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0の衝撃  作者: あるみゃ
第二章 空間は過去を見せる
9/13

ヒビノ

私はずっと……あなたの隣にいるよ?

「それにしても場所は掴めてるのか?」

  走る俺の横に居たナギがそう聞いた。

「ああ。あの時にアエリアの部屋でこんな手紙を見つけた」

  俺は手紙をポケットから取り出しナギに手渡した。

「『川辺の廃工場で待つ』か……罠だとしたら?」

「その時はその時だ」

「デタラメだな……」

「目的はアエリアを助けるだからな!」

「ああ。そうだな……」

「もうすぐ着くぞ!」

  アエリア……無事で居てくれ……

  俺は走りながらずっと思っていた。

  川辺にでかでかと建っている広範囲の工場地帯は、昔事故で工場内が爆発したと同時に封鎖された。

  今はただの廃工場だ。

「せーのっ!」

  工場の扉は錆びていて、男一人の力じゃ手に負えないぐらい重かった。

  空間は展開出来ないのでほぼ力仕事だ。

「ふう。これで完璧だな」

  額の汗を手で拭い工場内を見渡す。

  意外と暗かった。

「どこかにブレーカーがあるはずだから手分けして探そう。奴を見つけても一人で攻撃しないこと。いいな?」

  全員は頷き俺たちは四方向に分かれた。

「ん? な、何だ?」

  カーンと言う音が聞こえ、俺は聞こえる方向に目線を向ける。

「しまったっ! みんな! 罠だっ! 物陰に隠れろっ!」

  なんと、天井から大量の電球が降ってきたのだ。

  俺はすかさず台の下に潜り込む。

  何度も何度もガラスの割れる音が俺の耳を響かせた。

「くそっ! 手の混んだ罠しかけやがって!」

  音が収まると同時に俺は台から顔を出した。

  もう降ってこなさそうだ。

「みんな! 無事か?」

  俺は叫んでみんなの安否を確認する。

「ああ。何とか……」

  そう言ったのはカノンだった。それと同時に全員が物陰から出て来る。

「もう電気は使えなくなった……手探りで探すしか無いな」

「いや。その必要はもうなさそうだよ?」

  カノンが嬉しそうにそう言った。

「だってほら。もう暗さに目が慣れたし」

  俺は辺りを見渡した。

  遠くまでは見えないが、半径五メートルは普通に見えた。

「このまま一気に探しだそう。もう僕怒っちゃった」

  その割りにはカノンは何か楽しそうな口調だった。

「カノンっ! 後ろだ!」

「……え?」

  ナギが叫んだ時にはもう遅くカノンの肩からは血が流れていた。

「これは……ガラスの破片?」

  カノンの肩に刺さっていたものはさっきの電球の破片だった。

「キサラの兄ちゃん! ごめん! 能力使う!」

  イルアがそう叫ぶと、俺たちの前に壁らしき物が出る。

  その瞬間。壁に無数のガラスの破片が当たった。

「ターゲットか!」

「らしいな……これは能力の力なんかじゃない……奴の身体能力だ……」

  俺の言葉にナギは深刻そうな声で言った。

「みんな。二手に分かれよう。合図をしたら空間を壊す。イルアいいな?」

  イルアは深く頷いた。

「三……二……一……GO!」

  俺たちは二手に分かれ、それと同時に空間を消す。

  壁は砕け散り、砂埃を巻き上げながら瓦礫となった。

  俺とカノンは柱に隠れ砂埃が収まるのを待っていた。

「––––っ!」

「カノン。大丈夫か?」

「ああ。平気だ」

  カノンの肩からはドクドクと血が溢れ出ていた。普通の人なら気を失うだろう。

  しかし弱ったものだ。奴は能力何てものを一切使わず攻撃して来た。あれこそ人間離れな身体能力だ。

「くそっ! やるしかないのか……」

  俺は腰にある棒に手を当てた。

「キサラくん。何をやる気なの?」

  俺は柱から飛び出て砂煙に突っ込む。

  手には密かに用意しておいたナイフが二つ。どちらもいつものように刃を地面側にして持っている。

「やめろっ! キサラっ!」

  背後からナギの声が工場内を響かせる。

  砂煙の中に人影を見つけた。俺はそれに向かって右手で斬りつけた。

  何か硬いものが当たり、右手の感覚を痺らせる。

「やるか? 無力人間」

  砂煙は相手との接触で一気に弾け飛び相手の姿態が露わになった。

  白い髪、漆黒の眼。まるで死神のような人間だった。

  俺はすかさず後ろに後退して距離を置いた。

  だが男は怯むことなくすごい速さで攻めてくる。

  右足、左上肢、右脇腹と色々な箇所を鉄の棒のような物で攻めて来る。俺はそれを必死に防ぐ。

  俺はまたしても後退する。

  地面にあった石を蹴り男のこめかみ部分を直撃させた。

「––––っ! てえな! 何っ!」

  男はこめかみを押さえ、少しだけ怯んだところを俺はみぞをち目掛けて回し蹴りを繰り出した。

  男は後ろに吹き飛び砂煙を立てて壁に激突した。

  そんなこともお構いなしに俺は突っ込む。

「終わりだっ!」

  俺は男に向かってナイフを向けた。

  勝った。と思った。


  だが俺は刺すことが出来なかった。

「響……乃……」

  砂煙が消え目の前に死んだはずの響乃が居たのだ。

「違うっ! それはお前の知っている響乃じゃ無い!」

  ナギの言葉で俺は正気に戻った。

「ゲホォッ!」

  もう遅かったのだ。

  腹部にハンマーで殴られるような感触を得た。

  俺は吹き飛び地面に叩き付けられる。

「アハハハハっ! やっぱり無力だっ!」

  地面に叩き付けられた俺を鉄棒で何度も殴る。

「無力も無力。死んだ人間が目の前に居るはずないだろ? やっぱりアホなんじゃないの?」

  やられてしまった。奴の能力に騙されてしまったのだ。

  響乃の顔に偽り俺を騙した。くそっ。俺は何て未熟なんだ……

  俺は血だらけのまま気を失ってしまった。



「君。このまま死んじゃうよ? いいの?」

  ふと心中で少女の声が聞こえた。

「いいんじゃないか? このまま……楽になりたい」

  辺りを全体が真っ暗で誰も居ない。

「諦めちゃうんだ……まだこの世界にやり残していることがあるんじゃないのかい?」

「やり残した事なんてない。響乃が居なくなった世界なんて……自殺だって試みたぐらいだ……」

  俺は心臓部を掴んだ。

「響乃は君の心の中に居る。いや。私は絶対如月に横にいつだって居るよ? だから……」

「響乃?」

「だからっ! 私の大好きな如月で居てっ!」

  俺は少しだけニヤッとした。

「帰ったらデート一回なっ!」



「「アハハハハっ! 倒したと思った?」」

  俺は立ち上がり地面に転がったナイフを掴む。

「キサラ……」

  ナギが唖然としている。

「「ただいま。みんな」」

  髪が肩まで伸びほぼ響乃と同じ髪型だった。

  一言一言が不思議な事に俺と響乃の声が合わさったような感じになる。

「どうして……どうして貴様が生きてるんだっ!」

  男は驚愕の目でこちらを見ていた。

「「死に損ないだからしょうがないんじゃない?」」

「貴様っ!」

  男は鉄棒を持って押し寄せて来る。

「「じゃあまずはその危ないものどけよっか」」

  俺はニコッとしながら男に向かって左手を前に出す。

「なにっ!」

  男の手から鉄棒が消える。

「ハハハっ! 掛かったっ! 空間が形成されればこちらの––––なん……だと……能力が……」

「「あいにくだったな! 俺たちは二人居るんだ。二回行動は可能だろ?」」

  二人なら鉄棒を消して空間を消すことなんて一秒で出来る

「「さてと響乃? やれるか?」」

  体は自動的に男へと走っていく。

  これが響乃の合図らしい。

  俺は横腹に蹴りを加える。男は両手を使ってそれを防ぐが怯む事なくそこから回し蹴りを食らわした。

「ぐはっ!」

  俺は吹き飛んだ男を追い掛ける。

「「これは全てのお返しだ!」」

  男の頬を思い切り殴る。すると男は地面に大穴を開けて気を失った。

「終わったよ……響……乃……」

  全身の力が一気に抜け俺は床に倒れ、意識が消えた。



「お疲れ様。如月……」

  気が付くと真っ暗な場所で俺たちは手を繋いで寝ていた。

「ああ。何とかなったな……」

  少しだけ話が詰まり間が空く。

「じゃあ。帰るか……」

  俺は立ち上がり、響乃に手を差し出す。

  しかし響乃は手を掴まなかった。

「ごめん……約束守れないや……」

  響乃は地面に沈んでいく。

「響乃っ!」

  俺はすかさず響乃の手を掴んだが重すぎて逆に引き込まれそうだった。

「泣かないでよ。泣いてたらみんなに笑われちゃうよ?」

  響乃は笑って俺の頬を触り手で涙を吹きながら言った。

「お互い様だろ?」

  響乃の目からも涙が流れていた。

  俺が響乃の額を触った時光が俺たちを包んだ。

「ずっと……ずっと隣に居るからね……」

  視界に光しか見えない中その言葉だけが聞こえた。

  俺は目を閉じ響乃の心を掴みとった。

「暖かいな……」

  響乃の心はこの世の誰よりも暖かった。


こんにちは! あるまです!

突然ですが皆様にお願いがあります。

よろしければこのあるまに辛口評価のコメントをください。よろしくお願いします!

昨日みゃんたろうさんから、

「いやー閲覧数少なくない」

とか来たので、悪い場所をこのコメントで治して行こうと思います。

なのでご応募ドシドシ待ってます。

では

今話をご覧いただきありがとうございました!

次話もよろしくお願いします

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