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異世界召喚が多すぎて女神様がぶちギレました【連載版】  作者: 湯立向日/ガタガタ震えて立ち向かう


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大体カレーに入れれば問題ない

「うーん。どうしましょうか」


 ケロス共和国にある小さな村。

 最近エルフとダークエルフが大量にやってきたせいで「もう小さくないだろこの村」とつっこまれそうなその村にて、農業少女なアスカさんが何やら悩んでいました。


「どうしたんだアスカ?」

「あ、サロスくん。フィデスさんも」

「お疲れ様です。おや、見事な実りですね」

「はい。初めて作る野菜もあったんですけど無事に収穫出来てよかったです」


 そう言うアスカさんの前には、収穫されたキュウリやら茄子やらトマトといった夏野菜の数々。

 とりあえずト〇ロの真似をしてキュウリを生で齧るのは日本全国の子供がやりたがる通過儀礼です。


「そういえば先ほどスクナヒコナ様が箸を両手で振り回しながら七輪? とやらで茄子を焼いていましたが」

「ああ。毎回のことなんで気にしなくていいですよ」

「茄子取れるたびにやってんのかよあいつ」


 何故か茄子だけは自分で焼きたがるスクナヒコナ様に呆れるサロスくん。

 体のサイズ的に無茶に思えますが、一寸法師の原形だとも言われる方なので鬼倒すのに比べたら茄子焼くくらい楽勝です。


「あーでも焼き茄子。焼き茄子もシンプルでいいかなあ。あとはパスタとかラタトゥイユもいいかな」

「何だ。もしかして何作るか考えてたのか?」

「うん。いつもなら思い付きで作るんだけど、今はエルフの人たちの食べられるものを作らないといけないから」

「ああ……最近若いのがアスカさんの家に入り浸っているそうですね」

「……」


 そうなのです。

 以前アスカさんがカレーを作りすぎてしまいヘタレダークエルフのリーダーにおすそ分けして以来、アスカさんの作る料理は美味いと評判になりエルフやダークエルフが飯目当てでやってくるようになったのです。

 その中には当然アスカさん自体が目当てのエルフも居るので、そのへん察してるサロスくんが急に無表情になりフィデスさんがちょっと引きました。


「……ご迷惑なら私から遠慮するように指導しますが?」

「大丈夫ですよー。むしろご飯はみんなで食べた方が美味しいですから」

「……」


 そしてこれちょっとヤバいかなあと思ったフィデスさんがフォローを試みたものの、笑顔でその心づかいを粉砕するアスカさん。

 サロスくんの目からハイライトが消えました。


「あ、ちゃんとサロスくん用に別に料理作るから食べに来てね」

「……おう。しょうがないな」


 しょうがないといいつつ尻尾があったらぶんぶん振ってそうな勢いで内心喜ぶサロスくん。

 かなり危ないラインまで到達していましたが、ちょろいので助かりました。


「……色恋沙汰に他人が口を出すべきではないのでしょうが」


 サロスくんの様子を見てこれは流石に見張った方がいいのだろうかと考えるフィデスさん。

 ここでサロスくんを気遣ったせいで、ヤンデレが病んでいく過程を観察する羽目になるのは別の話。


 今日も異世界は平和です。



 一方高天原。


「……らたとぅいゆって何?」

「フランスの煮込み料理です」


 アマテラス様の疑問に即座に答える最近雑学わざわざ集めてるんじゃないかと疑惑を持たれているツクヨミ様。

 でも実際雑学が多い人というのは話題が豊富だということでもあるので紳士なツクヨミ様なら当然の嗜みだとも言えます。


「おーこのチーズのってるのとか美味しそう。というかチーズのせるのズルくない?」

「何がですか」


 早速ラタトゥイユをPCで検索し飯自爆テロを始めるアマテラス様。

 ツクヨミ様の視線を受けて察したトヨウケヒメ様により本日の夕食はラタトゥイユに決定されました。


「いやだってグラタンとかハンバーグとかさ、チーズのせるだけで料理がワンランクアップしたような気がしない?」

「そりゃ食材を一つ増やすのですからランクが上がるのは当然でしょう」

「そうだけどそうじゃなくて!?」


 言いたいことが伝わらず頭を抱えて悶絶するアマテラス様と、言いたいことは分からないけれど何をすればいいのか察してトヨウケヒメ様に目配せするツクヨミ様。

 本日のラタトゥイユにはとろけるようなチーズがトッピングされます。


「例えばカレーに最初から豚肉入れてるのとトンカツ後からのせるのはランクの振れ幅が違う的な!」

「トンカツは別に調理してあるので例えとして適当ではないと思うのですが」


 そしてそんな気遣いをしながらも、間違っていると思われるところには容赦なくつっこみを入れ続けるツクヨミ様。

 今日も高天原は平和です。

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