やはり筋肉。筋肉は全てを解決する
「お父様になにか贈ろうと思うのですが」
「あーそういえばそんな季節か」
シーナさんに相談をされ、そういえば父の日だったなと思い出す、異世界暮らしにすっかり慣れた王妃様。
ちなみに話に全く絡んで来ない王様とシーナさんのご両親ですが、隠居しただけでちゃんと生きてます。
「お父様は寡黙な方なので、あまり普段の様子が分からず何を贈ったものか」
「あー。最近だと園芸に夢中になってるな」
「アレお母様のものではなかったのですか」
両親の部屋の近くに増えている鉢植えの数々を思い出し、まさか父親のものだとは思わず驚くシーナさん。
定年後に自宅でできるプチ農業や園芸に手を出してみる人は結構います。
「本人も花とか育ててるのはあんま知られたくないみたいでな。私にこっそり相談に来てたんだけど、専門外なんであんま役には立てなかったなあ」
「それを私に教えてもよかったのですか?」
「別にシーナはそれでお義父さん見る目変わったりしないだろ。むしろ娘が自分の趣味を分かってくれたら喜ぶんじゃないか」
「なるほど。きっかけとしても何かお花を贈るのもいいかもしれませんね」
そう言ってお父さんにはどんな花が合うだろうかと考えるシーナさん。
なお後日以前よりお父さんとシーナさんが気軽に話すようになり、実の父親に嫉妬する王様の姿が!
今日も異世界は平和です。
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一方高天原。
「今のところはまだ涼しいかな」
「アンタの下に熱源がいるんだけど」
「ふっ、ふっ、ふっ」
腕組みをしながら言うアマテラス様とつっこむミズハノメ様。
ミズハノメ様の言う通り、アマテラス様を肩車した状態でスクワットしているタヂカラオ様から、熱気が立ち昇っています
スクワットは見た目は地味ですが、実はすっげえ負担がかかるトレーニングなので、やりすぎには注意しましょう。
「夏に、向けて、筋肉を、つけると、よろしい、かと」
「え? 筋肉つけると涼しくなるの?」
「んなわけないでしょうが」
スクワットを続けながら言うタヂカラオ様に、驚くアマテラス様とつっこむミズハノメ様。
でも実際筋肉をつけるというのは夏バテ対策に有効です。
「ふぅ。夏の暑さに打ち勝つには基礎代謝をあげること。そして筋肉をつければ基礎代謝は上がるのです」
「意外にしっかりとした理由が出た」
「脳筋と見せかけて会話は理論攻めで来るわねタヂカラオって」
タヂカラオ様の説明に納得するロリ女神二人。
力の神は伊達ではありません。
「それに筋肉と脂肪では筋肉の方が圧倒的に内包できる水分量が多いのです。筋肉は夏へ向けた体内の水の貯金。すなわち貯筋肉!」
「凄い。理論的なのに阿呆にしか聞こえない単語が生み出された」
「最終的に全部筋肉に結び付けるからそうなるのよ」
ポージングを決めながら言うタヂカラオ様に、感心すると同時に呆れるアマテラス様とミズハノメ様。
水の神であるミズハノメ様も、流石に筋肉貯水なんて理論は知りません。
「まあ細かいことは考えずとも。適度に筋トレをしていれば皆健康でいられるのです」
「言ってることが脳筋なのか違うのか判断しづらい」
「大まかに見れば合ってるから反論できないのよね」
そのままアマテラス様を背中に乗せ腕立て伏せへと移行するタヂカラオ様と、言いたいことはあるけど反論はできないという状況に戸惑う女神二人。
今日も筋肉は平和です。