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まめまめまーめ

「節分は大してお金にならないし、やはりバレンタインをもっと普及させていくべきだと思うんですよ」

「陰謀考えるなら他でやってくれないかな」


 フィッツガルドの帝都にて。

 久しぶりの休みだひゃっほいと街へくり出し、ローマンさんおススメの喫茶店でお茶していたカガトくんでしたが、突然現れ当然のように同じテーブルについたミィナさんに絡まれていました。

 もしかしてローマンさんに嵌められたのかと疑っていますが、ミィナさんが勝手に寄ってきただけでありローマンさんは無実です。


「それにお嬢様が言ってたけど、こっちではまだ甘いお菓子は高いから、フィッツガルドみたいに庶民まで豊かな国じゃないと流行っても手が出せないって」

「だからチョコに限定せず贈り物なら何でもいい感じで広めたんですけど、まさか恋人にウニを送る人が出てくるとは」

「それ下手なチョコより高くない?」


 ミィナさんですら予想外だった残念人魚によるウニ贈与事件。

 確かに日本基準で考えるならチョコより高そうですが、ディレットさんの場合は自分でとってきたので原価ゼロでウェッターハーン商会には一円も入ってきていません。


「しかし今年は違います。日本から安価なお菓子が輸入できるのですから庶民にも手が出しやすいお手頃価格です!」

「え? そんな理由で門開くとか聞いてないんだけど」

「皇帝陛下をおど……許可は取ってます」

「もうそれ素直に脅したって言っちゃったほうが清々しいんだけど」


 もはやカガトくんですら驚かなくなったウェッターハーン商会による皇帝への脅迫。

 しかし仮にも皇帝がそんな安易に脅迫に屈するわけがないので、丁度いい理由付けてお願いを聞いてあげているのだとカガトくんは思っています。

 実際のところどうなのかは神様は知っていますが面白そうなので見逃しています。


「それに万が一ダメでも魔王さんの所のグラウゼさんが話が分かる人で、対価を払えば結構お願い聞いてくれるんですよね」

「何やってんだあの人!?」


 自分が門を開く魔術教えた人が手を組んだらヤバいのと接触してもはや手遅れだと知り叫ぶカガトくん。

 今日も異世界は平和です。



 一方高天原。


「節分になると芸能人とかが豆撒きにくるのってなんでだろう」

「人が集まるからじゃないですか」


 アマテラス様の疑問に珍しく投げやりに答えるツクヨミ様。

 でも実際それ以上の理由はあんまありません。


「……ツクペディアが壊れた!?」

「だれがインターネット百科事典の亜種ですか。強いて言うなら場所によりますよ。何かの記念で呼んだのがそのまま定着したとか芸能人が地元の人間だとか。まあ力士を呼ぶのはそれなりに意味がありますが」

「なんでお相撲さんだけ?」


 突如ピックアップされた力士に首を傾げるアマテラス様。

 力士をピックアップするとか重そうだなとか思いましたが今は関係ありません。


「相撲が神事として扱われることもあるのは姉上も知っているでしょう」

「うん。大山津見おおやまつみの神社でやってる独り相撲とか神を相手にしてる設定でしょ」

「それはかなり特殊な事例ですし設定言うな。そういった神事を行う者という側面もありますし、四股というのは邪気祓いの意味があり一説には鬼を踏みつける動作を表しているとされています。いわば現代の鬼祓いの専門家なんですよ」

「……桃太郎は力士だった?」

「過去に桃太郎という名が入っている力士は何人かいますよ」

「マジで!?」


 ノリで言ってみたら瓢箪から駒で驚くアマテラス様。

 ちなみに現在でも確認した限り桃太郎の名が入っている現役力士は二人いたりします。


「え? じゃあもしかしてお相撲さんが歩くだけで地面が祓われていくの?」

「四股踏まずにそこまでの効果はないと思いますが、大地を踏みしめるという行為自体に意味があるとされる場合もあるのでできる力士もいるかもしれませんね」

「……横綱ならできるかな」

「横綱ならいけるかもしれませんね」

「ツクヨミ様面倒くさくなってませんか?」


 アマテラス様から横綱へかけられる過度な期待をスルーするツクヨミ様とつっこむトヨウケヒメ様。

 今日も高天原は平和です。

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― 新着の感想 ―
[一言] もうミィナさんは第三の世界に送った方がみんなの胃に優しいのでは・・・
[一言] まあRIKISHIなら当然だよね。 一月で3倍って年間利息にすると3^12乗って言うイカれた数値ですよねぇ…
[良い点] ウェッターハーン商会によって異世界は平和的に経済面から征服されてしまうのか!?
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