納豆とか入ってないんかい
「ナポリタンが世界の評価の低い料理ランキングで22位になったらしいですよ」
「あー……うん」
安達家のリビングにて。
いつかと同じようにスマホを見ていたと思ったら、いつかと同じだけど真逆のことを言い出したエルテさんに、少し考えてとりあえず「うん」と言っておくカガトくん。
というか「うん」としか言えねえ……。
「今回は『なんで?』じゃないんですか?」
「いやイタリア人激怒不可避料理としてよくネタにされてるし」
なお実際に食べてみて「……ありだな!」となるイタリア人も居るには居るそうです。
というかイタリア人的にはケチャップを使うのが許せないらしく、とある調査会社によるとケチャップをパスタにかけることを許容できる人は7%であり、許せない人は89%にまでなったそうです。
なおアメリカ人は許容する模様。
というか一説によるとナポリタンにケチャップぶっこむ元凶はアメリカ人なので、文句はアメリカ人に言ってください(責任転嫁)。
「あと他には雷おこしが入ってるみたいですけど」
「むしろ食べたことある外国人そんないるの雷おこし!?」
評価が低いことよりも、むしろランキングに入るほど知名度があったことに驚くカガトくん。
というか作者も食ったことありません凄いな外国人。
「え? 他には?」
「百位以内だとその二つだけみたいですけど」
「何でや」
ナポリタンはともかく何故ランキング入りしているのが雷おこしなのかとつっこむカガトくん。
まあやってるの前に出した伝統料理ランキングと同じところだから……。
今日も日本は平和です。
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一方高天原。
「え? もしかしてナポリタンってネタじゃなくてマジで嫌われてる?」
「まあ味はともかく真面目に許せないイタリア人はいるようですね」
まさかそこまでとは思っておらず衝撃を受けるアマテラス様と、今日も冷静なツクヨミ様。
イタリア人ケチャップ嫌いだからね。仕方ないね。
「イタリアは食に関しては案外保守的らしく、トマトケチャップ自体がアメリカのものという認識があるので『そんなものは使わねえ』となっているそうですね」
「あーナポリタンもアメリカ経由なんだっけ?」
「戦後に日本に駐留していた米兵がスパゲティをケチャップだけで食べていたのを見て開発されたそうですね。もっとも、最初に作られたナポリタンはケチャップではなくトマトペーストが使われていましたが」
「そうなの!?」
そのままトマトペーストで普及していれば許された可能性が微レ存……?
むしろそこまで嫌われているケチャップくんは何なのか。
「といいますか、イタリアとアメリカの間でのパスタの溝が深いようですね」
「パスタの溝とは」
「アメリカではスパゲティの缶詰というものがあり、軍用レーションにもなっていて馴染みのあるものだったそうです。しかしその味付けがケチャップに近いソースな上にパスタにコシがなくやわらかいもので、それこそイタリア人激怒不可避なものだとか」
「あー」
別にそれはそれで美味しそうだけど、イタリア人は怒りそうだと納得するアマテラス様。
このアマテラス様ジャンクなものも美味しく食べるからね。
「というかパスタを炒めるのはセーフなの?」
「大丈夫ではないでしょうか。パスタが焦げ付くまで情け容赦なく炒めるため『暗殺者のパスタ』という名前の料理もあるそうですし」
「何そのカッコいい名前」
なおその暗殺者のパスタの味付けにはトマトペーストも使うそうです。
……やはりトマトペーストなら許された可能性が?
今日も高天原は平和です。