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スフィンクスの前で記念撮影する侍

 大陸南部のアルジェント公国のとある街。


「おー。本当にすぐ溶けたな氷」


 街中を走る水路を見て感心したように言うカオルさん。

 ちなみに漁に出ない時は半裸ではなくちゃんと服を着ています。


「ええ、本当に良かった。では私はこれで」

「待てい」


 ようやく普段通りに機能するようになった街を見てそそくさと帰ろうとした大公閣下でしたが、カオルさんにアイアンクローをきめられて足が地面から離れました。


「メキって!? 頭蓋骨がメキって!?」

「この前は異常気象に驚いてスルーしたけど、アンタ俺に何か言うことはないか」

「……娘をよろしくお願いします」

「違う! いやある意味あってるけど違う!」


 宙づりになったまま頭を下げようとして体の方が曲がる大公さんとつっこむカオルさん。

 流石弱小国家の国主。土下座外交には全力です。


「娘さんを俺の嫁にってのはあの腹黒王子から逃がす方便だと思ってまあ見逃したんですけどね。その肝心の王子が婚約者決める気配がないから、さっさと娘さんの本命決めないと嘘が嘘じゃなくなるんじゃないかって俺なりに心配してるんですよ」

「まったくハインツ王子にも困ったものですな」

「他人事のように!?」


 相変わらず宙づりのまま肩をすくめる大公さんにもはや呆れを通り越して尊敬すらしそうになるカオルさん。

 国主なんてこれくらい面の皮が厚くないとやってられません。


「いや実際私も娘の身の振り方に困っているんですよ。少し前ならこんな終わってる国の王か王配になろうなんていう酔狂な王侯貴族の男など居なかったのですが」

「アンタ自分の国を終わってるってオイ」

「人魚さんたちが住み着いたことやウェッターハーン商会のテコ入れでそれなりにうま味のある国になってしまったのが逆に困ったと言いますか。相変わらず軍事力はないので外交で綱渡りしている状態でして」

「じゃあ尚更宗主国のハインツ王子と仲良くした方がいいんじゃないですか」

「いやですよあんなのが義理の息子になるとか」

「変なとこで我儘だなアンタ!?」


 どうやら国を差し出すにしても相手は選びたいらしい大公閣下。

 でもその相手に指名されたカオルさんとしてはいい迷惑です。


「この国の経済の大半占めてる街の領主になっちゃってるんですから、もう国を治めるのも大差ないでしょう。やっちまおうぜ息子よ!」

「それ自体が詐欺同然だっただろうが!?」

「痛い痛い!」


 宙づりのままサムズアップする大公さんと手にさらに力を込めるカオルさん。

 今日も異世界は平和です。




 一方高天原。


「ふう。寒いと熱い茶が喉を通るのが気持ちいいわね」


 こたつに入りお茶をすすりながら年寄り臭いことを言ってるミズハノメ様ですが、見た目はロリでも中身はそれなりのお歳なので深く気にしてはいけません。


「……」


 一方何やら胡乱な目でミズハノメ様を見ているアマテラス様。

 見つめつつも手はこたつの上のきな粉餅に伸びているのは流石です。


「何なのその目は?」

「……ミズハっちって水の神なのに冬は凍り付いて動けなくなったりしないの?」

「その理論だとアンタ太陽が沈むたびに死ぬことになるわよ」


 何か言い出したアマテラス様に冷静に返すミズハノメ様。

 しかし実際のところ太陽の運行を死と再生に結び付ける考えは世界中にあり、古代エジプトなどではヒジリタマオシコガネが球を転がす姿を太陽に見立て、再生の象徴として崇めていたと言われています。

 今の話の流れからヒジリタマオシコガネを俗称で呼んではいけない。いいね?


「それにそんな事言い出したらツクヨミとか体が満ち欠け……は流石になくても、大きくなったり縮んだりしなきゃならないじゃない」

「何それ見たい」


 いつも冷静沈着百合好きな弟が自分より小さくなっているのを想像して悦に入るアマテラス様。

 ちなみにミズハノメ様をロリにしたのは作者の判断ですが、アマテラス様に関しては初期に一文字もロリだとは書いてなかったのに観測者(読者)から「このアマテラス様はロリでしかイメージできない」という感想が多数寄せられたのが原因だったりします。

 つまり作者は悪くないです(非の打ちどころのない責任転嫁)。


「ツクヨミが小さくなってもアンタが変わらないと関係性も変わらないわよ?」

「大丈夫。ミズハっちも性格は可愛くないけど見た目は小さいから可愛いし」

「毎度喧嘩売ってんのアンタは?」


 真顔で言い放つアマテラス様と呆れたように言い返すミズハノメ様。

 今日も高天原は平和です。

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ヒジリタマオシコガネの俗称...あー、スカラベねスカラベ。で、どこに問題が?←分かってる人
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