スサノオ様揚げ物全般好きそう
「魔界ってお月見とかせえへんの？」
「月見か。そういえば日本にはそんな風習もあったな」
魔王様の疑問を相変わらず猫まみれのまま聞くグラウゼさん。
そのブリーダーっぷりに一部の若い魔族が「こんな猫可愛がってるような隠居なんて弱いに違いないぜ」となめた態度をとるようになっていましたが、グラウゼさんどころかお猫様たちに〆られて態度を改めました。
本気を出したお猫様は強い（使い魔ブーストあり
「残念ながらそんな雅な風習は魔界にはないな」
「え？ 何で？ 吸血鬼とかの一部の魔物って満月に絶好調になるんやないん？」
「魔物言うな。私たちは比較的マシだが、絶好調になりすぎてヒャッハーするので恐らく月見どころではない」
「ヒャッハーしちゃうかあ」
だめだ、はなしにならない！
「でも私そんなある意味お祭り騒ぎ見たことないで？」
「そんな状態でも魔王様に醜態を見せない程度の分別は残っているだろうからな」
「普段からそんな分別皆無なやつばっかりなんやけど」
主にアンタの娘とか。
とは何も知らないお父さんが可哀想なので言わない魔王様。
あれ、むしろ可哀想なの魔王様では？
「……もしかして満月のミラーカヤバいのでは？」
「私たちは少し酒に酔った程度の高揚感があるだけなので大丈夫だろう」
「うん。全然大丈夫じゃないね」
「何故だ」
なおミラーカさんは割と理性はしっかりしてるので、魔王様が嫌がっていたら無理やり一線を越えたりはしません。
……普段が酷いので何の救いにもなってないな！
今日も魔界は平和です。
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一方高天原。
「そういえば台風が来たらコロッケ買いに行く人がいるけど、なんか意味あるの？」
「何の意味もありません」
「ないのかよ」
ネット上に存在する謎の風習に、実は何か大きなバックボーンがあるのではと思ったら、別にそんなことはなくつっこむアマテラス様。
意味なくても話に出たら食べたくなるからね。仕方ないね。
「元は匿名掲示板で始まったネタですからね。最近ではSNSでも広まりテレビなどでも紹介されたことにより、知名度は上がっているようですが」
「へー、でもそれその内みんな飽きて自然消滅するやつじゃん」
「発祥とされている書き込みが２００１年なので、二十年以上続いていますね」
「地味に長かった」
ちなみに以前は台風でコロッケの売り上げが増えるというのは与太話でしたが、ここ数年はマジで上がっている店舗もあるそうです。
それどころか台風が近付くとコロッケの特売を開始する店もちらほらとあります。
それでいいのか日本人。
「発祥がハッキリとしているのに由来が全くないものが定着し始めているという意味では面白い現象だと思いますよ」
「えー確かに面白くはあるけど」
このまま百年以上も続けば、台風の神様はコロッケが好きだとかいう根も葉もない伝承が爆誕する可能性も微レ存？
今日も高天原は平和です。
