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年越しを駐屯地の警備しながら迎えたときの「俺この国を守ってんだな」感

「リチャード。ジュウゾウさんから年越しそば送られてきたけど食べるか?」

「いただこう」


 ガルディア王国にて。

 相変わらず日本食の入手には余念がない王妃様と、王妃様に合わせて最近味覚が変わってきている王様。

 日本に似た食材があるのはガルディアはもちろんジュウゾウさんの居るドワーフ王国からも遠く離れたホムラという国なので、運送魔族の皆さん大活躍です。


「そういえばこっちでは新年に玉ねぎ飾ったりチーズ転がしたりしてたけど、年末にやることって何かないのか?」

「あるにはあるが。国内でも地域差があるな。有名どころだとその年最後の日に訪れた客に……」

「うん」

「皿を投げつける」

「なんだその殺意の高い行事」


 来客のたびに皿がフリスビーのように飛ぶ光景を想像しドン引きする王妃さ……あれ? 何か楽しそうじゃね?


「元はいらなくなった皿を年内に処分する習わしだったらしいのだがな。いつの間にか客に投げつけるようになったらしい」

「そのいつの間にかの間に何が起こってそうなった」


 ちなみに年末に皿を割る習慣自体はヨーロッパの一部にもありますが、間違っても人に投げたりはしません。


「他にも掃除のついでに窓からバケツ一杯の水を投げ捨てたり、いらなくなった家具を投げ捨てたりと」

「年末にものが飛びまくるなこの国!?」


 大晦日には絶対お忍びで外出はしないと誓う王妃様。

 年が明ける前にいらないものは投げ捨てちまえ精神です。


「あとは年を越えると同時に椅子から飛ぶなどか」

「自分も飛び始めるのか。何の意味があるんだそれ」

「意味は分からんが年を跨ぐ瞬間に空中に居るとその年はいい年になる……らしい」

「特に意味ねえのかよ」


 そういって呆れる王妃様ですが、大晦日に王様が王妃様の寝室を訪ねると、そこには椅子の上に立って待機する王妃様の姿が!

 今日も異世界は平和です。



 一方高天原。


「ツクヨミ。椅子の用意を」

「しませんよ」


 パンパンと手を叩き何か言ってるアマテラス様に冷静に答えるツクヨミ様。

 聞いたらとりあえずやってみたくなるからね。仕方ないね。


「……ならこたつの上から」

「机の上に立つんじゃありませんはしたない!」


 アマテラス様の暴挙におかんのような叱責をするツクヨミ様。

 そもそも太陽なんだから高いところから跳ばなくても自分で浮けるだろとかつっこんではいけません。


「大体何故そんな由来も意味も分からないものを実行しようとしているんですか」

「由来も意味もなくてもやってみたら楽しそうだから!」

「そうですねーたのしそうですねー」


 何ら臆することなく言い放つアマテラス様に、これは説得は無理だと早々に諦め遠い目をするツクヨミ様。

 どう考えても楽しくなさそうだと思っても本人が楽しそうだと思うならどんな説得も意味はありません。


「せめて怪我はしないように」

「もちろん!」


 そうして意気揚々と椅子から跳んだアマテラス様でしたが、実際やってみたら大して面白くなくて消沈するという当然の話。

 今日も高天原は平和です。

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