ちょーしゅうーりきー!
「最近事件現場の消臭が臭い」
「いきなり凄い矛盾したこと言われても」
安達家のリビングにて。
帰ってくるなりそんな愚痴を漏らすマカミさんと、ポテチを食いながら呆れた目を向けるエルテさん。
そこのおまえ! 一般的なうすしおポテチ一袋(約85g)のカロリーはごはん三膳分だぜ。
「いや。俺という鼻が利く警察官がいるということが一般にも広まったらしくてな」
「鼻が利くの意味がまんまですね」
「事件を起こしたり起こしてしまった人間が、用意したりその場に偶然あった消臭剤をふり撒くことが増えた」
「そんないかにも素人考えな」
警察犬に消臭剤は通用するのか。
誰しも一度は考えますしテレビ番組などで実際に実験などもされていますが、大抵警察犬の方が勝利します。
「俺は犬ではなく狼だ」
「誰に言ってるんですか。というか実際消臭剤使われても分かるんですか?」
「そもそも俺たちは犯人の臭いだけを追っているわけではないぞ」
「そうなんですか?」
犬の嗅覚は人間よりも鋭いですが、それ故に各個人の臭いだけではなく地面と靴が擦れることによって発生する摩擦臭すら嗅ぎ分けて追跡することができます。
なので消臭以外にも例えば完全密閉された防護服に着替えたりしても、警察犬は普通に追跡を続けます。
「あーじゃあ消臭ってやるだけ無駄なんですね」
「それもあるが」
「あるが?」
「そもそも犯人自体が消臭剤臭くなっているので逆に追跡しやすい」
「あー」
目印を消していたはずがむしろ新たに目印をつけていたという本末転倒。
無香料でも人間にも分かる程度に独特の臭いあるからね。仕方ないね。
今日も日本は平和です。
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一方高天原。
「金木犀はトイレの臭いという風評被害」
「いきなりどうしたんですか」
のっけから何か言ってるアマテラス様とつっこむツクヨミ様。
しかしアマテラス様は風評被害と言っていますが事実も混じってたりします。
「いや金木犀が好きって言ったら『トイレの臭いが?』って反応されるんだよね」
「ああ。その反応最近の若い人には分からないらしいですよ」
「なん……だと?」
唐突にジェネレーションギャップを叩き込まれ戸惑うアマテラス様。
感想欄に「お、おれまだ若いし!」などと自供する人たちが続出しそうですが現実を受け止めましょう。
「そもそも金木犀はまだトイレが汲み取り式だった時代に、その臭いを打ち消すために近くによく植えられていたんですよ。なのでトイレと金木犀が関連付けられるようになり、トイレの芳香剤も金木犀のものが多かったんです」
「やっぱり風評被害じゃん!?」
「しかしそれも昔の話で、最近では消臭技術も進み強力な別の匂いで相殺する必要がなくなりました。それにトイレの臭いという印象も強くなっていたので、ここ二、三十年ほどは金木犀の香りを芳香剤に使うことはほぼなくなったそうです」
「……マジで?」
金木犀と言えばトイレだと思っていたら、そんな時代は約二十年前に終わっていたという事実。
ちなみに最近のトイレのトレンドはラベンダーだそうです。
「え? 何この喜んでいいのか悲しんでいいのか複雑な感情」
「何で素直に喜ばないんですか」
金木犀の風評被害がなくなるのは嬉しいものの、自分の価値観が古いものになるという置いてけぼり感に戸惑うアマテラス様。
ちなみに中国では月には金木犀が植えられており、秋に月が金色に輝くのは金木犀が花を咲かせるからだとされていたりします。
つまり月と金木犀には深いかかわりがあり、その金木犀をアマテラス様が好きだと聞き実はすっごい喜んでいたツクヨミ様とそれを察して呆れた視線を向けるトヨウケヒメ様。
今日も高天原は平和です。




