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サンタ狩り

「そういえばもうすぐクリスマスだなあ」


 フィッツガルド帝国。

 最近皇帝が人の心が分からないだの、本当のことを言うにしても言い方があるだろだの、もしかして:無能だのと言われて株が下がりまくってる国で、その犠牲者であるカガトくんが自室の窓辺で黄昏ていました。

 自室と言っても部屋自体はヴィルヘルミナさんの屋敷の一室を借りているものです。

 働き先はブラックですが直属の上司や扱いには確実に恵まれています。


「そうですね。というわけでプレゼント買いませんか?」

「買いませんかと聞きつつ左手で代金請求しないでくれない?」


 綺麗に梱包された小包の角をカガトくんの顔に押し付けながら、手の平を突き出すミィナさん。

 小さなことからコツコツと。今日も商売に余念がありません。


「確実にヴィルヘルミナさんが気にいるものが入ってますよ」

「ミィナさんお嬢様の名前出せば俺が何でも言うこと聞くと思ってない?」


 といいつつ懐から財布を取り出すカガトくん。

 ヴィルヘルミナさんに弱いのは当然ですが、相変わらず女の子には強く出られないので当然の対応です。


「でもクリスマスプレゼントこっちでも流行らせるの? 前は宗教絡みは面倒くさいから手を出さないって言ってなかった?」

「はい。なのでクリスマスという宗教行事ではなく、怪人サンタXが寝ている間にプレゼントを無理やり靴下にねじ込む的な宗教色のない部分を押し出そうかと」

「その言い方だと冷え性で靴下はいて寝てる人の足にプレゼントねじ込まれそうなんだけど」


 ちなみに冷え性だからと靴下を重ね履きすると、むしろ血行が悪くなって冷えが悪化するので気をつけましょう。


 あとよく日本人はキリスト教徒でもないくせにクリスマス祝ってサンタが来ると言われますが、実はイスラム国家でもトルコとかはノエルババと呼ばれるサンタ的な何かがクリスマスにプレゼント配ってたりします。

 これはサンタクロースの起源となった聖ニコラウスがトルコ出身であり、ノエルババが広がったのがイスラム教の成立よりも古かったため土着行事として残ったのだと言われています。


「あと恋人たちの夜とかロマンチックにアホな人種を煽って消費を促そうかと」

「アホて。まあ俺には関係ないからいいけど」

「もげろ」

「いきなり何!?」


 イケメンがそれ言っても厭味にしか聞こえねえよ状態なカガトくんと、いつもの微笑みを消して真顔で死刑判決を下すミィナさん。

 今日も異世界は平和です。



 一方高天原(字数稼ぎ)。


「今年はサンタさん来るかな?」

「欠片も信じてない目でこちらをガン見するのはやめてください」


 純粋無垢なふりをしてプレゼントをたかる主神。

 このままではツクヨミ様の方が弟だということが読者たちに忘れ去られてしまいます。


「大体サンタクロースが高天原まで来るわけがないでしょう」

「え? 米軍の追跡もぶっちぎるんだから高天原ぐらい余裕でしょ?」

「どんだけ米軍信頼してるんですか」


 ちなみに毎年サンタの追跡情報を発表しているのは北アメリカ航空宇宙防衛司令部というアメリカとカナダの共同基地ですが、解析によるとサンタの最高速度は新幹線の百倍に達するそうです。

 つまり相手は死ぬ。


「それにサンタクロースへのお願い事は親を通して行うのが普通でしょう」

「だってお父さんは相変わらず出てこないし、お母さんは……」

「私が悪かったです」


 サンタさんのプレゼントが欲しいとか言ったら「うふふ。何を言っているのかしらこの子は」と素敵で黒い笑顔を浮かべそうなイザナミ様を想像してガタガタ震えるアマテラス様。

 ツクヨミ様もなんか謝ってますが、いくらなんでもイザナミ様もそこまで無慈悲ではありません。


「それ以前に根本的な問題としまして」

「え、何?」

「姉上子供じゃないでしょう」

「……」


 弟から姉への無慈悲なつっこみ。

 イザナミ様に一番似ているのは間違いなくツクヨミ様です。


「……大人になんてなりたくない」

「ピーターパンみたいなこと言ってないで起きなさい」


 言外に「貴様にやるプレゼントは無ぇ」と言われてふて寝するアマテラス様とつっこむツクヨミ様。

 今日も高天原は平和です。

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