「雪のせいで橋が全て封鎖され四国が陸の孤島に」と言われて「……ん?」となる
「カガトよ。雪が降ったから雪像を作るぞ!」
「嫌です」
安達家のリビングにて。
こたつに入ってみかん食ってたら唐突に扉をがらっと開けて言い放ったグライオスさんに対し、同じ命令でもリィンベルさんのときとは違って即座に断るカガトくん。
買い過ぎたみかんって結局食べきれなくてカビ生えたりするよね。
「何故だ!?」
「いや何故だも何も、雪だるま作ってはしゃぐような歳でもありませんし」
「おぬしの数倍生きているのにはしゃいでる人間がここにいるだろう!」
「いやそこで威張られても」
グライオスさん心は少年(悪ガキ)のままだからね。仕方ないね。
でも実際これくらいの方が生きてて楽しそうではあります。
「それに作るのは雪だるまではない。雪像だ!」
「ええ……俺雪だるますら子供の頃作っただけですし、そんなもん作れませんよ」
「何? 日本人は誰でも雪像を作れるのではないのか!?」
「どっから仕入れたんですかその知識」
雪像作ったことがある日本人とか少数派だと思われますが、ネット上にその少数派が画像をあげるので、海外でも「なんか日本人が凄いもん作ってる!?」と軽い話題になることがあったりします。
いやマジで何でト○ロやらポ○モンがその辺の道端に出現するんですか。
「物は試しだ。メインはわしがやるから手伝え」
「ええー。というか何作るんですか?」
「竜王山の山頂に出現する銀色の竜だ!」
「せめて俺にも分かるもんを作ってください」
完成形が分からないと手伝うのも難しいからね。
今日も日本は平和です。
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一方高天原。
「そういえば雪まつりに自衛隊も参加してるけど、あれって訓練の一環なんだっけ?」
「野戦築城訓練ということになっていますね。実際陸上自衛隊、特に普通科は穴掘って固めるのが仕事みたいなものですし」
「あー塹壕作るために何日も山にこもって穴掘るんだっけ」
「穴を掘るだけでなく、敵から見えづらくするために周りに草を植えたり、頭上を草や葉をつけた網で覆ってデコレーションしたりもします」
「何かの作品?」
ちなみに一般には兵士が隠れてる溝とか穴は塹壕という呼び方が知られていますが、自衛隊では掩体と呼ぶことの方が多いです。
厳密には塹壕に射撃で有利になるよう土などを盛ることを掩体というそうですが、細かい違いは私にも分からん。
「だからあんなにレベルの高い作品が……」
「そこはノウハウが隊員間で継承されているのが大きいそうですね。やるからには全力というのもありそうですが」
「え? そんな自衛隊の皆さんノリノリなの?」
「最近は徐々に縮小していますが、雪まつり自体が自衛隊に依存している部分が大きかったそうですし。綺麗な雪が足りない時には捜索のために自衛隊のヘリが出動したこともあるとか」
「それ大丈夫なの!?」
まさかの雪探しに自衛隊ヘリ出動。
まあ幼稚園にクリスマスプレゼント届けるためにサンタとトナカイ乗せた輸送機が出動したりもしてるし。
「そういうのも訓練の一環という位置づけになってることが多いそうですね。用事がなくてもどうせ訓練のためにヘリは飛ばすわけですし」
「あー練習は定期的にしないといけないもんね。あくまでメインは訓練なんだ」
「まあ完全に建前でしょうが」
「言っちゃったよこの弟!?」
実際建前は大事。
みんながみんな本音で生きてたら一部のニュー○イプみたいに殴り合うことにしかなりません。
「あとは広報的な意味もありますね。迷彩服で買い物をしていただけで苦情が来ることもあるそうですから。印象をよくするために必死なのでしょう」
「何それ世知辛い」
ちなみに迷彩柄は色と背景によってはマジで発見が困難になるので、やんちゃな子供とかお年寄りに着せるのは控えましょう。
今日も高天原は平和です。