演習直後にも当然のように始まる宴会(ガスコンロ持ち込み
「ドワーフ王国って住人が暑苦しい割には涼しいんだよなあ」
「まあ地下だものね」
「何で観光客とか来ないんですかね」
大陸の中央にあるドワーフ王国にて。
休暇を利用してジュウゾウさんの店にやってきているオネエと団長に数名の騎士たち。
別に団体旅行とかではなく、行き先がたまたまかぶっただけです。
「そりゃ涼しいのはいいけど夏っぽさは体験できないからだろ」
「じゃあ何でアンタたちは来てるのよ」
『飯が美味いからです』
オネエの疑問に寸分の狂いもなく一斉に答える騎士たち。
実際旅先のごはんが美味しいかどうかは大事。
「少なくとも王様は観光誘致はする気はなさそうですよ。ドワーフは結構排他的ですしね。カツカレー二人前お待たせしました」
「あら? その割には私たちはそんなに邪険にされた記憶はないけど」
話が聞こえていたらしいジュウゾウさんの言葉に首を傾げるオネエ。
実際文句があっても、他の騎士はともかくオネエに直接つっかかっていく人間はそう居ないと思われます。
「メルディアの騎士の人たちは頻繁に来るのでもう仲間だと思われてますよ」
「あらやだ。そんなにしょっちゅうお邪魔してるのうちの連中」
「私らも暇があれば月に二回は来てるだろ」
ジュウゾウさんの店に入りびたりすぎてドワーフに仲間認定されていたメルディアの騎士たち。
異世界で日本のカレーが食べられるのはドワーフ王国だけ!
「おう。また来たのか兄ちゃん。ほら、おまえさんが来ないうちに新しい酒が入っててな」
「おう、おっさん。今度は負けないからな!」
「百年早いわ小僧!」
そして体育会系な人間が集まったら当然のように始まる酒盛り。
お酒を飲むときは店の迷惑にならないよう、自分の限界を越えないようにしましょう。
「ちょっと見張ってくる」
「そう言って飲みたいだけでしょう」
そして案の定酔って奇行を始める団長と、力尽くで押さえ込み宿まで連れ帰る羽目になるオネエ。
今日も異世界は平和です。
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一方高天原。
「今年のお盆こそトヨちゃんに発見されないように精霊馬Mk-Ⅲを」
「毎年ナンバリング増やしていくつもりですか」
去年の精霊馬Mk-Ⅱに続き開発が計画されるMk-Ⅲ。
でも多分あと数年したら飽きるのでMk-Ⅴの開発に到達するかも怪しいです。
「そもそもお盆は私たちには関係ない行事でしょう」
「関係あるかどうかじゃない。やってみて楽しいかどうかだ」
一見無茶苦茶言ってるように見えるアマテラス様ですが、新しい行事が根付くかどうかに面白い要素があるかどうかは実際大事。
お盆は新しくねえだろというつっこみは残念ながら高天原には届きません。
「大丈夫。ちゃんと飛行機っぽい精霊馬も作るから」
「それさっさと帰れという意味になりませんか」
精霊馬の茄子を牛に見立てるのは、名残惜しいがゆっくりと帰って欲しいという思いが込められているという説があるので、魔改造するにしても特殊な免許が必要になりそうなものばかり作るのはやめましょう。
ガ〇タンクに乗るには大型特殊免許が必要です。
「まあどうせ当日になったらトヨウケヒメに引き渡しますが」
「何で!?」
「姉上放っておいたら忘れて腐らせるでしょう」
「ぐぅ!?」
この上ない正論を叩き込まれぐうの音が出ちゃうアマテラス様。
今日も高天原は平和です。