音速の瞬間
空間は僕たちを運んでくれる……
「で、今からどこに行くんだ?」
俺は今、炎天下の下で干からびそうなゾンビみたいな歩き方をしていた。
「いや、買い物だが」
ナギはジャージにジーパンという全く目立ちそうにない格好をしている。
「カノ〜ン! 買って来たよぉ!」
「おお! ありがとうっ! アエリア!」
遠くの方で手を振るアエリアにカノンは応える。
アエリアの手には四本の赤いパッケージの缶を持っていた。
「おまっ! アエリアをパシッたのか!」
ナギがびっくりしたような目でそう言った。
「え? パシッてないよ? ちょっと買って来てって言っただけ」
カノンは不思議そうな目をしている。
「とにかく! アエリアが来る前にこの橋から逃げろ! 閉じ込められるぞ!」
「みんなどうしたの?」
「––––っな!」
ナギが叫んだ瞬間。いつの間にか、アエリアはそこに居た。
手遅れだった……
「やっと……着いた……」
閉じ込められて一時間やっとデパートに辿り着いた。
アエリアの能力の発生条件はいじめられたと思った時らしい。いつもなら自発的に発動出来るらしいのだがこの時だけは制御が出来ないらしい。
「それにしても何を買いに来たんだ?」
デパートのエレベーターに乗り込み八階に上がる。
「生活用品だ。前に買った奴が壊れたからな」
エレベーターの階層スイッチの前に立っているナギはそう答えた。
「生活用品?」
不思議な団のアジトに潜入とかそんなんじゃ無いんだ……
「うん。そうだよ? 生活するにも電化製品は必要でしょ?」
カノンは鏡に寄りかかりニヤニヤしながら言った。
「どうしてニヤニヤしてるの?」
アエリアはエレベーターの真ん中で白レースのフードを被っていた。
「いやぁ。ナギが僕たち以外の人達と話してるのを見ると笑いが出てね」
俺が瞬きした時はもうカノンは頭にコブを作って床に倒れていた。
チーン。という音と共エレベーターの扉が開く。
その時だった。
エレベーターの中に大量の人が流れ込んで来たのだ。
「じゃあ頑張ってねぇ」
扉の閉まる際でカノンの声が聞こえた。
なんとカノンとアエリアはエレベーターの向こう側に居たのだ。
「あいつ……殺す……」
ナギは怖い事を言いながら揉みくちゃにされるエレベーターと共に下へと降りて行った。
「ごめんなさい……」
気付いた頃には目の前でカノンが傷だらけで倒れていた。
「全く……移動するなら私たちも連れて行け。何でアエリアだけなんだ」
ナギは手をパンパンと叩きながらそう言った。
「いやぁ。一番近いのがアエリアまでの空間だったし、もう気付いた時にはナギまでお客さん入って来てたんだもん」
カノンは床に座って言った。
それにしても能力者の口喧嘩は何か次元が違うので凄く新鮮だ。
「まあいい。もう時間が無いから必要な物買って帰るぞ」
時計を見ると午後一時半だ。
「時間が無いって、これから何処かに行くのか?」
昼なのに時間が無いということは何処かに行く以外あり得ない。
「いや……あれだ……」
ナギは商品が置いてある棚を指差した。
「うわぁ! これ可愛い! あ、でもこっちの方が可愛いかも!」
そこには商品に食らいつくアエリアの姿があった。
「ああなっちゃうとアエリアのショッピングは六時間掛かっちゃうんだよなぁ」
「ろっ、六時間っ!」
カノンの言葉に俺は驚愕した。
「まあ普通にしてれば結構早く終わるよ?」
あれを止めるのに苦労するだろうと俺は頭の中でそう思った。
午後十四時五分。俺は生まれて初めてあんな大量の力を使ったと思った。
アエリアはまるでケンテッキーの前に立つケーネルサンダース人形のように商品の前に立ち引っ張ってもビクともしなかった。
そして、今日のアエリアのこともあるので俺たちはバスに揺られていた。
アエリアは今日買った商品を見て目を輝かせていた。
バスの中は丁度満員で相当暑かったので俺たちは服で仰いでいた。
「バ、バスジャックだ。今からこの車両を乗っ取る」
怯えきって動揺した声が運転手席から聞こえた。
「ご乗車の皆さん。手を頭の後ろで組め」
男は客席側に包丁を向けそう言った。
「あーあ。捕まっちゃったぁ」
隣に居たカノンは手をブンブンさせながら言った。
「おい。手を後ろにしないと見つかるぞ」
「大丈夫だよ? 今はナギの能力で今は見つかって無いから」
能力ってこういう時便利だなと改めて実感した。
「で? どうするんだ? このままだと力が無くなって能力が使えなくなるぞ?」
通路の向こう側に居たナギがため息をつく。
「答えは一つでしょ? ねえキサラくん? 君の能力であの包丁を消してよ」
「消す? 消すってどうやって?」
「え? 簡単だよ? ただあの包丁を消したい〜って思えば発動するから」
そんなに簡単なら最初からできたような気がする……
「ああ。やってみる」
俺は包丁を消したいと思いながら凝視する。
その時だった。
「おいそこのやつ! 何動いてるんだ!」
子連れの母親が子供のオムツ交換を始めたのだ。
「そんなに殺されたいみたいだな」
男は母親に近づき手を振り上げた。
「何故だ……何故包丁が手から……」
その時はもうすでに包丁は消えていた。
「でかしたぞ! キサラ!」
ナギは走り、男の頭を蹴り飛ばす。
「痛っ! 今誰が殴りやがった!」
隠れてるため男は気付いていない。
「ねえ。おじさん?」
カノンは男の上半身を触る。
その時、丁度カノンの隠された姿が露わになった。
「さ、よ、な、ら」
その瞬間。男の驚き顔が目の前から消えた。
外に飛ばしたらしい。
「ありがとうございます!」
母親は俺たちに感謝する。
「いや。別にいいよ……」
一瞬だった。俺の腹部にえぐられたような感触が走った。
「なん……だ?」
腹部に手をやるとどろっとした物が手に付く。
それを見ると少し黒みのかかった赤い液体が目に焼き付けられた。
俺はそのまま通路に倒れこむ。
「キサラくんっ!」
アエリアの声が意識と共に消えて行くのが分かった。
どうやら誰かに撃たれたらしい。
九月十四日午後六時三十五分
こんにちは! みゃんたろうです。
あるまちゃんがいつもお世話になっております。
今日はあるまちゃんが試験中なので僕がこれを書くことになりました。
だいたいはあるまちゃんが書いてくれているので面白く書けてるか分かりません。
なので面白くなかったらごめんなさい!
この小説を見てくれた皆様ありがとうございました!
まだまだ続くようなのでこれからもよろしくお願いします!




