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創作やゲームではノリノリだけどリアルだと面倒くさい

「カオルー。バレンタイン? だからこれあげる」

「そうかー。貰うのはいいんだけどこれウニに見えるんだよなー」

「え? ウニだよ」

「だよな」


 漁から帰ってくるなり棘ついたままの新鮮なウニを両手で差し出され困惑するしかないカオルさんと首をかしげるディレットさん。

 一瞬ウニのようなチョコレートかと思いましたが間違いなくウニでした。


「あれ? ウェッターハーン商会の子からバレンタインは大切な人にプレゼントする日だって聞いたんだけど」

「うん。まあ間違ってない」


 確かに送るものがチョコレート限定なのは日本独自の習慣だし、海外では花やらケーキやら様々なものを送るので、まあウニもありなんだろうと思い直すカオルさん。

 そもそも日本以外でウニ食わねえだろと言われそうですが地中海あたりの一部の国も食うからセーフです。


「でも悪いな。お返しとか用意してないぞ」

「いいよ別に。カオルにはいっつもご馳走になってるから」

「おお。というかおまえ火さえ通ってれば割と何でも食うよな」

「お刺身も好きだよ?」

「いやそうだけどそうじゃなくて」


 四六時中近所のお婆さんの世話になるわけにもいかないので自分でも料理はしているカオルさんですが、そんなに料理が得意でも凝った性格でもないので基本は大雑把な男飯です。

 しかしそんなものも美味しい美味しいとよく食べるディレットさん。

 多分下手に舌が肥えてる人より幸せです。


「じゃあ折角だからウニ丼でも作るか」

「わーいウニどーん」


 そう言ってさらっとディレットさんを横抱きにしてキッチンへ向かうカオルさん。

 ウニとディレットさんを別々に運ぶのが面倒だからまとめて運んでるだけなので、甘い雰囲気とかはありません。

 ディレットさんの腐れ縁の残念人魚が見たら歯ぎしりしそうな光景ですが。


 今日も異世界は平和です。



 一方高天原。


「トリュフチョコレートって中にトリュフが入ってるんだと思ってた」

「まさかとは思いますが入れてないでしょうね」


 チョコを渡しながら不穏なことを言うアマテラス様とつっこむツクヨミ様。

 襖から顔を覗かせた通りすがりのトヨウケヒメ様から「入れてませんよ」と安心のフォローが入ります。


「姉上だってトリュフチョコレートくらい食べたことがあるんだから分かるでしょう」

「食べたことはあるけどその食べたチョコの種類がトリュフチョコレートだと知らなかった!」

「何で胸張ってるんですか」


 私は悪くねえとばかりに宣言するアマテラス様に呆れるツクヨミ様。

 でも実際食べたことはあるけど名前が出てこない料理やお菓子ってあると思います。


「そういえばスサノオがこのタイミングで襲撃に来ないということはチョコレートはあらかじめ送っておいたのですか?」

「うん。おっくんの分も一緒に」

「それ間違いなく見つかってオオクニヌシがいじめられるパターンじゃないですか」


 安定のマザコンにしてシスコンスサノオ様。

 でもオオクニヌシ様大好きな娘にすぐ反撃をくらうので大丈夫です。多分。


「まあ本命も奥さんもいるんじゃ姉からのチョコなんてそんな嬉しくもないよねー」

「いえとても嬉しいですが?」

「トヨちゃんこの弟で大丈夫なの?」

「いつものことですから」


 恋人の前で隠すことなくシスコン全開なツクヨミ様に流石に不安を覚えるアマテラス様と、どうやら慣れてしまったらしいトヨウケヒメ様。

 今日も高天原は平和です。

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