個人的には無理
「もしかしてこっちってバッタとかコオロギ食べる習慣あったりします?」
「もしかしなくても存在しないけど。どこからそんな発想拾ってきたんだい」
フィッツガルド帝国の帝都にて。
例によってミィナさんに捕まり何で私の方に来るんだよと思っていたローマンさんでしたが、質問内容を聞いて「こりゃヴィルヘルミナには聞けんわ」と納得。
だが待ってほしい。
あのお嬢様は虫が苦手でも平気でもどちらでもおいしいのではないだろうか?(キャラ的な意味で
「あーでも日本ではイナゴを食べるんだっけ」
「いやあれ限定された地域の話ですし。その地域でも無理って人はいますからね」
むしろ何でイナゴ食べるんだよと日本人でも結構な割合が思っているはずです。
後ろ足や羽は刺さるから取り除いた方がいいらしいよ!
「いやなんか日本でコオロギの食用の研究が進められてるみたいで。個人的にはなしなんですけど、もしかしたらこっちで需要あるかなあと」
「ないから。ごく一部が興味持つかもしれないけど、商売になるほどは無理だから」
ちなみに虫を食べる地域というのは世界的に見ればそこそこありますが、主にアジアやアメリカ大陸などの一部地域であり、ヨーロッパなどではあまりありません。
そもそも寒いと虫がいないか、居てもちっさいからね。
「じゃあ輸入はやめときましょうか」
「是非そうしてくれ」
とりあえず異世界にコオロギが食用として輸入される危機は回避された模様。
今日は異世界は平和です。
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一方高天原。
「イナゴって大量発生するし、コオロギより食用飼育に向いているのでは?」
「イナゴを主食にしたいですか?」
「やだ」
自分で言い出しといて速攻で拒否するアマテラス様。
実際のところ味とかどうなのかは、作者は食ったことないしそもそも虫嫌いで食う予定もないので、永遠の謎です。
虫嫌いなのに元陸上自衛官って大丈夫だったのかとか思われそうですが、演習とかで意識が切り替わると、顔の上をバッタとかが跳ねていっても平気になるので問題はありませんでした。
やはり自衛隊の新隊員教育は洗脳だったのでは……?
「というか実際日本以外でイナゴ食べてる地域ってないの? この間も蝗害起きてたし、こちらも食い尽くせばよかったのでは?」
「2020年まで東アフリカなどで大量発生していたのは、サバクトビバッタであってイナゴではありませんし、食用には向いていないそうですよ」
「あれ?」
蝗害なのに正体がバッタだったことに首を傾げるアマテラス様。
ちなみに日本人にはあまりピンときませんが、蝗害は真面目に環境への被害が大きいため、国連の専門機関にはバッタ情報担当官という役職まであったりします。
「え、やっぱりメインはバッタなの? なら中国とかで発生する蝗害がバッタじゃなくてイナゴなの?」
「いえ。中国で発生する蝗害もバッタです」
「なんで??」
蝗害なのにイナゴが全く出てこないことにさらに首を傾げるアマテラス様。
ちなみにイナゴ自体はバッタ目でありバッタの仲間ではあるのですが、イナゴが蝗害を起こすことはあまりありません。
「そもそも中国ではバッタが大量発生する現象に対して『蝗』という漢字を使っていたんですよ。しかし日本では蝗害が起きることは少なかったので、説明を聞いた結果『なるほどつまりイナゴだな!』と勘違いされイナゴに蝗の漢字があてられたとされています」
「誤字じゃん」
まさかの千数百年レベルの誤字。
ちなみに日本でも蝗害自体は起きていた記録がありますが、バッタやイナゴだけではなくウンカ、メイチュウなどの虫による害全般を指しており、もうこれ分かんねえな
「え? じゃあ蝗を率いる天使とかも、実はイナゴじゃなくてバッタを率いる天使だったの?」
「そうなりますが、大した違いではないでしょう」
「いや字面が間抜けじゃない?」
軽率にアバドンさんに怒られそうなことを言うアマテラス様。
イナゴの王とバッタの王だと印象変わるからね。仕方ないね。
「いやワンチャン仮○ライダーを率いている可能性が?」
「ありませんよ」
そもそもバッタ以外がモチーフの仮○ライダーも多いからね。
今日も高天原は平和です。