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こまけぇこたぁいいんだよ!

 魔王様の御座す魔王城。

 大陸でも有数の大国であるフィッツガルドと同盟を結び、少しは襲撃してくる自称勇者も減るかと思われた魔王城でしたが、相変わらず冒険者たちはトラップにひっかかっては小麦粉塗れになったりトイレの水洗みたいに流されたりしています。


「何でや」

「さあ?」


 魔王様の疑問に罠を監視しながら首を傾げるトラップ担当のスケルトンさん。

 雑魚だと思われがちですが、ミラーカさんすら逃げ出すヤタガラス様の神気に耐えたりと何気に強キャラです。

 きっとゲームだったら「今頃スケルトンかよ(笑)」とか言って舐めプしてくるプレイヤーを瞬殺する初見殺しポジションです。


「ただ気になるのが、以前より軽装な冒険者が増えたというか。仮にトラップ突破できてもすぐ返り討ちになりそうな貧弱な装備の連中ばっかりなんですよ」

「えー? うちら別に全滅しても所持金半分強奪したりしよらんのに」

「ああ。それ多分魔王様倒しに来てるんじゃないわよ」

「はい?」


 不意に横からずいっと顔を出してきたミラーカさんに、少しひきながらも疑問の声をあげる魔王様。

 相変わらず少しひくだけでドン引きではないので、どうやら幾度もの襲撃を経ても貞操は守り続けているようです。


「ほら。あの坊やの方の勇者の仲間にシーフの女の子がいたじゃない」

「ああ。あの正面からトラップ突破してきた」


 すぐに思い出しポンと手を打つ魔王様。

 ちなみにそのシーフな少女の名前はリーゼさんで、もう一人の仲間の魔術師の女性がローザさん。ついでにアルジェント公国の大公さんの娘はリーザさんです。

 誰だこんな紛らわしい名前をつけたのは。


「その子があれ以来勇者の仲間って言うだけじゃなくて個人的に有名らしいのよ。あの魔王城を突破したって」

「あのて。……え? もしかしてこの人ら名を上げたくてこの面白トラップ突破しに来てんの?」

「らしいわよ」


 まさかの答えにあんぐりと口を開けトラップにひっかかる冒険者たちを見る魔王様。

 今もまた一人宙に浮かぶ石を踏み台にしようとしてそのまま石ごと奈落の底へと落ちていきました。


「……それなら挑戦料でも取ろか。トラップ設置し直すんもタダやないんやし」

「そんなことしたら入って来なくなるんじゃない?」

「そこはホラ。突破出来たら魔王の名の下に優秀な人材と認め各国に推薦状書いてやるとか餌釣って」

「なるほど」


 魔王様の提案に納得するミラーカさん。

 なんだかんだ言ってこの人も魔王様に染められています。


「金払うの拒否して実力行使してきたらどうすんですか?」

「それならむしろこっちの土俵やん」

「そうね。ちょっと痛い目を見て帰ってもらえばいいわ」


 スケルトンさんの問いに即座に答える流石の脳筋魔族。

 今日も魔界は平和です。



 一方高天原。


「ちょっと魔界行ってくる」

「行かせませんよ」


 部屋を出て行こうとしたアマテラス様の首根っこを掴み猫のようにつりあげるツクヨミ様。

 ちなみに猫をそうやって持つと大人しくなるのは、母猫が運ぶ際に邪魔にならないよう本能的に動かなくなるためだそうです。


「何で!? いいでしょ人間界じゃなくて魔界なんだから!」

「あの世界はまだ境界線が薄いから魔界もほとんど物質界の内でしょうが。大体何でいきなり魔界に行こうとしてるんですか」

「あの風〇魔王城を生で見たい」

「生で見てどうすんですかあんなもん」


 アマテラス様の言葉に魔王城をあんなもん扱いするツクヨミ様。

 でも実際普通の魔王城の在り方からはかなりズレているのであんなもんでも仕方ないと思います。


「だってアレ見てるだけでも結構面白いんだよ! 録画してネットに流したらいいねいっぱい貰えるくらい」

「まさかとは思いますが実行してないでしょうねそれ」


 そういえばオモイカネ様のネットリテラシー教育から随分と時間が経ったことを思い出し、再講義が必要かと考え始めるツクヨミ様。

 久しぶりのオモイカネ様の出番です。


「というか録画ってどうやってやるんですか」

「オモイカネが遠見用の鏡とパソコン繋いでくれた」

「どうやって!?」


 オモイカネ様が軽くオーバーテクノロジー発揮してるのを知って驚愕するツクヨミ様。

 世の中は出力と入力がしっかり機能してれば多少変換が変でも大丈夫だってじっちゃが言ってた。


「そんなこと言ったら高天原にどうやって回線ひいてるんだって話になるし」

「……細かいことを考えるのはやめましょう」


 珍しくアマテラス様からの追及に諦めるというある種の敗北を喫するツクヨミ様。

 今日も高天原は平和です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 何気に一番つおいのはオモイカネ様。
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