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誰にでもできる簡単なお仕事ですを信用してはいけない

「エルテ。相談があるのだけど」

「はい? 私にですか?」


 安達家にて。

 リビングでこたつに入りココアを飲みながらくつろいでいたエルテさんの下に、突然やって来て何やら神妙な顔をしているローマンさん。


 ちなみにエルテさんはローマンさんにとって安達家内で唯一年下であり基本的に敬語を使わない存在だったりします。

 年下相手ではなくても男相手なら相手によっては敬語を使いませんが、安達家の男性陣は普段女性陣の尻にしかれていて忘れそうになりますが基本スペックは高い面々であり、流石のローマンさんもそんな相手に居丈高貴族ムーブするほど命知らずではありません。


「もうすぐクリスマスだろう。それでヤヨイさんにプレゼントを送ろうと思ってね」

「はあ」


 話を聞きながら素知らぬ顔で相槌を打つエルテさんですが、内心では「リア充爆発しろ」状態です。

 実はそのエルテさんも校内で人気があったりするのですが、普段からエルテさんを猫可愛がりする友人たちにブロックされているのでさっぱり気付いていません。

 気づいたら気付いたで何気にエルテさんは毒舌なので、何人の男子が泣かされるのか分からないので現状のままの方が平和でいいのかもしれません。


「色々と調べたのだけれど。これから寒い季節だし、マフラーならサイズなども気にしなくていいからおすすめだということだったのだけれど。女性から見てもマフラーはありな贈り物だろうか」

「いいと思いますよ。ヤヨイさん寒がりですし」


 どれくらい寒がりかというと、休日は寒いのが嫌だからこたつに入ったまま動こうとしないほどです。

 ちなみに夏は夏で熱いので外出を嫌がります。

 安達くんやグライオスさんに誘われて稽古などで体は動かしていますが、それ以外では滅多に動かない超健康体な新型引きこもりです。


「なるほど。ではさっそく編もうと思うのだけれど、ヤヨイさんには何色が似合うだろうか?」

「ちょっと何色か考える前の前提がおかしくないですかね」


 さらっと言われたのでさらっと流しそうになったエルテさんでしたが、改めて考えてもおかしいので待ったをかけるエルテさん。 

流石の常識人です(毒舌)。


「……編めるんですか?」

「うん? 編んだことはないけどやり方を調べれば編めると思うよ」

「ローマンさん何気に女子力高いですよね」


 以前ホワイトデーに立派な手作りお菓子を返されたことを思い出しこめかみを押さえるエルテさん。

 ちなみに本命返しだけあり特に力がこもった作品を受け取ったヤヨイさんは喜びながら撃沈するという器用な状態に陥っていました。


「ローマンさん。手作りはやめましょう。市販の方がいいです」

「え? でも手作りの方が思いがこもってそうだしよくないかい?」

「思いがこもってるから困ることもあるんですよこの頓痴気が!?」

「トンチキ!?」


 察しろやゴルァという言葉は飲み込んだものの別の罵倒が出てしまったエルテさんと驚くローマンさん。

 今日も日本は平和です。



 一方高天原。


「マフラーってそんな短時間で編めるものなの?」

「短時間というのがどの程度を指すのかは分かりませんが、慣れている人間なら一週間もあれば編めますよ」


 湯呑で茶を飲みながら聞くアマテラス様に同じく茶を飲みながら答えるツクヨミ様。

 寒くなると温かい日本茶が美味しいからね。仕方ないね。


「まあ慣れていない人間なら余裕をもって一ヶ月と見積もるべきだという話もありますが、あの青年は何気に器用ですからね。万が一間に合わない場合の腹案も持っていることでしょう。姉上には無理でしょうが」

「失敬な! 私だって十月に編み始めて十一月には完成していたことがあるよ!」

「それ途中で編むの飽きて次の年に思い出して完成させたとかじゃないですよね?」

「……お茶が美味しいねえ」

「目を逸らさない」


 どうやら図星だったらしく何もない虚空へと目を向け呆けるアマテラス様。


「でもまあしかし、完成させたのなら立派な事ではないでしょうか」

「だよね!」


 姉上にしてはという言葉は隠して褒めたツクヨミ様にここぞとばかりに食いつくアマテラス様。

 今日も高天原は平和です。

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