第1話 アカリアとホムラ
岬明理亜ーーアカリアは、高校2年生の女生徒だ。
赤色の髪とルビーのような瞳が特徴的である。
亡くなった人間を見る事ができるという不思議な力を持っていたが、彼女はその力を誰かに明かしたことはない。
なぜなら、子供の頃に特別仲の良かった親友に打ち明けた後、悲しい思いをしたからだ。
「死んだ人が見えるなんて、怖いわ」
その親友は特別悪い子ではなく、むしろ善人よりの子供だった。
しかし、常識から外れたものや、普通ではないものには忌避観を覚えるものであったため、アカリアとの仲はそれまでになった。
アカリアは死者は見える自分を受け入れてほしかったが、自分からその望みを伝える事はなかった。
友達ではなくなってしまった子の考えや価値観も理解できるからだ。
高校生になった少女アカリアには、如月焔ーーホムラという仲の良い少女ができた。
高校1年生である彼女は明るく、先輩想いの良い後輩だった。
アカリアの力を知っても、付き合いを続けてくれる。
それは二人が所属しているバスケの部活でも、いつも一緒にいるくらいの仲の良さだ。
年相応に青春を送っていた二人だが、ある日突然異世界に召喚されてしまう。
それは、アカリアの教室にホムラが遊びに来た直後の事だった。