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辺境伯や方伯もいるよ!

「先生。爵位の上下関係が覚えられません」

「誰が先生だって?」


 フィッツガルド帝国にて。

 ヤヨイさんと婚約し「うっわ。こいつマジで国出る気だ」と皇帝陛下に理解されたせいか少し暇になったローマンさん。

 これ幸いにと趣味の喫茶店巡りをしていたら、またしてもカガトくんに捕まりいきなり教えを請われました。


「君魔術師なんだから覚えてなくても『ですよね』で納得されるよ?」

「俺はそんな恥知らずな人間になりたくないです」


 他の魔術師と違って常識的な人間でありたいと主張するカガトくん。

 この作品に常識的と言える人間が存在するのか疑問ですが、目的をもって努力することはいいことです。多分。


 あと何故ヴィルヘルミナさんに聞かないのかというと、隠れて勉強して褒められたいからです。

 着実にカガトくんの忠犬度が上がっています。


「まあ基本は上から公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵とだけ覚えておけばいいよ。といっても爵位って前も言ったように基本は領地についてくるもので後から上下したりしないからね。爵位以上の権限持ってる貴族もたまに居るからそれだけで判断すると逆に危険だよ」

「何それ恐い」


 ちなみにみんな大好き大公さんの大公は、国や状況によって意味合いが変わったりするので、具体的にどういう地位なのかと聞かれたらローマンさんが説明放棄するくらい面倒くさいです。

 とりあえずこの作品に出てくる大公は大公さんだけなので、王ほどではない小国の君主のことだと思っておけば大体正解です。


「というか君が正に爵位で判断したら痛い目見る貴族だよ。次期侯爵のヴィルヘルミナの懐刀で陛下からも覚えめでたいんだから、下手な貴族がなめた真似したら消されるよ」

「何それ恐い」


 いつの間にか自分の重要度が物凄く上がっていたことに喜ぶどころか恐怖するカガトくん。

 え? 今更? と思うかもしれませんが、カガトくんが現状を正しく認識したらストレスで禿げるので優しく見守ってあげてください。


「そういうのが恐いならますます下手に政治的な事覚えない方がいいと思うよ君。常識知らずな魔術師気取ってた方がそういうもんだと納得されるし」

「……考えておきます」


 他の魔術師と同類になった方が楽だと言われ、最初の決意が揺らぎかけている安定の優柔不断カガトくん。

 今日も異世界は平和です。



 一方高天原。


「母の日じゃなくて母の月にするとかプレゼント渡すタイミング迷わない?」

「いつ渡してもいいから日じゃなくて月にしたのでしょう」


 突如発生したキャンペーンに悩むアマテラス様とつっこむツクヨミ様。

 母の月とは母の日に合わせてプレゼントの購入や配送が集中するのを避けるためにと考案された「五月中ならセーフでいいんじゃね?」という日本人らしい大らかさのつまったキャンペーンです。


「そもそも私たちは人間界の病気とか関係ないのですから、いつも通りに母の日に送ればいいでしょう」

「大丈夫? おっくんとかスクナヒコナみたいにうっかり死んだりしない?」

「確かに死ぬときは神でもあっさり死にますが……」


 実は兄に嫉妬され二度殺されて生き返った実績があったりするオオクニヌシ様。

 スクナヒコナ様も病で死にかけたりと日本の神様は案外ぽっくりと逝きます。


「それに量産品でもやっぱり人間界の方が平均の質はいいんだよねえ」

「まあお金という対価を得ている以上は相応の品でないといけませんからね」


 お金で買ったものでは味気ないと思う人もいるかもしれませんが、お金で買えるということはその道のプロがデザインし作り上げたものであるとも言えます。

 余程手抜きのぼったくりでもない限りは対価に相応しい技術の結晶なのです。


「まあ適当に頃合い見て見繕いに行こうか。あんまり密にならないように……ソーシャルディストーション?」

「ソーシャルディスタンスです姉上」


Distortionディストーション:歪める。捩る。


 実はアマテラス様は現代社会の歪みを憂いていた……?

 今日も高天原は平和です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 爵位ではなく位階ってわかりやすい日本式貴族システムがる日本人にはヨーロッパの土地と爵位はセット偉さじゃないんだよは戸惑うでしょうね。 で、アマテラス様は母の日のプレゼントを手渡しにくんでしょ…
[一言] そもそもの話。イザナミ様は黄泉にいるので会いに行く=一時的に死ぬようなものなので気にする必要はないのではないかと。
[一言] まじか、アマテラス様そこまで現代社会のことを深く考えて憂いでおられ…ないですよね(確信) まぁ家というか国の土地の大きさ的な尺度の違いだからねぇ… 特産品とかあったら小さくても影響力強かっ…
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