第4話 水面下で
その後、用意された部屋に集まったアカリアたち。
王女を怪しんだのは如月篝ーーカガリという少年だ。
「エレノアを信用するな」
彼は、アカリアのクラスメイトで、ホムラの兄だった。
飄々とした態度でいる事が常だが、リーダーシップを発揮し、クラスメイト達をまとめる事が多い。
「ああいった手合いの人間の目線は見慣れている。物を見るような目をしていた。要人しておけよ」
カガリは名家の人間で、大人達の思惑に何度も振り回されてきた過去を持つ。
そんなカガリであるため、王女エレノアの二面性に危機感を抱いたのだった。
すると、カガリの妹であるホムラが、「ならお兄様、私がエレノアさんの動向に耳をすませておきますわ」
ホムラは耳が良く、様々な音や声を聴く事ができた。
だから、兄と同じようにエレノアを警戒しようと決めたのだった。
エレノアの駒になる事は避けるべきという方針だが、アカリア達には帰還の手段も、頼れる伝手もない。
アカリア達は、グランド・ネイトで邪神討伐のために行動するしかなかった。
そんな中、アカリアは自分の力をカガリ達に報告する。
亡霊を見る事ができるというアカリアは、城の中で恨めし気にエレノアを睨む兵士達の霊を何度も見ていた。
その日からアカリア達は、エレノアに協力するふりをしながら、情報を集める事に専念した。
召喚された勇者は魔法が使えるようになるため、城の兵士達の指導の下でそれらの力を磨き上げながら。