二日目にして今年を振り返る主神の鏡
新年一話目にアマテラス様の出番がなかったので。
初日の出。
言うまでもなく新年の日の出を拝むことですが、元々は四方節と呼ばれる天皇陛下が新年に行う儀式が庶民にも広まったものだとされています。
「つまりは私がある意味もっとも輝く時!」
「そうですねー。輝いてましたねー。輝きすぎて富士山を初めとした全国各地の雪が溶けそうになってましたねー」
ドヤ顔で言い放つアマテラス様に、ダメだこの姉早く何とかしないとと遠い目になるツクヨミ様。
どうやらアマテラス様は新年早々の晴れ舞台を迎えて少々張り切り過ぎたようです。
「しかもその後触発された世界各地の太陽神が、各国の初日の出の時間ごとに輝き始めましたしね」
「……つまり私だけが悪いんじゃない!」
「トップバッターは姉上でしょうが!?」
日付変更線の関係上、初日の出を最も早く拝むのは日本です。
流石は日出国。アマテラス様がはしゃぐのも仕方ありません。
え? ロシア?
知らんなあ。
「え? そこはキリバスじゃないの?」
「最近サモアに変わったそうですよ」
最近まで一番早く日付が変わるのはキリバスという太平洋の島国でしたが、数年ほど前にサモアという国に取って代わられました。
何でそんなに一番早い国が変わるのかと疑問に思う人も居るでしょうが、日付変更線というのは各国が決めた標準時間を元に便宜上そう呼ばれているだけであり、国際的に決められた境界線というのは実は存在しなかったりします。
だからと言って都合がいいからと日付変更線の西に行ったり東に行ったりするのはズルいと思います。日の出的に考えて。
「ともかく。最近は人間界も温暖化温暖化とナーバスになっているのだから自重してください」
「分かった。いざとなれば自重して冷やせばいいんだね!」
「やりすぎて氷河期突入するのが目に見えているので何もしないでください」
月神から放たれるまさかの太陽神何もすんな発言。
遠回しな自殺にも思えますが、ツクヨミ様なら太陽なくてもなんか自分で何とかしそうなので多分大丈夫です。
「……トヨちゃーん! ツクヨミがいじめるー!」
「都合が悪くなったらトヨウケヒメに言うのやめてくださいよ!?」
そして最近ツクヨミ様の弱点を知り重点的に攻めるようになったアマテラス様。
でもやりすぎると逆にトヨウケヒメ様からアマテラス様がおしおきを受けるのでご利用は計画的にです。
「あらあら。おもち焼けてますけど食べますか?」
「食べるー!」
そして食べ物でつって平穏に事を治めるトヨウケヒメ様。
今日も高天原は平和です。