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夕立とか叢雲みたいな景色を検索しようとしたら女の子が大量に出てくる事件

「雨は完全にあがったか。やれやれ夕立というには風情がない。確かゲリラ豪雨というのだったか」


 夜の闇に沈んだ街の中。

 濡れて所々に水たまりができた景色を見て、グラウゼさんが若干お疲れ気味で空を飛んでいました。


 日差しの強い夏は吸血鬼にとっては地獄の季節です。

 しかし見ようによっては気温の高い日中は冷房かけて寝て、比較的涼しい夜間に活動するという実に羨ましい生活リズムだったりします。

 でも人間が真似して日光を浴びない生活をすると、うつ病になりやすいという調査結果もあるので注意しましょう。


「ほら、猫ども。水を持ってきてやったから飲め」

『にゃー』


 そして定例の猫集会につくなり小皿とペットボトルを出して猫たちに水をふるまうグラウゼさん。

 街中だと水を安定して得ることも難しいので猫たち大喜びです。


「しかし夜だというのに暑いな」

「にゃー」

「なるほど。昔はもっと夕立が多かったから夜は涼しかったのか」


 そして相変わらず猫から役に立つんだか立たないんだか微妙な情報も集めていくグラウゼさん。


 ちなみに夕立とゲリラ豪雨はその発生経緯は似たようなものですが、ゲリラ豪雨の方はヒートアイランド現象によりめっさ熱くなった地面が原因で夕立がパワーアップしたようなものだと考えられています。

 ついでに温暖化温暖化と言われていますが、ここ百年で平均気温が上がりまくってるのは主にヒートアイランド現象が顕著な都市部で、人の少ない田舎は0.2℃程度しか上がってなかったりします。


 つまり最近暑いのは人類の自業自得でアマテラス様もシジミとってる炎の妖精も関係なかったんだよ!


「にゃー」

「なるほど。夏から秋口にかけては祭りが多く人も増えるから事故や事件に気をつけねばならんわけだな」

「にゃにゃー」

「何? 側溝の蓋が盗まれていただと? よく知らせた。ジャーキーをやろう」

「うにゃー」


 情報をもたらした猫にご褒美のスティックジャーキーをあげる、はたから見たら猫団子にしか見えないグラウゼさん。

 今日も日本は平和です。



「お手」


 一方高天原。

 しゃがみこんだアマテラス様がこりずに鼻にブチのある猫相手に右手を差し出していました。


「……」


 対する猫。しばし無言でアマテラス様の顔を見つめた後――


「にゃう」

「ぷぎゅぅ?」


 アマテラス様の鼻を肉球で押さえつけました。


「ひがう!? ひょこじゃない!?」

「何をやっているんですか」


 いやいやと顔を左右に振るアマテラス様と、巧みに体重移動して鼻を押さえ続ける猫。

 その様子を見ていたツクヨミ様が呆れたようにため息をついています。


「何でいうこときいてくれないの!? あの吸血鬼の猫はちゃんということ聞くのに!」

「ああ、なるほど。妙な対抗意識を持っての行動でしたか」


 涙目なアマテラス様を尻目に、とことこと歩いてツクヨミ様の膝の上におさまる猫。

 どうやら家庭内ヒエラルキーをよく理解しているようです。


「あの猫たちは半ば使い魔化してますからね。恐らく並の猫よりは知能が高いですよ」

「つまりこの猫を私の神使にすれば……」

「ヤタガラスが泣くからやめてください」


 まさかのヤタガラス様リストラは安定のツクヨミ様によって回避されました。

 一方猫はツクヨミ様の膝の居心地がいいのかゴロゴロと喉を鳴らしてまどろんでいます。


「大体その子も何で私よりツクヨミに懐いてるの!?」

「姉上は弄りすぎなんですよ。こういう気難しいタイプは寄ってきたら構ってやるくらいでいいんです」

「ずるいー!」


 着々とアマテラス様ではなくツクヨミ様に懐く猫。

 このままでは以前アマテラス様が計画していた、猫をツクヨミ様の使いにして美少女戦士発掘が現実のものとなってしまうかもしれません。

 本神が覚えてないので現実になる可能性は限りなくゼロですが。


 今日も高天原は平和です。


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