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武勇伝武勇伝

「吸血鬼って欲求不満で人襲いたくなったりするん?」

「いきなり何よ」


 魔王様の御座す魔王城にて。

 唐突な魔王様の質問に胡乱な目を向けながら聞き返すミラーカさん。

 割と頻繁に魔王様を(性的な意味で)襲っていますが、今回はそういう意味ではありません。


「いや最近サイクロプスがやね。誰が相手でもいいから戦わせろってうるさいねん」

「ああ。あいつら脳みそまで筋肉でできてるから」

「うん知っとる」


 久しぶりに名前が出たと思ったらこき下ろされるサイクロプスさん。

 しかし怪物としての存在ばかり知られているサイクロプスですが、元を辿ればギリシャの下級神であり、優れた鍛冶技術をもっていたともされています。

 カオルさんが借りパクしかけていたポセイドン様の三叉鉾も、ゼウス様によってタルタロスから解放されたサイクロプスたちがお礼に造ったものだとされています。

 魔王様のところにいるサイクロプスさんは怪物の方のサイクロプスなので、やはりまったく関係ないし脳筋ですが。


「別に放っておいてもいいんじゃない。それで誰彼構わずに暴れるほど考えなしじゃないでしょ」

「そうかなあ。というか何であんな脳筋が幹部の一人なん」

「強いからよ」

「サイクロプスが脳筋やと思ったら魔族全体が脳筋やった」


 満を持して登場した魔王軍の幹部が弱かったら悲しいからね。

 仕方ないね。


「えー、じゃあうちの幹部連中単純に強い順で決まっとんの?」

「大体はね。一応一種族一人と決まってはいるから、幹部の席が全部サイクロプス族で埋まることはないわよ」

「何その地獄」


 参加者全員サイクロプスなサイクロプス会議。

 ある意味話が即座にまとまりそうですが、間違いなく魔王様のストレスは増えます。


「まあ現状でもまともな幹部一人しかおらんけども」

「そうね。私以外変なやつばっかりよね」

「うんそうやねー」


 まともなのはデュラハンやというつっこみは飲み込んで気の抜けた声で応える魔王様。

 今日も魔界は平和です。



 一方高天原。


「求む私の武勇伝」

「武勇伝は募集しても湧いて出てきたりしませんよ」


 こたつに入ったまま口の前で手を組みいわゆるゲ〇ドウポーズで言うアマテラス様とつっこむツクヨミ様。

 こたつから顔だけ出したぶちがくあっとあくびをしています。


「いきなりどうしたんですか」

「いや。私って他の神族の主神と違ってそういう話なさすぎない? こう父を倒して長の座を手に入れたとか戦争に勝って王になった的な」

「今日も日本は平和です」

「やめて!? お話そのものを終わらせないで!?」


 ツクヨミ様によるまさかの強制終了。

 でももうちょっとだけ続くんじゃ。


「でも実際理由はそこでしょう。争いそのものが少ないですし、あってもそういうのはスサノオやタケミカヅチあたりの役割でしょう」

「まさかタケミカヅチがクリスマスのたびに私に張り合ってるのは主神の座を狙って……!?」

「違いますよ」


 そういうツクヨミ様ですが、実際雷神が主神におさまってるところもあるので何かが違えばタケミカヅチ様が主神ポジションに居た可能性もあったのかもしれません。

 タケミカヅチ様本神はまったくそんなこと考えてませんが。


「うーんでもやっぱりもっと華々しい話が伝わってほしいんだけどなあ」

「伝わってる話が少なすぎて性別すら疑われている私の話します?」

「ごめんなさい」


 輝くような笑顔で自虐するツクヨミ様とこたつにぶつける勢いで頭を下げるアマテラス様。

 今日も高天原は平和です。

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