表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

405/528

紅葉狩りとか行ったことない

「なに? 紅葉狩りとは紅葉の木の下で宴会をすることではないのか!?」

「花見とごっちゃになっておるじゃろうそれ」


 安達家のリビングにて。

 紅葉の季節を知らせるテレビ番組を見ていたと思ったら、首を傾げて何か言い始めたグライオスさんと呆れるリィンベルさん。

 ちなみに一部地域では紅葉を口実にした宴会をする習慣自体はあります。


「そもそも何故紅葉見ではなく狩りなのだ? 紅葉を採って食べるのか」

「いや食べとらんじゃろ」


 紅葉狩りは紅葉を収穫して食べる行事ではありませんが、一応紅葉の名所などでは紅葉の天ぷらが名物だったりするところもあります。

 しかもその紅葉の天ぷら、一年塩漬けにした後に丁寧に塩抜きをし、一枚ずつ手作業であげていくという中々に手間がかかっている食べ物だったりします。


 てっきり大葉の天ぷらみたいなノリであげてるのかと……。


「しかしだ。何事にも先駆者というものはいるものだ。我々でやってみるか。紅葉の下で宴会!」

「恥ずかしいからやめい」


 放っておいたら本気でやりかねないので、しばらくはグライオスさんの動向を監視しておくことを決意するリィンベルさん。

 なお酒大好きなオグニルさんとフリーダム神官ナタンさんが巻き込まれた結果、宴会は無事決行された模様。


 今日も日本は平和です。



 一方高天原。


「本当に何で紅葉狩りって狩りって言うの?」

「平安時代あたりまでは紅葉も凶暴な個体が多かったですからね」

「だからツクヨミ真顔で冗談言うのやめてよ。一瞬信じたじゃん」

「一瞬でも信じたことがむしろ驚きですよ」


 ちなみに紅葉が凶暴だったのは当然ツクヨミ様ジョークですが、能や歌舞伎などの演目には「紅葉狩」という、紅葉という名の鬼女を討伐する話がマジであったりします。

 様々なパターンのある話なので、鬼女の名前が紅葉ではない場合もありますが。


「まあ紅葉狩りの語源には諸説ありますよ。例えば平安時代の貴族たちにとって自分の足で歩くことは好ましいことではありませんでしたが、紅葉を見るために山へ行くにも牛車では難しいので、歩いて行く言い訳に狩りという言葉が使われたというものですね」

「散歩行くだけなのにカッコつけて『一狩り行ってくるぜ!』的な?」

「まあ大体合ってます」


 ツクヨミ様が訂正しないせいでアマテラス様の中で平安貴族が中学生男子に。


 なお鑑賞のために紅葉の木の枝を折って手に取ることもあったそうですが、現代日本でそれをやると森林窃盗罪という罪で御用となります。

 というか厳密には自分の土地でもない山とかで山菜とかタケノコ採るのも森林窃盗罪になります。

 たまに勘違いされていますが、私有地ではなく国有林などでやっても大抵見逃されるだけで森林窃盗罪は適用されます。

 気を付けようね!


「え? じゃあ高天原で勝手に山菜採ってるやつとか居たら通報していいの?」

「高天原まで山菜採りに来るって何者ですか。といいますか、姉上は通報を受ける側では」


 ちなみに自衛隊の演習場の中には一般人に解放され山菜採りができるところもありますが、そうじゃない演習場で演習中に山菜採ってる爺婆と遭遇することもあります。

 割と境界線曖昧だからね。仕方ないね。


 今日も高天原は平和です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらの作品もよろしくお願いします。

スライムが倒せない
 とある田舎の村の少年レオンハルトは「冒険の旅に出たい」という夢を持っている。
そのため手始めに村の近くに出没したスライムで魔物との戦いの経験をつもうとしたのだが……。
コメディーです。
― 新着の感想 ―
[一言] 北海道には観楓会ってのがあってだな、紅葉見ながらジンギスカン食って酒飲んで…ってのがデフォルトだったりするのだww
[一言] >というか厳密には自分の土地でもない山とかで山菜とかタケノコ採るのも森林窃盗罪になります。 基本的にそうなんですが、実は入会権(いりあいけん)というものもあります。 デジタル大辞泉では 『…
[一言] 酒が呑めれば何でもオッケーな日本人が紅葉狩りでは比較的宴会をしない謎
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ