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異世界召喚が多すぎて女神様がぶちギレました【連載版】  作者: 湯立向日/ガタガタ震えて立ち向かう


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迷いの森(迷うとは言ってない)

 迷いの森。

 ちょっと人がうっかり行方不明になっただけで名付けられそうな名前です。

 しかし中にはガチで磁石がきかなかったり、人間の感覚が狂うものもあるので注意が必要です。


 そんな迷いの森の中に一人の少女が居ます。


「……此処は誰? 私は何処?」


 お約束なボケをかますあたり、まだまだ余裕があるようです。

 少女の名は明石アスカ。花の女子高生です。

 いつものように学校から帰宅しようとしたら突然森の中に放り込まれ、絶賛迷子中です。


「うーん、植生は日本とそんなに変わらないみたいだけど……あ、ゼンマイ。コゴミ無いかなコゴミ」


 だというのに、明石さんは暢気に周囲を観察しながら食べ物を探しています。

 帰りにコンビニでもらった袋には既にセリやらワラビやらがわさっと。

 現代女子高生にあるまじき逞しさです。


「異世界でさまよう少女を助けるために猿田彦見参!」

「ぎゃあ!?」

「やあ。アマテラス様の命により君を導きに来たぞ」


 そんな明石さんの目の前に突然白装束の男が現れます。

 明石さんのはしたない悲鳴はスルーされました。

 サルタヒコ様は紳士なのです。


「さ、サルタヒコ……様? え、神様が来たってことは、本当に異世界?」

「ああ。本来ならおいそれと異世界に干渉してはいけないんだが、アマテラス様がこちらの世界の神と交渉し俺の派遣が認められた。安全が確保されるまでは、俺が君を守護する」


 ちなみにこの世界で主流な神は地球でいうところのギリシアの神々でしたが、ゼウス様がアマテラス様にセクハラ発言をかまし奥さんにどつき回された末、何故か野球拳で勝負する事になりました。

 日本代表は脱ぐことに定評のあるアメノウズメ様でしたが、逆法則が発動しストレートで対戦相手のアレス様を全裸にしてしまいます。

 何気に美形なアレス様の全裸に女神様たち(一部男神)が歓声をあげたため、試合に勝って勝負に負けた気分のアメノウズメ様でした。


「まあアメノトリフネに乗った気でいてくれ。道案内は得意だからな」

「えーと、天孫降臨の時に天津神たちを導いたんでしたっけ? その時会ったアメノウズメ様と結婚したんですよね」

「おお。お若いのによく知ってるな」


 ちなみに二人の出会いは『何だおまえはー!?』とアメノウズメ様が脱ぎながら誰何したのに対し『怪しいものではなーい!』とサルタヒコ様が脱ぎながら返したのが始まりです。

 素敵な馴れ初めですね。


「とりあえず森を抜けると村がある。まずはそこを目指そう」

「分かりました。……あ、シイタケ生えてるシイタケ!?」

「何だと!? おお、何と立派な……!」


 道案内されながらも山の幸を探し出す明石さんと、つられて夢中になるサルタヒコ様。

 日本人は食い意地がはってるから仕方ありません。

 普段イエスマンな日本がクロマグロの輸入禁止と聞いた瞬間撤回させるまでぶちギレたのだから相当です。


 結局寄り道をしながらも村にたどり着いた明石さんとサルタヒコ様でしたが、何か明石さんが農業にはまってしまいます。

 そしてお約束の農業改革を果たしてしまい、村のじっちゃんばっちゃんに豊穣の女神デメテル様のお使いじゃと拝まれるようになるのでした。

 今日も異世界は平和です。



「ただいま戻りました」

「あ、おかえりサルタヒコ。ご苦労様」

「いえ。しかし良かったので? 召喚者のところまであの子を送らなくて」

「え? 何でそんなことしなくちゃいけないの?」


 日本人へのフォローができれば異世界人の都合なんざ関係ねぇ。

 アマテラス様は清清しいほどにブレませんでした。


「そもそもあんな森の中に召喚する方が悪い。まあ、あれだけデメテルさんの加護全開ならすぐに発見されるんじゃない?」

「姉上。あの少女に加護を与えたのはアテナです」

「……」


 アテナというのはデメテル様と同じオリュンポスの神であり、知恵や工芸の他に戦いを象徴する女神様です。

 主な戦果としてシチリア島(四国の1.4倍)を投げつけて巨人を殺したりしています。

 流石神様。オネエとは投石のレベルが違います。


「……シイタケ持って帰ったけど食べますか?」

「わー、食べる食べるー」


 サルタヒコ様の採取したシイタケに夢中なアマテラス様。

 どうやら二人は一連の会話を無かったことにしたようです。

 ……今日も世界は平和です。

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