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カフェイン中毒に注意

「やはりコーヒーは淹れたてが一番でござるな」

「どっから湧いた」

「またフラれた……」

「どっから湧いた」


 安達家のリビングにて。

 昼寝から目覚めたグラウゼさんが眠気覚ましのコーヒーを淹れていると、どこからともなく現れるヤヨイさんとフェリータさん。

 猫ブリーダーだけあり動物系女子に懐かれやすいようです。


「貴様ら私がコーヒーを淹れ始めるなりたかりに来るのをやめろ」

「そう言いながらも用意してくれる親父殿は流石でござる」

「誰が親父殿だ」

「吸血鬼は傷心の私にもっと優しくすべき」

「優しくしたら光の速さでつけあがるだろうが貴様」


 そう言いつつもコップを持ってきて二人にもコーヒーを淹れてあげるグラウゼさん。

 何だかんだ言って面倒見がいいので残念系女子に好かれるのかもしれません。


「そういえばグラウゼ殿はあちらの世界にすぐ帰るのでござるか?」

「ああ。一刻も早く娘の無事を確認せねば夜も眠れない」

「アンタ夜行性でしょうが」


 真顔で吸血鬼ジョークを飛ばすグラウゼさんにつっこむフェリータさん。

 グラウゼさんの娘というのは魔王様の下でフリーダムに生きてるミラーカさんのことなので、別に無事を確認する必要はない気もしますが、親としては心配なのは仕方ありません。


「それにあちらに帰る人間の中で高位の魔術を使えるのは私くらいだろう。異世界の門を開く魔術とやらを覚えるなら早い方がいい」

「あれ? 猫娘と王女様も魔術使えるんじゃないの?」

「拙者もシーナ殿も魔術は手習い程度にしか使えない故そんなややこしそうなものはちょっと無理でござる」

「えー。少し頑張ればイケると思うんだけど」


 そういうフェリータさんですが、男欲しさに次元の壁を突破した何気に高レベルな残念人魚のいうことなのであてになりません。

 魔術の腕だけで言えば実戦派なグラウゼさんやイネルティアさんを差し置いてリィンベルさんに次ぐ安達家ナンバー2だというあたりが喪女の執念を感じさせます。


「というか貴様これだけ空振り続けてまだ日本に残るつもりなのか?」

「空振りしてるのは半分アンタのとこの猫が邪魔するからなんだけど」

「まず邪魔されないような男を見つける目を養え」


 どうやらお猫様によるガードは続いているらしく文句を言うフェリータさんと、そもそも声かける男を選べと正論を返すグラウゼさん。

 今日も日本は平和です。



 一方高天原。


「緑茶に砂糖を入れるのは勘弁ならねえ」

「確かに」


 いきなり口調がおかしいアマテラス様と、珍しくつっこみを入れずに賛同するツクヨミ様。

 緑茶は苦いからこそ美味しいのです。


「いや確かに苦いけどさあ。そこで砂糖いれちゃうのがアメリカンというか……」

「確かに……と同意したいところですが。残念ながら世界的に見ればお茶に砂糖を入れない日本が少数派です」

「なん……だと……?」


 衝撃の事実にちょっと口からお茶吹きかけたアマテラス様。

 海外で緑茶のペットボトルを見つけ「懐かしいなあ」と思いながら飲んだら甘くて吹いたという事例が多発しているので気をつけましょう。


「え? それ緑茶じゃなくて紅茶が多数派だからというオチじゃないの?」

「いえ。中国や東南アジアでも緑茶には大体砂糖が入っています」

「裏切ったな!?」


 ある意味文化の先輩とも言える国の実態にこたつを叩きながら咆哮するアマテラス様。

 日本はガラパゴスだからね。仕方ないね。


「中国! 中国だけはなんだかんだ言って文化的には日本に近いと思ってたのに!」

「何ですかその限定的な信頼は。大体中華料理だって日本の店で出されているものは日本人の味覚にあわせてるだけで、実際の本場の味は日本人の舌には合いませんよ」

「裏切ったな!」

「いや裏切ってはないでしょう」


 度重なる裏切りに絶望するアマテラス様と冷静につっこむツクヨミ様。

 今日も高天原は平和です。

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