休みじゃなかったのでサボろうかと思ったけど怒りを力に変えて更新
「メリークリスマス。魔王様」
「魔界でメリークリスマスしてええんかというか何やその恰好」
魔王様のおわす魔王城にて。
相変わらず猫まみれな上に赤い服を纏い浮かれてるようにしか見えない格好なのに真顔なグラウゼさんと、こちらはこちらで目の前の光景の意味が分からず真顔でつっこむ魔王様。
真面目な人ってたまに大真面目におかしいことするよね。
「何。たまには魔王様の気が休まるよう、故郷のイベントを再現するのもいいかと思ってな」
「その気遣いはありがたいけど何故にクリスマス」
「というわけで良い子にしていた魔王様にプレゼントだ」
「アンタは私のなんやねん。サンタからプレゼントもらうような歳やないんやけど、まあくれるならありがたくもらうわ」
グラウゼさんも吸血鬼で長生きだからね。
魔王様も子ども扱いでも仕方ないね。
「これからの季節に備えてコートを贈ろうと思ったのだが、やはり魔王様の立場として半端なものはダメだろうと、日本からそれなりのものを取り寄せた」
「ええ……。あ、でもシンプルなデザインやん。どんな派手なもんが出てくるかと」
グラウゼさんの魔王ガチ勢っぷりに嫌な予感がしたものの、あけてみれば普段使いできそうなコートが出てきて一安心する魔王様。
グラウゼさんその手のセンスはちゃんとしてるからね。
「では。娘にもプレゼントを渡しに行くので失礼する」
「おう。ありがとね。たまには親子水入らずでゆっくりしいやあ」
そうしてトナカイではなく猫を引き連れて去っていくグラウゼサンタを見送った魔王様でしたが、後日ミィナさんからコートが二桁万円を軽く越えるものだったと聞き、予想以上の魔王ガチ勢っぷりにドン引いた模様。
今日も魔界は平和です。
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一方高天原。
「メリークリスマスだ兄貴」
「はいはいメリークリスマス」
毎年恒例の高天原でのクリスマスパーティーにて、酒瓶片手に絡んできたスサノオ様に投げやりに返すツクヨミ様。
……何で高天原で毎年クリスマスパーティーをやっているんだ?(毎年恒例の疑問
「まあ高天原でメリークリスマスなんて挨拶も変と言えば変だよなあ。アメリカならともかく」
「そのアメリカも最近はメリークリスマスとは言わない人が増えているそうですよ」
「え? 何でだ?」
割と知られるようになってきていますが、アメリカではキリスト教徒以外にも配慮して「メリークリスマス」ではなく「ハッピーホリデイ」という挨拶をすることが増えています。
そのせいかトランプ元大統領などは「大統領になったらメリークリスマスと言う」と宣言しており、実際に大統領になったさいには「米国民はメリークリスマスと再び言えることを誇りに思ってる」などとSNSに書き込んだりもしています。
うん。これ日本人からすればよく分からんけど、下手に首つっこむと面倒なことになるやつだな(今更
「はーなるほどねえ。文化の混じり合いってのも面倒なもんだな」
「まあここでそんなこと気にする者はいないでしょうが」
「だろうな!」
日本の神様も人間も大雑把だからね。仕方ないね。
「そもそも貴方が飲んでいるのも、クリスマスなのに芋焼酎じゃないですか」
「おう。結構甘くて飲みやすいぞ! 兄貴も飲め飲め」
「はいはい」
スサノオ様にすすめられ、仕方なさそうにグラスを差し出すツクヨミ様。
ちなみに出番のなかったアマテラス様は、例によってタケミカヅチ様と「どちらがよりクリスマスな神か」を競い合って発光しています。
なお軽く調べたところアマテラス様(クリスマスの姿)の方がタケミカヅチ様(クリスマスの姿)より多かったので、今のところはアマテラス様優位かもしれません。
むしろタケミカヅチ様(クリスマスの姿)が探したら居たのにびっくりだよ!?
今日も高天原は平和です。