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異世界召喚が多すぎて女神様がぶちギレました【連載版】  作者: 湯立向日/ガタガタ震えて立ち向かう


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オモイカネフィルター(特許申請中)

 ――俺たちの主神が鬼畜だった件。


「にゅわー!?」


 某掲示板でそんなスレッドを見つけ珍妙な声を上げるアマテラス様。

 どうやら無抵抗なグラウゼさんの身ぐるみ剥いだのがよろしくなかったようです。

 日本人は基本的に弱者に肩入れしたくなるお人好しだから仕方ありません。


『本当に容赦無かったよなアマテラス様』

『誰だよアマテラス様は穏やかな神様だって言ったの』

『何を言う。実に穏やかな略奪だったじゃないか』


「違うー、違うのー、あの吸血鬼本当にヤバいやつなのー」


 弁解したいアマテラス様ですが、オモイカネ様に書き込みを禁止されているのでできません。

 今のアマテラス様にできるのは、ただ悶えながら畳の上を転がり回ることだけです。


「……何をやっておるのですかアマテラス様?」

「あ、オモイカネ」


 そんなアマテラス様を見て呆れる白髭はやしたお爺さん。

 彼はオモイカネ。人々の思慮や知恵を象徴する神であり、高天原の参謀的な存在です。

 ちなみにアマテラス様が引きこもった時に『宴会しようぜ』と言い出したのも彼だったりします。

 字面だけ見ると中々ファンキーな神様です。


「また匿名掲示板なぞ見て。こんなのは八割ネタとノリで出来ているのだから気にしますな」

「でもー」

「どうせ見るなら。ホレ、こういう真面目に討論してるサイトを見なさい」


 見た目のわりに機械に強いらしく、パッと新しいサイトを開いて見せるオモイカネ様。


『あの吸血鬼は明らかに人間に敵対的でしたね。話し合いも難しそうでしたし、アマテラス様と総理の対応は正しかったのでは』

『それでも服従の制約はやりすぎでは? 奴隷契約に近いですよ』

『その辺りは契約者のリィンベルさんのさじ加減では?』


 確かにそこでは吸血鬼の生態やアマテラス様の力などについて真面目な考察が行われています。

 しかし……。


「……あれ?」

「む?」


 ――アマテラス様は何故少女の姿だったのか。


『古事記や日本書紀にそんな記述ありませんよね?』

『何故も何も実際ああいうお姿だったわけで』

『単に昔は成人が早かったから、アマテラス様もそれくらいの外見なのでは?』


 真面目です。真面目な考察です。

 しかしある書き込みを境に、スレッドの雰囲気が一変します。


『日本人はロリコンだから仕方ない』

『↑何と言う説得力』

『むしろロリコンに人気というか。平均的な日本の成人女性が海外の一部ではロリ扱いですからね』

『つまり日本人はロリとロリコンの国だと』

『とりあえずアマテラス様が可愛いから問題ない』

『確かにアマテラス様可愛かった』

『アマテラス様萌えー』

『萌えー』




「……真面目?」

「……」


 もうやだこの国状態な掲示板の有り様を見て、オモイカネ様をジト目で見るアマテラス様。

 そしてそんなアマテラス様から目を反らしわざとらしく口笛を吹くオモイカネ様。


 今日も高天原は平和です。



 魔界。

 魔界等と呼ばれていますが、実際には魔族たちが住む大陸です。

 そんな魔界に最近になり新しい魔王が誕生しました。


「……」


 気怠げに黄金のあしらわれた玉座に腰かける女性。

 髪は血のように赤く、耳の上には黒い牛のような角。

 ただ座っているだけだというのに周囲には魔力が満ち、魔王と呼ばれるに相応しい圧力を放っています。

 そんな魔王のもとに部下であるデュラハンが駆け寄ってきます。


「魔王様! 勇者が城に侵入しました」

「なんでやねん!?」


 つっこみです。しかも関西弁です。

 さすが本場。空を切る裏拳の美しさは一種の芸術とすら言えます。


 そう、こんな姿をしていますが、魔王様は日本人です。

 新しい魔王を呼び出そうとした所に何故か召喚され、そのままなし崩し的に魔王に就任しています。

 さすがノーと言えない日本人です。


「言うたやん! 私人間と争うな言うたやん! やのに何で勇者が来るん!?」

「ほんの数ヶ月前まで戦争してましたから、こちらの停戦を信じなかったのでは?」

「あかんやん!? 何のための調印やったねん!?」


 頭を抱えてうねうねとの謎の円運動をする魔王様。

 先程までの威厳は実家に帰りました。これではただの愉快な姉さんです。


「ここは私が相手を……」

「敵対すんな言うとるやろがこの脳筋!?」


 魔王様にはたかれて地面に頭が刺さる一つ目巨人なサイクロプスさん。

 さすが魔王様。つっこみの威力も必殺です。


「ああもう、なるべく刺激せんようにここまで連れてきて。ほんま勘弁してやぁ……」


 少し涙目になりながらケルベロスに抱きついて顔を埋める魔王様。

 地獄の番犬も魔王様にとってはただの大きいワンコです。


「連れてこいと言われても……おい、今勇者はどうなってる」

「魔王様考案の『トラップの中心にあるあからさまな宝箱を開けたら中身が檜の棒作戦』に引っかかって項垂れてます」

「……もう駄目かもしれんな」


 その後勇者と魔王は対面しましたが、魔王様の泣き落としからの逆ギレに勇者が翻弄され、何とか戦争は回避されました。


 ……今日も魔界は平和です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ひのきの棒はギルティ。ミミックぐらいにして差し上げろ。そして逆ギレする関西弁涙目女子魔王…これだからロリほいほいって言われるんだ、日本は(言ってない)
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