートだな?


「んーでも私の手を借りるほど忙しそうなのに、辞めて大丈夫かな」

「そもそも外国人が浅いとはいえ国政に関わる方がヤバいんで、何かの拍子に機密とか知っちゃう前に早いとこ逃げた方がいいと思います。まあそうならないようにヴィルヘルミナさんとかは気を付けてると思いますけど、皇帝陛下がたまにうっかりするんで」

「ええ……」


 ここの皇帝そんなうっかりものなのかとドンびくアズサさん。

 カガトくん相手とかに価値観の違いでやらかしまくってるからね。仕方ないね。


 今日も異世界は平和です。



 一方高天原。


「そういえば最近は本の売上落ちてるって聞くけど、漫画は海外で絶好調なんだっけ」

「確かに絶好調ですが、国内での売上が落ちているというのは誤解がありますよ。確かに紙の本の売上は落ちていますが、電子書籍の方はここ数年で急激に伸びていて、今が漫画全盛期と言っても過言ではありません」

「そうなの!?」


 一昔前は酷評されていた電子書籍が伸びていると聞き、時代の流れに驚くアマテラス様。

 そもそも十年以上前の漫画の電子書籍は、何故あんなに読みづらいものが多かったのか。


「漫画の売上は90年代がピークでしたし、それ以降は下降を続けていたので売上が落ち続けているイメージがあるのかもしれませんが」

「あー確かに90年代は人気の漫画が多かったような気が」

「しかし2010年代中ごろから電子書籍の売上が伸び始め、2017年には紙の漫画の売上を越えています」

「へー。電子書籍に抵抗ない人が増えたのかな」


 電子書籍の売上が急激に伸びたのは、ネットの海賊版サイトの大手が駆逐されたこと。

 さらに各企業が電子書籍の販売に本腰を入れて、正規のネットストアが利用しやすくなったことが理由ではないかとされています。


「そこから電子書籍の売上は伸び続け、2020年には紙と電子を合わせた漫画の売上が90年代のピークを越え約6100億円、翌年の2021年にはさらに600億円ほどの伸びて約6700億円ほどになっています」

「何でそんなに伸びてんの!?」


 2020年時点でかつてのピークを越えていたのに、次の年にさらに600億円近く伸びるという割とマジで意味の分からない伸びっぷり。

 しかもこの額はあくまで日本国内市場のものであり、海外市場は含まれていません。


「ここ数年の伸びは、海外も含めて外出自粛や規制で需要が伸びたのではとされていますね」

「あーなんか聞いたことがあるような」


 ちなみにその外出規制の中で、フランスでは文化体験を推奨するために若者に無料クーポンが配られたことがありますが、主な使い道が日本の漫画だったためメディアに「マンガクーポンになってんじゃねえか!?」とつっこまれたそうです。


「あーグ〇ンダイザーが大人気なんだっけフランス」

「先にそちらが放送されたせいか、元祖のマ〇ンガーZはあまり流行らなかったそうですが」


 今の若い人マ〇ンガーは知っててもグ〇ンダイザーは知らなさそう。

 というかス〇ロボやってなかったら作者も知りませんでした。

 生まれる前の作品だからね。仕方ないね。


「まあマ〇ンガーZも初発表は半世紀前ですからね」

「いや五十年前なわけないじゃん。流石に大雑把に言いすぎってマジだ!?」


 マジです(1972年放送開始)。

 今日も高天原は平和です。


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― 新着の感想 ―
[一言] ミィナさんはあの押しの強さでどんな契約でも取れそう…。
[一言] たまには楽天koboで買ったこの作品を読み返そうと思いました。2巻出ないかな…(無茶振り)
[一言] 主に下がってたのは雑誌の売り上げだったりするらしい 尚攻略本は雑誌カテゴリだったはず、今時需要がね……
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