常温で冷ますと菌が繁殖する可能性もあるので注意
「ふー、やっぱり夏はカレーだな!」
「春夏秋冬食堂に来たらカレーだろうがおまえは」
メルディア王国の食堂にて。
相変わらずカレー食って汗をかいている騎士に、相変わらずパスタ食ってる騎士がつっこみます。
「いやでも副団長も夏はカレーが良いって言ってたし、実際俺カレー食い始めてから夏バテしてないぞ」
「それは単におまえが無駄に健康なだけじゃないのか」
「ふっ。どうやら新たなるカレー戦士が誕生したようね」
『副団長!?』
いつの間にかカレー食ってる騎士の背後に回り込んでいたオネエと、驚いて立ち上がる騎士二人。
オネエに背後に回られるとか貞操の危機を感じそうですが、紳士なオネエはノンケは無理やり食わないので警戒しなくても大丈夫です(食わないとは言ってない)
「しかし副団長。こいつ見るからにカレー食って余計に暑くなってるんですが、本当に夏にカレーはいいんですか?」
「もちろんよ。むしろ汗っていうのは体温下げるためにかくんだから、汗が出ない方が不健康なの」
汗だくになっている騎士を指さしながら言う騎士に自分のカレーをテーブルに置きながら答えるオネエ。
脱水症状を起こして汗が出なくなったせいで熱中症になるというコンボからも分かる通り、汗による体温調整は馬鹿にできるものではありません。
ちなみに汗と一緒にミネラルなどの栄養素も一緒に出て行ってしまうのも最近よく知られるようになりましたが、所謂べたつく汗というのはこのミネラルが大量に出て行ってしまっている汗であり、さらさらな汗というのはミネラルがあまり含まれていない汗とされています。
つまりべたつく汗は不快なだけでなく健康にも悪いのです。いやマジで。
「まあ汗をかいたらそのぶん水だけじゃなくて栄養もとらなきゃいけないんだけど、野菜なんかの具だくさんなカレーなら正にうってつけ。さらにスパイスによって暑さで弱った胃腸のケアまでしてくれるのよ。つまり夏はカレーだけ食べてれば死にはしないわ!」
「いや流石にカレーだけはちょっと」
「俺はイケるぞ」
毎食カレーはちょっとと拒否するパスタの騎士と割と乗り気なカレーの騎士。
実際作者は週5のペースでカレー食ってた時期がありましたが、特に健康診断などにもひっかからなかったので毎食カレーでも死にはしないと思われます。
多分。
「まあ何事もバランスよね。貴方もパスタばっかり食べてないで別のものも食べなさいな」
「そうだぞ。パスタばっかりだろおまえ」
「解せぬ」
カレーばっか食ってる二人にパスタばっかり食ってるのを責められ納得できないパスタの騎士。
今日も異世界は平和です。
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一方高天原。
「私は毎晩どころか毎日朝昼晩カレーを食べるのもやぶさかではないよ」
「私とトヨウケヒメがそんな暴挙を許すとお思いですか?」
こちらもカレー大好きなアマテラス様とイザナミ様よりオカンしてるツクヨミ様。
別に神様が偏食したところで体調崩したりはしないと思われますが、世の中には譲ってはならない一線というものが存在するのです。
「えー? ツクヨミだってカレー好きでしょ?」
「好きではありますが毎日食べていたら流石に飽きます。百歩譲っても一晩寝かせての二日連続でしょう」
「うん。一晩経ったカレーはヤバいね」
カレーを一晩寝かせると美味しくなるのは、具材とルーのお互いの味が溶けあいなじむのと、具材の旨味成分がとけだし全体にこくがでるためだとされています。
これは煮込み料理全般に言える事であり、飲食店によっては料理を冷水で冷やし再加熱してから出すところもあるそうです。
「でも大丈夫。私は飽きないから!」
「では実際にやってみましょうか」
そう言ってトヨウケヒメ様に目配せするツクヨミ様とに苦笑しながら頷くトヨウケヒメ様。
しかしツクヨミ様の予想に反しアマテラス様は一ヶ月以上もカレーを飽きもせずに食べ続け、ツクヨミ様が先に音を上げて謝るという珍しい事態が発生することとなりました。
今日も高天原は平和です。