たまに甘いものをがっつり食べたくなる(そして食べきれず残す
「カガトさーん。ホワイトデーなので何かおごってください」
「君どんどん遠慮なくなってるよね。いやチョコはもらったし別にいいけど」
休日の安達家のリビングにて。
ふと思い出したように挙手して言うエルテさんと、呆れながらも嫌ではないらしいカガトくん。
そもそも女性恐怖症なカガトくんが普通に接しているあたり、エルテさんへの好感度は案外高いのかもしれません。
あるいは年下なためガードがゆるいのか。
数年後が楽しみだな!(なお本作はサ〇エさん時空
「なんならお昼はどっか食べに行く?」
「え、流石にそれは。おこづかい大丈夫なんですか」
「大丈夫大丈夫。俺元々あっちで働いてて貯金あるし」
「ああ。そういえば王宮勤めの魔術師でしたっけ」
「いや。俺あくまでお嬢様の雇われ魔術師だからね?」
むしろ王宮勤めの方が箔が付くのですが、そこは譲らないカガトくん。
まあ給料出してるのもヴィルヘルミナさんだし。
「あれ? じゃあいくら皇帝とかでも、直接の雇い主なお嬢様飛び越して仕事押し付けるのダメじゃないですか?」
「……言われてみれば!?」
「ええ……」
言われて今更気付いたらしいカガトくん。
押しに弱い日本人だからね。仕方ないね。
「道理でお嬢様が皇帝に怒ってると」
「それはまた別の理由ありそうですけど。改めてちゃんと給料請求した方がいいんじゃないですか」
「うーん。でもお嬢様からの給料だけでも貯まっていく一方だったしなあ。あっちでの貯蓄の半分を日本円に変えてもらったら、通帳確認して二度見しちゃう金額が入ってたし」
「あー、そりゃ学生にはまとまったお金は珍しいですよね『これなんだけど』って多!?」
カガトくんが見せて来た通帳を目に入れ、二度見はせず一発で驚くエルテさん。
異世界間の為替レートって調整するの大変そう(小並感
「え? 何でこんなに金持ってるのに質素な生活してるんですか?」
「質素て。別に日常的にたくさんお金使う機会ないし」
「……毎日おやつを買って帰るとか」
「太るよ?」
こっちはこっちでお金の使い方が微笑ましいエルテさん。
今日も日本は平和です。
・
・
・
一方高天原。
「ツクヨミ何でも器用にこなすけど、なんか苦手なことないの?」
「それ要するに『何か弱みを見せろ』と言ってますよね」
ホワイトデーのクッキー詰め合わせを食べながらジト目で言うアマテラス様と、今日も冷静沈着シスコンなツクヨミ様。
仮に弱みを掴まれてもアマテラス様がやることなら喜んで受け入れそうです。
「というかホワイトデーって海外ではあまり聞かないけど、マイナーなの?」
「まあそもそも日本発祥ですし」
「また日本か」
そもそもバレンタインデーもお菓子会社の陰謀で変質してるからね。仕方ないね。
「えーじゃあホワイトデーもお菓子会社の陰謀なの?」
「大体そうなのですが」
「ですが?」
「様々な企業や組合が『うちが発祥だ!』と主張しており、どれが本当か分からなくなっています」
「どうしてそうなった」
日本発祥なのは間違いないのに、どこが発祥なのかは情報が錯綜し分からないというカオス。
「まあ菓子業界で『バレンタインのお返し』というものが考案され、企業などがそれぞれ独自に活動を始めた結果定着したそうなので、恐らく各陣営嘘はついてないんですよね」
「余計にややこしい」
ちなみにホワイトデー自体は日本発祥ですが、中国や韓国、台湾などの東アジアの一部では定着しています。
韓国ではさらに独自発展を遂げ、4月14日にはブラックデーという、バレンタインにもホワイトデーにも縁がなかった人間が黒いものを食べる習慣もあるそうです。
「なにそのクリスマス粉砕デモみたいな後ろ向きな習慣」
「まあネタにできている内はある意味健全なのでは」
し〇と団みたいな実力行使に出たら問題だからね。
今日も高天原は平和です。