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頭空っぽの方がyou meet me call mail

「それで結局ローマン殿は何を謀っているのでござるか?」

「謀とは聞こえの悪い」


 ホムラ国の首都にあるヤヨイさんの屋敷にて。

 日本の武家屋敷に似た家の縁側で饅頭を片手に尋ねるヤヨイさんと、ほうじ茶をズズーッとすすり反論するローマンさん。

 若いカップルなのに状況が完全にご隠居のそれです。


「シーナ様が玉砕する舞台を整えようかと」

「鬼でござるか」


 てっきりシーナさんを応援しているのかと思ったら、玉砕させるつもりだと知り戦慄するヤヨイさん。

 自分も一度経験があるしそのせいで異世界にまで逃亡したので他人事ではありません。


「そもそもこの問題既に解決してると言えばしてるんですよ。お二方の間で落としどころが決まってますし」

「むむ? もしかして我々が気付かぬうちにシーナ殿は告白していたのでござるか」

「いえ、してませんよ。してないのにお二方が解決したと思ってるから問題なんです」

「??」


 ローマンさんの言葉に頭の上に疑問符が舞いまくってるヤヨイさん。

 そしてそんなヤヨイさんも可愛いなあと頬をゆるめるローマンさん。

 爆発しろ。


「お二方が頭が良すぎるのが根本的な問題なんですよ。まず当然ですがアダチ閣下はシーナ様の想いに気付いています」

「それはそうでござろうな。シーナ殿も結構積極的だった故に」

「その上で亡くなった奥様を未だに愛しているし、家にいる皆は家族だというアピールです」

「あれシーナ殿への牽制だったでござるか!?」


 普通に「仲良くなれて嬉しいなあ」と思っていた安達くんの言葉に裏があったと知りショックを受けるヤヨイさん。

 一応フォローしておきますが牽制はついでのようなもので、家族発言について安達くんは本気で言っています。


「そして予防線をはられ様子見に移ったシーナ様でしたが、少し落ち着いたところで気付きます『あ、これ成就する可能性低いし時間が経ったら思い出になるタイプの恋だ』と」

「冷静すぎないでござるか!?」


 恋心というある意味人類が一番暴走しやすい感情を客観的に分析するシーナさんに驚くヤヨイさん。

 異世界から日本に来たのと本人が自重しているのであまり目立っていませんが、シーナさんは立場が逆だったら知識チートで無双するタイプです。


「冷静ではないと思いますよ。こちらに帰るギリギリまでどうにか囲い込めないかと画策していたようですし」

「何故そこで正面からいかず搦手に走るのでござるか」

「そういう性格だからではとしか。しかし結局シーナ様は諦めたようですし、アダチ閣下もそれには気付いているでしょう」

「ん? なるほど。既にシーナ殿の恋は終わっていると言えるわけでござるな。……ならば何故ローマン殿が裏でこそこそと?」

「お二人とも相手の裏を読み合いながら理屈だけで事が進み、肝心な所はひとっことも話さないで感情という重要な部分が宙ぶらりんなまま全てが終わりそうになっているからですよ」

「……ああ」


 ローマンさんの言いたいことを察してポンと手を打つヤヨイさん。

 つまりリィンベルさんも常々思っていた「もうおぬしら正面に座って話し合えよ」ということです。


「お二人とも相手を『分かったつもり』なままというのはいかがなものかと思ったわけです。まあ以前ならともかく今からお二方を引き合わせるのは手間ですし、万が一にもシーナ様の恥とならないよう根回しまでとなると骨が折れますが」

「おぬし本当にローマン殿でござるか?」

「惚れ直しましたか?」


 思った以上に色々考えていたローマンさんの正体を疑うヤヨイさんと余裕のローマンさん。

 今日も異世界で爆発しろ。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ↪︎ 今日も異世界で爆発しろ。 休ませてあげてw
[一言] 更新ありがとうございます。 えっと、最初に言っておこうかな。 リア充(ローマン)爆発しろ。 頭の回転が良くて冷静な二人……まあ似た者同士ですね。これだから頭の良過ぎる人は。 いい思い出に…
[一言] 今日もハイ!ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!スパンキング! 意訳:叩けば爆発するんじゃね? ロ「今ここに私がこなかったか!?なんたること!そいつがル○ンだ!」
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