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鰯の頭も信心から

「やっぱり食料関係の品質や輸送の質をあげるためには冷蔵庫の開発が必須だと思うんですよ」

「また何かめんどそうなこと言い出したこの子」


 フィッツガルド帝国の帝都のインハルト家の屋敷にて。

 アイスクリームをヴィルヘルミナさんに差し入れし「ありがとうカガト」と言われただけで疲れが吹っ飛んだある意味幸せなカガトくんの下に、いつも通りに唐突に現れたミィナさんがいつも通りに無茶ぶりの態勢に入りました。


「小学生の遊びでも作れるようなアイスと違って、冷蔵庫とか魔術を応用するにしても時間がかかるよ。というか門が開くの待って向こうの冷蔵庫の動力何とかした方が絶対早い」

「そんなに難しいんですか?」

「冷やす箱作るだけならどうとでもなるけど。それを一般化するのが難しいんだよ。魔術は素質頼みで誰にでも使えるものじゃないし」


 同時にそんな魔術に頼る風潮があるから、こちらの世界の技術は中途半端なんだろうなと思うカガトくん。

 言ったら間違いなく面倒事が増えそうなので言いませんが。


 魔術の中には地球側の常識をひっくり返すようなものや様々な法則を無視しているとしか思えないものがかなりあります。

 同時にそんな技術が万人に扱えず一部の者に限定されているからこそ、日本側が有利になっている部分もあるのだろうなと。


(あれ、じゃあそれを使える俺って何気にヤバくね?)


 最近心に余裕ができたカガトくんが自分の立場のヤバさに気付き始めました。

 でも多分もう手遅れなので強く生きてください。


「それにしても大陸全土に手を伸ばしてるのにまだ先を目指すの?」

「もちろんです。お客様の要望がある限りは儲けのチャンスは転がっているのと同義なのです」

「お客様は神様ってやつ?」

「私その言葉嫌いです。というかそれってお客さんを神様みたいに尊重して扱えって意味じゃないですよ」

「そうなの?」


 お客様は神様ですという言葉は、演歌歌手である三波春夫さんの言葉だとされています。

 しかしそれは「お客様の前で歌う時は神前で祈るように雑念を払い澄み切った心でなくてはならない」といった意味合いであり、お客というのも商売相手や依頼主のことではありません。


 ちなみに三波春夫さんは生前からこの言葉が一人歩きしていることに思うところがあったらしく、公式ホームページでもそのことについての説明が掲載されていたりします。


「やはり商売の基本は対等にWIN-WINです。人間関係というのは一方的なものでなく相互であるべきなのです」

「でも相手に隙があったら?」

「気付かれないように奪い取れ」

「もうヤダこの子」


 最近天然ではなく完全に腹黒くなってきたミィナさんに戦慄するカガトくん。

 今日も異世界は平和です。



 一方高天原。


「とんでもねぇあたしゃ神様だよ」

「知ってますよ。というか今の若者に通じませんよそのネタ」


 いきなり何か言い始めたアマテラス様につっこむツクヨミ様。

 でも実際神様なので何も間違ったことは言ってません。


「というか日本人て何でも神様にしたがるよね。インターネットができてから一体何柱の神が誕生したんだろう」

「それは流石にジョークみたいなもので神にカウントしてはいけないと思いますが」



 優れた技術を持った人が「神」と崇めがれる現象は置いといて。

 歴史上の偉人や徳を積んだ動物など、日本では割と簡単に神に祀り上げられることが多いです。

 逆に妖怪の類は零落した神であるとする考えもあり、上から下までピンキリなのが日本の神だとも言えます。

 故に神をGODと訳するのは間違いだという意見もあったりします。


「神がGODなんじゃなくてGODの仲間に神が居る的な?」

「どちらかというと神という大枠の中にGODが居る感じだと思いますが」

「……神。いわゆるGOD」

「また微妙に古いネタを」


 考えている内に面倒くさくなったのか何も考えずに発言を始めたアマテラス様と呆れるツクヨミ様。

 今日も高天原は平和です。

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