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年始からスマホ払いでエラーが出て焦った

「そういえばヴィルヘルミナはカガトに手を出すつもりはないのかい?」

「新年早々喧嘩売りやがってますのこの男は」


 フィッツガルド帝国の新年のちょっとしたパーティーの顔合わせにて。

 最近板についてきた胡散臭い笑顔で「おまえの立場でそれ言ったらあかんやろ」ということを平然と言い放つローマンさんと、同じく笑顔で応対しながらも怒りのあまり一部お言葉が乱れているヴィルヘルミナさん。


 周囲の人間には何言ってるかまでは聞かれていないので「あのデンケンのドラ息子が、あのインハルトの愛娘と対等に話せるまで化けるとはなあ」と感心してんだか恐れられてんだか分からない感想を抱かれています。


「いやちょっと真面目に心配なんだけれどね。カガトは、アレは追うと逃げるタイプだろう。しかも女性恐怖症が君への敬愛と重なっておかしなねじれ方をしているみたいだし、早めに矯正しておかないと拗れるよ」

「だからどの立場から言ってるんですの貴方」


 過去の黒歴史がなかったみたいに飄々と言うローマンさんに、これだけ化けるなら見切りをつけるのは早かったかと思いつつ、いややっぱりこの男は個人的にはないわとため息をつくヴィルヘルミナさん。

 覚醒したローマンさんは仕事人としてもやり手ですが、プライベートでも面倒くさい男になっているので仕方ありません。


「大体何で貴方がそんなことを気にするんですの」

「面白そうだから」

「ぶん殴りますわよ」


 実際はたから見てる分には面白いカガトくんの大暴走。

 はたして次に会うまでにカガトくんの中の「ぼくのかんがえたさいこうのおじょうさま」はどこまで成長しているのか。


「というか出会った時の契約成立の一言が『犬とお呼びください』な時点でヤバい男なのは元からだろう」

「何故そのことを知っていますの貴方」


 実はヴィルヘルミナさんとカガトくんの関係は最初から捩れていた……?

 作者の人そこまで考えてないと思うよ。


 今日も異世界は平和です。



 一方高天原。


「姉貴。兄貴。正月で酒が飲めるぞ」

「先週もクリスマスで飲んでたじゃん」

「といいますか、行事関係なく毎日飲んでいるでしょう貴方」


 正月なので酒もって乗り込んできたスサノオ様と、呆れた様子ながらも出迎えはするアマテラス様とツクヨミ様。

 年末年始は日本人の本領発揮な宗教ちゃんぽんラッシュだからね。仕方ないね。


「ほらこれ、オオクニヌシのやつがスパークリング日本酒とかいう洒落たもんを贈ってきてな」

「おっくんからもらったのに素直に受け取るんだ」

「酒に罪はない」

「そもそもオオクニヌシにも何の罪もないでしょうが」

「うん? 甘くて結構飲みやすいかも」

「確かに。刺激が強いのかと思えば、口当たりも良いですね」

「だろ」


 ちなみにスパークリング日本酒こと発泡日本酒は昭和初期頃から存在自体はしたのですが、あまり注目されることもなく最近になってようやく日の目を見るようになったそうです。

 その飲みやすさから女性や外国人からも人気が高いとか。


「スパークリング日本酒に限らず、最近日本酒の生産量自体は減少傾向ですが、海外への輸出は十年以上伸び続けているそうですね。主に日本食レストランなどで出されて馴染み深いものになっているとか」

「あー日本食レストラン。海外のそれってあんま良いイメージがないんだけど」

「だよなあ。寿司とかあれ原型ないのも多いだろ」

「まあそれは日本のインド料理店が伝統とかぶん投げて日本人向けにアレンジしているのと同じようなものでしょうし」

「あー実はやってるのネパール人が多いんだっけインド料理店」

「だよなあ。もう何も言えないよなあ」


 結局現地の人の味覚に合うかどうかだからね。仕方ないね。

 前提として分かっててやってるのとそうでないのとではまた話が変わるでしょうが。


 今日も高天原は平和です。

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― 新着の感想 ―
[一言] >ネパール人がインド料理店やってる事情 303話『インド人もびっくり』に書かれてましたね。
[一言] スパークリング日本酒…店やってた時に酒屋から 「メーカーからいくらキックバック貰ってんの」 ってくらいに売り込みが激しかった時期が…ミ…うっ!頭が!
[良い点] 更新乙い [一言] 現地の人に馴染みある食材で、それっぽい料理を作る 日本でもよくやってきたことだなあっていう
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