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米騒動

 肩こり。

 多くの日本人たちが悩むある意味難病とも言える症状ですが、実は肩こりに悩んでいるのは世界でも日本人だけだったりします。

 そもそも海外には肩こりに相当する言葉が無く、肩がこっていても自覚がないのです。そのため日本に来てから肩こりという症状を知り、肩こりを自覚してしまったという人も多いそうです。


「あ~そこそこ~気持ちいい~」


 そして此処にも肩こりに悩む人……もとい神様が一柱。

 天津神の主神である我らがアマテラス様です。丹念に肩を揉み解されて弛緩しています。


「何をすればこんなにこるんですか。伯母上は体格的にも肩に疲労はたまりにくいはずなんですが」


 そしてそんなアマテラス様の肩を揉んでいるのは、国津神の中でも代表的な神である大国主オオクニヌシ様です。

 天孫降臨にて天津神が訪れるまで葦原中国の統治者であった神様であり、農業、商業、医療など様々なものを司る神様でもあります。


 因みにスサノオ様の娘さんであるスセリヒメ様に「お父さん、何かすっごいイケメンが来たんだけど!?」と言わせたほどの美男子だったりします。

 そしてそれに対するスサノオ様の返答は「あんなのブサイクぢゃねえか!?」という嫉妬全開なもの。

 マザコンシスコンを拗らせるスサノオ様に新たな属性が追加されました。


「というか私はスクナヒコナのことについて相談に来ただけなのに、何故伯母上の

肩をもんでいるのですか?」

「だってオックン医療の神だし」

「肩こりで医者を呼ばないでください」


 そう言うオオクニヌシ様ですが、肩こりは今に至っても明確な原因と治療法が確立していない難病だったりします。

 女性の場合は胸の重みで肩こりが誘発される場合もありますが、アマテラス様には関係あr


「姉上の場合はパソコンを寝っ転がったり膝に置いたり変な態勢で長時間やっているのが原因でしょう」

「ではパソコンを禁止すれば解決ですね」

「酷い!? そんなことしたら私また岩戸に引きこもるんだからね!?」

「パソコンあっても引きこもってるでしょう」

「というかパソコンなしで引きこもって叔母上は耐えられるんですか?」

「うにゅう……」


 ストライキも辞さぬ構えの永遠の美少女であるアマテラス様ですが、弟と義理の甥から容赦の無いつっこみが入ります。

 これには永遠の美少女であるアマテラス様も言葉を返せません。


「そうだ! 岩戸の中にパソコンを持ち込めば……!」

「間違いなくオモイカネに回線切られますね」

「そもそも岩戸の中に電波は届かないでしょう」

「……イケメン爆発しろ!?」


 的確すぎる二人のつっこみに逆ギレする永遠の美少女であるアマテラス様。

 今日も高天原は平和です。



「ケロスにて新種の稲が神よりもたらされ栽培が始まったそうです」

「よし。視察に行くぞ」

「いや、待て。落ち着けアサヒ」


 ガルディア王国。その執務室に上げられてきた報告を受けて立ち上がる王妃様と止める王様。

 もう止めなかったら旅支度もせずに飛び出しそうな勢いです。


「冷静に考えろアサヒ。視察に行こうにもケロスに了承を得なければ国境を越えられんだろう」

「お忍びで行くから問題無い。大丈夫だ。私ほど地味で目立たない奴は居ない」

「むしろ地味すぎて目立つんだが」

「誰が地味だゴルァッ!?」

「自分で言ったんだろう!?」


 今日も仲良く喧嘩する王様と王妃様。夫婦仲が良くて何よりです。

 王様の言う通り、日本人としては平均的な王妃様ですが、異世界では異邦人と一目で分かるので目立ちます。

 因みにオネエは異邦人と分かる上に色々凄いのでさらに目立ちます。オネエだから仕方ありません。


「ともかく。今から行っても実りは当分先だろう。視察してどうなるものでも……」

「視察して問題点があったら指導して場合によっては援助もしなけりゃならんだろうが!?」

「中立国にどこまで首を突っ込むつもりだ!?」


 米と聞いて暴走気味な王妃様。日本人は滅多なことでは怒りませんが、食べ物関連だと割と頻繁にぶちギレるので仕方ありません。

 食べ物関係なくても王妃様は割と頻繁にキレてますが、細かいことを気にしてはいけません。


「……ちょっと『絶対王政』してくる」

「お気をつけて」

「待てこら!? まだ日が高いのに何する気だ!?」


 止まる気配のない王妃様を抑えるため、王様の最終兵器『ベッドの上の絶対王政』が発動しました。

 肩に担がれて連行される王妃様。色気もへったくれもありません。


「米と私のどちらが魅力的か教えてやる!」

「訳の分からん対抗心燃やすな!?」


 喧嘩しているようで今日も仲良しな王様と王妃様。

 今日も異世界は平和です。


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