タピオカガエルの乱獲が問題になっています
「じゃあ私は先にあっちの世界帰るけど、なんか言付けとかないか?」
「え? もう帰るんですか」
都内のとあるホテルの一室にて。
ある程度荷物を纏めて帰り支度をしている王妃様と、イベントの戦利品のウス異本を眺めていたらいきなり帰るとか言われて驚くミィナさん。
ちなみに作者は地方民な上に遠征する気力とかない超絶インドア派なので、具体的なイベントの内容は分かりません。
あんな人ごみという名の荒波を泳がされるくらいならフル装備で山の中を走り回る方がマシです。
「健康診断も異常なかったしなあ。まあ向こうの世界で新大陸やら何やら見つかったらまたその辺の問題が起きそうなもんだが」
「むしろ今からなら日本から妙な病原菌持ち込む可能性ないですか」
「そっちは異世界人組が戻っても大丈夫だったから大丈夫だろ。多分」
何だか大雑把な予想をしている二人ですが、その辺りはみんな大好き慎重派という名のビビりのカガトくんが、召喚時に余計なもんが混ざって転移しないように念入りに対処しているので危険性はかなり低いです。
「体内に潜伏してる可能性もあるもん排除するとか現代科学でも不可能なくらい難易度高くね?」とつっこみたいところですが、病気も魔術で治る不思議世界なので細かいことを考えてはいけません。
「それにそろそろ帰らないとリチャードがなあ」
「ああ。見た目と物理的な強さの割にメンタル弱いですよねあの王様」
割と言いたい放題なミィナさんですが、王様が妹の失踪にショックを受けて政務放り出したのは、国内どころか竜王山挟んだフィッツガルドにまで知れ渡ってるのでフォローしようがありません。
むしろどっかの王子様が積極的に噂を流した可能性がありますが、普段の二人の言動的にお互い様なのであまり問題になっていません。
「しかし新刊が手に入ったのはいいが私の作品じゃない以上コピーして配布できないのが勿体ないな」
「どうせ王宮内で回し見するだけなんですからそんなに数はいらないじゃないですか」
「知ってるか風見。本って劣化するんだぜ?」
「そんな短期間で劣化するってどんだけ熱心に読んでるんですか」
ちなみに少し前までオタクたちの間で「本は観賞用と保存用と布教用の三つ買うものだ」とか言われていましたが、実は18世紀時点でイングランドの書籍収集家のビーバーという人物が「紳士たる者、書籍は3部所持するものだ。1部を見せ、1部を使い、1部は貸し出すのである」という言葉を残していたりします。
流石英国紳士レベルたけぇな。
今日も日本は平和です。
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一方高天原。
「タピオカ飲みたい」
「タピオカはミルクティーなどに入っているものであって単独で飲むものではありません」
例によって流行に流されまくっているアマテラス様と冷静につっこむツクヨミ様。
どうせ貴様もナタデココと同じ道を辿るのだ!
「まあタピオカ粉は通販で買えるので自宅で作れないこともありませんが」
「作れるの? 高くない?」
「むしろタピオカ自体は安いですよ。ミルクティーより安いのでむしろタピオカ多めとかいうサービスは原価が安くなって得してるのは店側です」
「ええ……。じゃあなんでタピオカミルクティーあんな祭りの屋台とかの体に悪そうな色のジュース並みに高いの?」
「売れるからでしょう」
「そんなシンプルな」
ちなみにあまりに稼げるので一部ではタピオカミルクティーの販売に手を出すやくざがいるという情報もあったりします。
麻薬の販売とかに比べたら平和的ですが、どのみち売り上げが非合法的なことに使われる可能性があるのでやっぱあんまり平和ではありません。
「あと自宅で作るなら片栗粉と黒糖で代用する人も多いようですね」
「じゃあそれでいいや」
「流石姉上です」
気分が味わえればバッタもんでも気にしないアマテラス様と手間が一つ減って結果オーライなツクヨミ様。
今日も高天原は平和です。