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最近はクリスマスケーキではなく年越しそばらしい

「アサヒ。アダチという男はどんな男だ」

「藪から棒に何だ」


 ガルディア王国。

 久しぶりに暇ができたので自室でくつろいでいた王妃様でしたが、深刻な顔をした王様がノックもなしに侵入してきたので驚きながら手元の薄い本を隠しました。

 というか薄い本がウス異本と一発変換されてまったく覚えのない作者も驚いています。

 やはりこのPCは密かに他の誰かが使っている。妖精さんとか。


「どんなと言われても、私がまだ日本に居た頃は外務大臣でそんな目立ったことしてなかったしな」


 そういうアサヒさんですが、安達くんは外務大臣時代も安定の腹黒紳士であり、諸外国から「あんなの日本人じゃない。日本人であってたまるものか!」と畏怖されてたりします。

 紳士は舌を三枚くらい持ってるもんだってイギリス人が言ってた。


「しかしいきなりどうした? おまえ安達総理のこと嫌ってただろ」

「確かに気に食わんがそうも言ってられまい。シーナの婿として相応しいかしっかりと調べないとな!」

「よし。そこに座ってどうしてそんな発想に至ったか分かりやすく説明しろ」

「いやそこ床……」

「座れ」

「……はい」


 先日までシーナさんを親父と同年代の男に渡せるかと息巻いていた王様の突然の心境の変化に、こいつまた暴走し始めたと判断して沈静化をはかる王妃様。

 扱いが雑に見えるのは愛です。


「で? 周辺諸国の王族男子に決闘挑みまくったと思ったら、今度は何だ」

「うむ。アレはアレで収穫があったな」

「下手すりゃ戦争になったわ!?」

「ゴハッ!?」


 まったく反省していない様子の王様のどたまに踵落としを決める王妃様。

 ふとももがチラリズムして王様がちょっと嬉しそうです。


「……で?」

「う、うむ。とにかく決闘を挑みまくった結果、周辺の王族の男共はどいつもこいつも頼りないという結論に至った」

「そりゃおまえみたいなバグ一歩手前な人間に比べりゃ頼りないだろうよ」


 忘れられがちですが、王様も装備を整えればドラゴンと対等以上に戦える異世界でも最強の人間の一角です。

 その王様を叩きのめしてる王妃様は何だと思う人も多いでしょうが、王様は自分に非があると思ったときは手加減してわざと負けています。

 本気になったらあっさり王妃様が捕獲されてベッドの上の絶対王政が発動するので当然とも言えます。


「しかしだ、アダチ殿は剣術の心得もありかの英雄グライオス陛下とも互角に渡り合うという。ならば認めぬわけにもいくまい!」

「もっと他の選定基準探して来いよ!?」


 あのグライオスさんと互角ならきっと凄い男だぜイェイッとサムズアップする王様と、評価基準がおかしいだろとつっこむ王妃様。

 というか基準になってるグライオスさんも英雄としてはともかく人間としてはかなりアレです。


「というわけでシーナとアダチ殿との政略結婚を前向きにだな」

「まあそれは分かったけど、やるなら水面下で進めた方がいいぞ」


 何せシーナさんはまだ未成年な上に、日本に来たせいで女子高生という属性まで付加されています。

 このまま話を進めたら安達くんにロリコンのレッテルが貼られてしまいます。

 腹黒紳士にロリコンがついてロリコン腹黒紳士になったら胡散臭さが限界突破です。


「いや待て。異世界間の年齢に対する認識の違いを言い出したらこちらではアサヒは年増……」

「私はクリスマスケーキ売り切った勝ち組だゴルァッ!」


 いきなり失礼なことを言い出した王様の顔面に前蹴り叩き込む王妃様。

 今日も異世界は平和です。


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