表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

199/529

猫集会に偶然遭遇し「何だこいつ」という目を向けられる

「ふう。ようやくこの時間帯も涼しくなってきたか」


 太陽が山に隠れたばかりでまだ少し明るい夕暮れ時。

 最近割と昼間でも活動しているグラウゼさんが、相変わらず現代日本には馴染まない貴族メンルックな格好で街を徘徊しています。


 最初は地域住民も「何か飛んでる!?」と驚いていましたが慣れました。

 夕暮れ時に飛び始める害のない蝙蝠みたいなもんです。

 蝙蝠見たことないという人も居るでしょうが、夕方に何かひらひら飛んでたら大体それが蝙蝠です。

 意外と可愛い顔をしていますが捕まえるのは可哀想なのでやめましょう。


「ほら猫共、水の替えをもってきてやったぞ」

「にゃー」


 そして近場の公園に来るなり、幾つか設置されている器にどこからともなく取り出したミネラルウォーター(軟水)を入れていくグラウゼさんと、集りはじめる猫たち。

 これも最早地域住民には見慣れた光景であり、最近ではグラウゼさんは「猫おじさん」と呼ばれていたりします。

 初登場時の中二感溢れる威厳は何処に行ったのか。


 ちなみに猫にミネラルウォーターは勿体ないと思う人もいるかもしれませんが、お猫様というのは気ままに生きているようでデリケートであり、水道水はカルキ臭くて嫌がったりお湯の方が好きだったりと好みにも結構個体差があります。

 中には気に入らないからと水を飲まなくなりそのせいで病気になるというロックな生き方を貫くお猫様もいるので、いかにして水を飲ませるかというのは猫を飼う上で重要なポイントだったりします。


 また一口にミネラルウォーターといっても、カルシウムやマグネシウムなどの含有量の多い硬水を猫に与えると、尿路結石の発症率があがったりと健康に影響が出るので、硬度の低い軟水をあげましょう。

 ということを書いてなかったら感想欄で指摘されまくりました。本当に申し訳ありません。

 みんな猫好きだな!


「しかしおまえたちもこの暑いのによく屋外で過ごせるな」

「にゃー」

「そうか。なるべく動かないのがポイントか」

「にゃー」

「何? 熱中症で倒れた老人を見つけて知らせただと? よくやった。ジャーキーをやろう」

「にゃー」


 猫の報告を聞きジャーキーを配り始めるグラウゼさん。

 猫と話しているのを聞かなかったら完全にただの猫好きなおっさんです。


「にゃー」

「何? 駐車場の車内に子供が置き去りにされていただと? ……夕方とはいえ気になるな。案内しろ猫!」

「にゃー!」


 そう言うと白猫を肩に乗せ颯爽と現場へ急行する最早ただのいい人なグラウゼさん。

 今日も日本は平和です。



 一方高天原。


「ぶちって水あんま飲まないけど大丈夫なの?」

「自分で水道の蛇口開いて飲んでますよ」

「小器用!?」


 相変わらずあまり懐かずマイペースなぶちの生き方に驚くアマテラス様。

 猫の中には流水が好きという個体も居るので、水を循環させる機構のついた給水装置とかも売ってたりします。

 というよりも「水は与えられるものじゃない。自分で勝ち取るものだ!」という考え方で、餌皿の水には手をつけない個体もいるそうです。

 やはりお猫様はフリーダム。


「その後流しっぱなしだからやめてほしいんですけどねー」

「襖も自分で開けて閉めずにそのままどこかへ行ってしまいますしね」

「まったく誰に似たんだか」


 トヨウケヒメ様とツクヨミ様の言葉に見事なすっとぼけっぷりを見せるアマテラス様。

 猫の手で押すことはできても引くのは難しいからね。仕方ないね。


「というか特に教えてないのに何でそういうことは覚えるのかなぶち」

「見様見真似でしょう。といいますが今気づいたのですが」

「何?」


 本当に今気づいたのかハッとした様子のツクヨミ様と、今度は何だと首を傾げるアマテラス様。


「餌は一応食べますが自分でも狩りをしていますし、水は皿から飲まず勝手に蛇口開いて飲むということは、ぶちのやつ飼われているという自覚すらないのでは?」

「……」


 飼い主でありながら格下に見られているのではという疑惑はありましたが、まさかの飼い主とすら思われていない疑惑。

 ……何だいつものお猫様じゃないか。


「そ、そんなことないよねぶち!?」

「……」

「ぶちー!?」

「本当にマイペースですね」


 アマテラス様の必死の声にも応えず、無言でクールに去っていくぶち。

 今日も高天原は平和です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらの作品もよろしくお願いします。

スライムが倒せない
 とある田舎の村の少年レオンハルトは「冒険の旅に出たい」という夢を持っている。
そのため手始めに村の近くに出没したスライムで魔物との戦いの経験をつもうとしたのだが……。
コメディーです。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 夕方に飛び回る、家コウモリに害が無いとか言う嘘はやめてくれ。 奴らは家の周り等に糞を撒き散らしたりしやがる害獣だ。 状況によれば、屋根裏に住み着かれて糞だらけにされたり、いろいろ物音さ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ