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自衛隊のレーションも不味いやつは不味い

「どうもはじめましてー。清く正しいウェッターハーン商会の風見ミィナと申します」

「お、おう」


 安達家にて。

 臆することなく営業スマイルを浮かべるミィナさんと戸惑い気味な安達家の面々。

 清く正しいというところに読者から全力でつっこみが入りそうですが、商会内できわどいことをやっているのは主にミィナさんであり、彼女の義理の父親などは本当に信用第一の健全な商売をやっています。

 つまりおまえが言うな。


「今日はですね。異世界の人間でありながら日本の生活に馴染んでいる皆さんに、異世界に持ち帰りたいものといえば何があるかというリサーチに参りました」

「ほう。確かにそれは商売人としては気になるところであろうな」


 ミィナさんの言葉に納得するグライオスさん。

 しかし同時に懸念事項でもあるのか僅かに眉をひそめています。


「しかし悪用されたり軍事利用されることを考えれば何でも気軽にというわけにはいくまい。こちらではありふれたものがあちらの世界のバランスを崩す可能性もあるぞ」

「それはもちろん。なので聞くだけ聞きますけど後から国のチェックは入ると思います」

「まあアダチならその辺りは抜かりないじゃろう」


 そう言って納得するリィンベルさん。

 もう既に日本人という存在がバランス崩してるよねとか言ってはいけません。


「わしとしてはやはり酒じゃの。こちらの酒は強いのもそうじゃが何より種類が多くてどれも美味い」

「はいドワーフの人ならそういうと思ってました」


 安定のドワーフなオグニルさんの言葉を聞きながら素早くメモしていくミィナさん。

 ちなみに日本の酒は最近では世界でも人気が出始めておりロシアでは梅酒が人気らしいですが、度数が低いのでウォッカで割るらしいです。

 ……割るって何だっけ?


「わたしとしては大豆でしょうか。大豆そのものもですがそこから派生する豆腐や料理はエルフに人気が出ると思います」

「あー大豆は畑でとれるお肉ですもんね」


 続いてイネルティアさんの言葉に納得しながらメモるミィナさん。

 まず趣味優先の食糧事情が出てくるあたりもう意識高い系エルフの面影はありません。


「食料関係なら缶詰やインスタント食品も売れるのではないか? 物珍しさもあって多少値を上げても好事家が買いそうじゃが」

「確かにそうだが、作り方を知られてはならんし数もあまり持ち込まぬ方がいいであろうな。日持ちのする食料などそれこそ軍事的に革命を起こしかねん代物だ」


 続いて食料関係でリィンベルさんが例を出したものの、すかさず制限をかけるべきだというグライオスさん。

 この辺りの見解は流石は元皇帝です。


「なら冷蔵庫とかの方がいいんじゃない? あと空調関係とか魔術師の手も借りずにできるなら貴族とかは金に糸目をつけないと思うけど」


 そして暑さが割と死活問題なフェリータさんからの提案。

 お猫様ガードがなくなったのでどこかで干からびないかと、異世界に戻ったグラウゼさんからめっちゃ心配されてたりします。


「家電製品は動力が問題になるので確かに貴族くらいしか手が出せませんな。こちらでは安価で手に入る本なども良いのでは?」


 一方戒律から解放された反動で娯楽を楽しみまくっているナタンさんからは本。

 実際紙や印刷技術が確立されるまでは本と言うのは貴重品だったので、庶民でも手が出しやすい本というのは売れそうです。


「しかし聞いたところであちらにどうやってモノを持ち込むんだ? 私的に利用するとなればどちらの世界の国もいい顔はしないだろう」


 ここでマカミさんから根本的な問題の指摘が。

 しかしミィナさん予想していたのか相変わらず余裕の笑みで返します。


「フィッツガルドの皇帝の弱みがっちり握ってるから多少の無茶はイケます」

「何を握られたあの馬鹿息子」


 いつの間にか異世界最大の国家のトップの首根っこ掴んでいたミィナさんと、今更ながら目の前の少女がヤバいことに気付いた元皇帝。

 今日も日本は平和です。



 一方高天原。


「その日……日本から猫が消えた」

「消えてませんよ」


 唐突に何か言ってるアマテラス様につっこむツクヨミ様。

 アマテラス様の手元では抱きしめられたぶちが迷惑そうな顔をしつつも大人しくだらんと伸びています。


「いやあの吸血鬼猫連れて行きすぎでしょ!? わたしもあのにゃんにゃん王国に行ってみたい!」

「魔界です姉上」


 魔界改めにゃんにゃん王国。

 人間との融和が進みそうです。


「とはいえあの猫たちは眷属化して普通の猫からは外れているので置いて行かれても困るのは事実なんですよね。魔力が抜けても上がった知能は戻らないでしょうし」

「だからうちで引き取るって言ってるのに」

「次はここをにゃんにゃん王国にするつもりですか」


 高天原改めにゃんにゃん王国。

 ……何の問題もないな!


「だって私も埋もれるくらいの猫に包まれてみたむぉっほう!?」

「ほら、ぶちが嫉妬していますよ」


 発言途中でぶちの猫パンチが鼻に直撃し変な声をあげるアマテラス様と呆れるツクヨミ様。

 別にぶちは嫉妬しているわけではなく過剰なスキンシップによるストレスが限界に達しただけです。

 猫に限らず動物を自分本位に構い倒すのは迷惑になるのでやめましょう。


 今日も高天原は平和です。

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